最高裁裁判官の国民審査「意味はあるが、機能していない」約7割…弁護士511人に聞く
最高裁判所の判事は、衆議院議員総選挙に合わせて、国民審査が実施され、罷免できることが憲法に明記されている。しかし、過去に国民審査で罷免された最高裁判事はいない。 弁護士ドットコムタイムズ編集部では、国民審査について弁護士に聞くアンケートを実施した(回答期間:7月3日 有効回答人数:511人)。結果を紹介する。 ※写真は最高裁判所(kash* / PIXTA)
「意味はあるが、機能していない」が67.1%で最多
国民審査は、最高裁判所の裁判官が適格かどうかを国民投票で決め、不適格とされた裁判官を罷免させる制度。最高裁判所の裁判官は、就任後初めておこなわれる衆院選で国民審査を受けることになっている。
制度について、弁護士511人に聞いたところ、「意味はあるが、機能していない」が67.1%で最多となった。「意味はないし、機能していない」は26.0%、「意味はあるし、機能している」は4.9%にとどまった。
「機能していない」とした弁護士からは、「罷免例がない」「国民に関心がなく、制度が理解されていない」との意見が複数寄せられた。また、「国民に対して、最高裁裁判官についての十分な情報が提供されておらず、判断材料が少なすぎる」「インターネットを活用し、簡易かつ分かりやすく情報提供すべきだと思う」との指摘もあった。また、「弁護士であっても最高裁判所に行くことがないため関心がなく、審査しようがないのでは」「白票が罷免しない意思表示になるような投票方法がそもそもおかしい」との意見もあった。
「機能している」を選択した弁護士からは、「国民が誰も興味ないと思うので意味はない(なくなっても困らない)が、一応制度として運用されているので、機能しているのでは」などの意見が寄せられた。