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残業代払わない「警備会社」に是正勧告…「ケガで歩行困難になっても休めなかった」
正社員の男性3人が記者会見をおこなった

残業代払わない「警備会社」に是正勧告…「ケガで歩行困難になっても休めなかった」

全国で事業を展開する警備会社「コアズ」の仙台支社が、警備業務などを担当する正社員の男性らに残業代を支払っていなかったなどとして、仙台労働基準監督署が是正勧告をおこなったことを受けて、仙台支社につとめる正社員の男性3人らが7月28日、東京・霞が関の厚生労働記者クラブで記者会見を開いた。

会見に出席した1人で、商業施設での警備を担当している40代男性は、「転んで、足の靭帯を損傷して、歩行困難になったが、人手が足りないため、手術のための休みをとれなかった。自宅でリハビリをつづけている」と語った。現在も、月100時間を超える時間外労働を続けているという。

●「若い人や契約社員が会社に定着せず、どんどん人がやめていく状況」

コアズは警備事業を全国展開しており、大型商業施設などでの業務を請け負っている会社だ。仙台支社では、一人あたり月150時間〜200時間の時間外労働があったが、名ばかりの管理職とみなして、残業代を一切支払わなかったり、労働条件を明示しなかったりするなど、ずさんな労務管理をしていたとみられる。

会見に出席した30代男性によると、会社側に相談しても「周りの人もやっている普通のことだ」という説明があっただけだったという。別の30代男性は「家族の時間をもてないことが、自分の中で一番きつかった。何のために仕事をしているのかと。苦しくて、きびしかった」と振り返った。

男性たちが加入する労働組合「ブラック企業ユニオン」の担当者は、弁護士ドットコムニュースの取材に「若い人や契約社員が会社に定着せず、どんどん人がやめていく状況だった。残っている正社員は責任感が強く、なかなかやめられない人ばかり。人を使い捨てる典型的なブラック企業といえる」と話した。

仙台労働基準監督署はことし5月、(1)残業代の未払い、(2)労働条件の明示義務違反、(3)健康診断の定期報告義務違反などで、コアズ仙台支社に対して是正勧告をおこなった。ブラック企業ユニオンによると、会社側は「全員分の残業代を支払う」としているが、その算出方法・金額などはまだ決まっていない。組合員(5人)だけでも数千万円にのぼる可能性があるという。

(弁護士ドットコムニュース)

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