加藤 尚憲 弁護士
1)当時の状況 当時、兄はお父さんの実印も保管しているため、このまま放っておくのは余りに危険すぎました。2)成年後見人選任の申立て お父さんの認知能力が衰えているため、裁判所に成年後見人を選任してもらい、お父さんの財産をすべて管理してもらうことにより、お兄さんの企てを阻止することにしました。 申立にはお父さんの診断書が必要でしたが、入院先の主治医の協力を得ることができました。3)審判前の保全処分 裁判所の審判が出るまでには少なくとも3ヶ月はかかります。 それまでにお父さんの土地が売られてしまってはどうしようもありません。 そこで、成年後見人の選任の申立てと同時に、保全処分としてお父さんの財産管理者を選任してもらうよう裁判所に申し立てました。 すると、裁判所が事情を理解し、審判そのものを早めに出してくれました。4)成年後見人の選任 親族間に対立のある事案なので、裁判所は、無関係の専門家を成年後見人として選ぶことになります。 兄が癖の強い人物のため、裁判所には、成年後見人としてこわもての弁護士を選任するよう予め頼んでおいたところ、ベテランのしっかりした弁護士さんが成年後見人についてくれることになりました。 成年後見人への引継ぎも終わり、お父さんの財産は無事保全されました。5)相続の発生 それから10年の時が流れ、お父さんが亡くなりました。 兄との間で遺産分割を行う必要がありましたが、兄はまともに話ができるような相手ではありませんでした。6)遺産分割調停 私は、兄に一切連絡することなく、弟を代理して裁判所に遺産分割調停を申立てました。 兄は、調停の遅刻や欠席を繰り返すなど、ひどい態度を取り続けました。 兄は、「自分が父の面倒を見てきたから、寄与分がある」と主張しましたが、そんな話が通るはずがありませんでした。 兄は、一生働かず、お父さんのお金で暮らして来ており、世話になってきたのは兄の方だったからです。 調停は不調に終わり、審判に進みました。7)審判 審判で担当した裁判官は、調停のときの担当裁判官と同じ人です。 調停段階では、裁判官は直接当事者と話をすることはほとんどありませんが、調停委員から報告を受けて随時状況を把握しています。 弟の主張通り、お父さんの土地を競売で売却し、代金を半分ずつ分けるという審判が下されました。8)競売 私は、審判が確定するとすぐにお父さんの土地について競売の申立てをしました。 お父さんの土地が23区内の閑静な住宅街にあったこと、不動産の価格が上がっていることから、土地は驚くような高値で落札されました。 弟が代金の半額を手にし、一件落着しました。
成年後見の申立てにより子供による不当な財産の処分を防止し、スムーズな遺産分割につなげましたの
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