
青島 明生
富山中央法律事務所
富山県 富山市堀端町1-12インタビュー
青島 明生 弁護士 インタビュー

弁護士を目指したきっかけ
イタイイタイ病の裁判や建国記念の日の報道を見て社会に対して関心が生まれ、また、母の戦争体験を聞いたり、原爆の写真集を書店で見て平和にも関心があったところ、社会科の教科書や参考書で憲法9条と自衛隊の関係を知ったことから弁護士になろうと思いました。
小中学校の頃から新聞をよく読んでいて、こうした事柄が記事として取り上げられることが多かったので、自然に関心が向きました。そうした社会的なことに関心があったことで、高校の頃に進路を考えたときに、仕事の中で関心があることについて何らかのことが実現ができる弁護士を選びました。
今までの経験と現在の仕事内容
これまでイタイイタイ病、山中事件、名古屋HIV訴訟、トンネル塵肺訴訟、談合・情報公開等の行政訴訟など、公害、えん罪、行政、医療過誤の事件等を扱ってきました。
弁護士になってからというより修習生のときから色々な事件に関心があり、関係者のお話を聞いたりしていました。また、修習中に色々な勉強会の呼びかけがあり、参加しました。それが山中事件とトンネル塵肺訴訟に関するものでした。
イタイイタイ病については私の出身地が富山でいつか富山に帰ろうと考えていたので、帰省した折に地元の法律事務所を訪問してイタイイタイ病の弁護団の先生にお話を聞いたりしました。
医療過誤については修習生の間で私が中心になって勉強会の呼びかけをしていました。その中で有名な弁護士の事務所訪問をしたりしました。そうしたことから弁護士になってからも長年関心を持って取り組んできました。
他方、弁護士になってから関心を持った事件としては、HIVと談合情報公開等行政訴訟があります。これらの事件も長年取り組んできました。事件そのものは有名な事件でそれぞれに特徴のある事件です。これらの事件は、私のそれまでの色々な取り組みをしていた関係から生まれた人間関係がきっかけとなり、やることになりました。
HIVなどは全国各地で解決しなくてはならない課題ですから、富山の方ではあなたにやってもらえないかと声がかかりやり始めました。談合・情報公開の行政訴訟、その他にも坂本弁護士一家救出問題などの事件はどれも医療過誤の弁護団で全国各地に勉強会で行っていた関係で「富山なら青島だ」ということで連絡をもらったことが事件をやるきっかけになっていますね。
また、現在はB型肝炎訴訟に取り組んでいます。この事件は全国的に被害者がいる大きな予防接種の被害事件です。実際に関与するまでは最高裁の判例などを見て、被害者が大変な中でも救済されてよかったという程度の知識・感想しかありませんでした。
そんな中、全国的に被害者救済に取りかかるということで北陸三県の弁護士が金沢に集まり、この事件に取り組んでいらした北海道の先生のお話を聞く機会がありました。そうしたこともあり、私も事件に関わるようになりました。
そういう全国規模の多くの被害者が出た事件について、地元で支援をできることについてやりがいがありますし、そうした事件について呼びかけてもらってよかったと思います。日頃全国的な弁護団や運動に積極的に参加してきてよかったという感想を持っています。
弁護士としての信条・ポリシー
弁護士法第一条の「基本的人権の擁護と社会正義の実現」については他の職業と比べて弁護士のセールスポイントだと思います。ですので、積極的に公益的な活動を弁護士会などで現実に行っていることをアピールするようにしています。この点はある意味自分達の仕事を広告することになりますが、いくら広告しても嫌味にならないセールスポイントだと思います。
また、依頼者との関わり方では依頼者の一人一人が自分の問題として事件に向き合い、自分で決断できるようになってもらい、市民社会を担う市民になってもらうように接することを意識しています。
消費者事件をやっていますと被害に遭われる人にはセールスマンの判断に任せてしまう「お任せタイプ」の人が多く見受けられます。勧められるのならいいものなのだろうと乗ってしまうのです。それが消費者被害を拡大する原因だと思っています。
相談の時にも依頼者の方から、「そこは先生にお任せします」と言われることがあるのですが、そうしたときには必ず「自分達は法律の知識があるのだが、決めるのはあなたなのであなた自身で決めてもらわなければ困ります」と伝えています。そうした形で自己決定の重要性をわかってもらえるような話し方を心がけています。
