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「キン肉マン」コスプレイヤーの「セクハラ行為」に原作者激怒! 法的責任を問える?
写真はイメージ

「キン肉マン」コスプレイヤーの「セクハラ行為」に原作者激怒! 法的責任を問える?

「子供や女性に優しく心に愛があるのがキン肉マン、こんな奴は締め出しじゃ」。人気マンガ「キン肉マン」のコスプレイヤーが女性コスプレイヤーにセクハラ行為している写真がツイッターに投稿され、原作者が激怒する事態に発展した。

写真の投稿者によると、問題のシーンは、7月26日に千葉・幕張で行われたホビーイベント「ワンダーフェスティバル」で撮影された。写真には、キン肉マンのコスプレイヤーが、ビキニ姿でポーズを取る女性コスプレイヤーの背後で、お尻を触るようなポーズを取る姿が写っている。この女性コスプレイヤーはツイッターで、「やめろって言っても本当にしつこいし、最低でした」と訴えている。

「キン肉マン」原作者の漫画ユニット「ゆでたまご」の嶋田隆司さんは、ツイッター上で、「キン肉マンの姿をして大変な卑劣行為をしたみたいですね作者として皆さんにお詫びします」と述べ、コスプレをした人物に対して、怒りをあわらにしていた。

自分の創作した正義のヒーローが、他人に迷惑行為に及んだとあっては、原作者としてたまらないだろう。一般的に、自分が創作したキャラクターのコスプレをした人物が、違法行為や迷惑行為をした場合、直接の被害者だけでなく、原作者も、そのコスプレイヤーに法的な責任を問うことができるのだろうか。西口竜司弁護士に聞いた。

●キン肉マンの「価値」を下げたことになる?

「私も子どものときはキン肉マンに熱狂し、憧れました。今回の心ない人物の行為が許されないことは当然のことだと思います。作者が怒るのも当然でしょう」

西口弁護士はこのように述べる。

「キン肉マンのキャラクターの図柄・描写は著作物にあたります。そこで、原作者として著作権侵害を理由に損害賠償請求をすることが検討されます。

しかし、コスチュームを利用しても、私的に用いる場合には複製権侵害にあたらないので、この筋での請求は難しいでしょう」

他に何か方法はあるのだろうか。

「原作者としては、迷惑行為をした人物がキャラクターの『価値』を下げたことを理由に、民法709条の損害賠償請求をしていくことが考えられます。

キン肉マンは『正義のヒーローで、悪者をやっつける』というイメージが定着しています。したがって、正義のヒーローが卑劣な行為をしたということを捉えて、不法行為を認定できる可能性はあると思います。

コスプレイヤーの迷惑行為によって、キャラクターの価値が下がり、原作者に損害が発生したことが認められれば、損害賠償請求が認められる可能性があるでしょう」

作者は、迷惑行為をする人に「コスプレしないでくれ」とは言えないだろうか。

「その点は難しいかと思われます。法律上強制するような手段がないからです。このような行為をやめさせるため、念書をとっておくことなどが考えられますが、実効性には疑問が残ります。その点は、モラルの問題ということになるでしょう」

西口弁護士はこのように述べていた。

※著作物性について不正確な表現があったため、該当箇所を修正致しました(8月5日10時5分)。

(弁護士ドットコムニュース)

プロフィール

西口 竜司
西口 竜司(にしぐち りゅうじ)弁護士 神戸マリン綜合法律事務所
大阪府出身。法科大学院1期生。「こんな弁護士がいてもいい」というスローガンのもと、気さくで身近な弁護士をめざし多方面で活躍中。予備校での講師活動や執筆を通じての未来の法律家の育成や一般の方にわかりやすい法律セミナー等を行っている。SASUKE2015本戦にも参戦した。弁護士YouTuberとしても活動を開始している。今年からXリーグにも復帰した。

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