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「ペットの看病」で会社を休む――マツコ&有吉は理解を示すが、法的にはどうなのか?
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「ペットの看病」で会社を休む――マツコ&有吉は理解を示すが、法的にはどうなのか?

ペットの体調不良を理由にして、会社を休むのはアリかナシか――。9月上旬に放送されたバラエティ番組「マツコ&有吉の怒り新党」がきっかけで、ネット上でそんな議論が起こった。

議論を呼んだのは、視聴者が体験した「ちょっと腹の立ったこと」を紹介するコーナーに寄せられた投稿。投稿者は、犬も猫も飼ったことがないそうだが、職場に猫の具体が悪いことを理由に休む男性がいて、驚いたという。「自分の子どもならともかく、ペットを理由にして仕事を休むことは社会的に認められていることなのでしょうか」と述べていた。

これに対して、有吉さんとマツコさんは「もうそういう世の中だ」「ペットは家族と認められている」と理解を示すコメント。有吉さんは、それを「『いかがなんでしょうか?』って言ってるほうが『残酷』って言われる世の中になるよ」と述べていた。

ネットでは「ペットを家族のように愛する人にとって、看病のために休むことは当然だ」と理解を示す声がある一方で、「家族ならまだしもペットは人に任せればいい」といった否定的な意見も少なくなかった。

法的にはどうだろうか。ペットの看病のために会社を休むことは認められるのか。労働問題に詳しい石川清隆弁護士に聞いた。

●ペットの看病のための特別な休暇制度は整備されていない

「年次有給休暇は、その使い方は自由ですから、『ペットの看病のために休む』という理由で休んでも、まったく問題ありません」

石川弁護士はこのように述べる。

では、有給休暇とは別に、ペットを看病するための特別な休暇制度はないのだろうか。

「子の看護休暇や、家族の看病を含む介護休暇のような制度のことですね。

雇用契約は、労働力を提供し、その対価として賃金を得るというのが基本ですが、これを対等な契約としてほっておくと、さまざまな弊害が生まれるので、労働法規などを定めて、社会政策的なコントロールをしています。

最近でも、労働市場のさまざまな変化に合わせて、法規制も休暇休業制度も変化していますが、残念ながら『ペットの看病のための休暇』制度は、法的には整備されていません」

ペットの看病というのは、社会的には、法律で休暇制度を設けるほどには、重要視されているわけではないということだろうか。

「そうですね。ただ、マツコさんの『もうそういう世の中だ』『ペットは家族と認められている』という言葉に表れているように、ペットを家族と同様に、愛情の対象と考えている人は少なくありません。

内閣府の世論調査でも、日本人の約35%が何かしらのペットを飼っており、ペットを飼う理由について、『生活に潤いや安らぎが生まれる』と答える人が割合が6割以上にのぼります。

現状では、企業も本人も、有給休暇をうまく活用すべきなのではないでしょうか」

石川弁護士はこのように述べていた。

(弁護士ドットコムニュース)

プロフィール

石川 清隆
石川 清隆(いしかわ きよたか)弁護士 石川綜合法律事務所
第一東京弁護士会所属。労働問題を専門に取り扱う。

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