それは社会的に被害を生む事件全てに共通することでもありますし、日本の政治経済についても色々な問題点があると思うのですが、そこについても市民のお任せの姿勢が改善されない原因の一つだと思っています。日本の社会をよくするためにも一人一人にできるだけそうした考えをわかっていただけるように話しています。
関心のある分野
「今までの経験と現在の仕事内容」で述べたこれまでやってきた分野です。また、中小企業の支援に関心があります。
富山県弁護士会会長として日弁連の理事会に出ています。理事会で報告、要請される中に弁護士にとっての企業支援の重要性の項目があります。それまであまり考えたことがなかったのですが、全国に何百万の中小企業がある中で、実際には弁護士の支援が必要なのに弁護士と連絡が取れている企業はごく少数しかありません。
そうした状況の中で多くの中小企業が経営上の問題などに十分対処できない実情があるということがわかりました。そうしたことを知り、税理士やコンサルタント業種と比べると弁護士がこの分野への関与が遅れていることを痛感しました。待っているのではだめで、積極的に弁護士の方からアクセスしていく必要があります。
日弁連としてはこの分野の重要性を認識して、中小企業庁に積極的に働きかけてそれなりの制度を作ってもらっています。最近では中小企業金融円滑化法によるリスケジュールの終了に伴う様々な問題について弁護士に相談することを推奨することをパンフレットに載せてもらうようになっています。しかし、弁護士の方でその点の意識が一部の人を除いて行き渡っていないので、積極的に色々な制度に応募していく弁護士の数が少ない現状があります。
せっかく日弁連でこのように取り組んでいるので、研修会や総会などで事業に参画することを呼びかけていきたいと思っています。また、地方会でのこの分野の広告や事業団体との接触が不十分ですので、その点を強めるように今後は積極的に弁護士会の委員会などで取り組んで行きたいと思います。
今後の弁護士業界の動向
弁護士人口が今のように急激に増え続ければ、裁判官の特権化が進み、弁護士にとっては厳しい社会になると思います。私たちが修習生の頃は500人修習で70〜80人が裁判官、70〜80人が検察官でした。
その頃、裁判官になるかどうかはその人の性格的なものが重視され、実社会に飛び込んでばりばりやっていくのが苦手な勉強好きの方がなるということで、成績がいい人しかなれないというところまでいっていませんでした。
しかし、今は明らかに成績のいい人が選ばれています。そうなると裁判官になった人はエリート意識を持ってしまいますし、弁護士は裁判官をあたかも特別に偉いと考えてしまいます。こうした意識は司法制度の制度作りの中にも反映されるのではないかと心配があります。訴訟の運営の中で弁護士に過度の要求をしたり、弁護士の言い分を十分汲まないで処理するのではないかという不安を多少感じています。そういう点については問題だと思っています。
より根本的には法曹養成や給費制の問題にしっかり取り組んでいかなければならないと思います。現行以上に急激な法曹人口増員のペースは問題です。他方業務の拡大についても弁護士が積極的に取り組まなければならないと思っています。制度問題も取り組むし、業務拡大も積極的に取り組まなければなりません。
しかし、それでもこれまでの制度改革では弁護士の業務範囲の拡大が不十分ですから、弁護士業界は大変だと思います。仕事が増えない中で、色々と要求水準が高くなり、それに応えるために研修をやらなくてはなりません。非常に厳しくなりますが、努力をするしかありません。当分は業務拡大の成果を挙げるまでは耐乏生活、自ら研鑽を積む厳しい日々が続きます。
(2013年1月インタビュー実施)
自己紹介
- 所属弁護士会
- 富山県弁護士会
- 弁護士登録年
- 1986年
所属事務所情報
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- 富山中央法律事務所
- 所在地
- 〒930-0074
富山県 富山市堀端町1-12 - 最寄り駅
- 丸の内駅から徒歩10分
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