
中村 明宏 弁護士 インタビュー
弁護士を目指したきっかけ
大学ではアマチュアボクシング一筋の学生時代を送っていたので、あまり勉強に熱心なタイプではなく、弁護士になることも考えていませんでした。大学卒業後は、サラリーマンとして民間企業で働いていたのですが、そこでは管理部門に配属されていたため、自分の仕事の成果が直接的な結果として見えにくい部分があり、強いやりがいが感じられませんでした。
そこで、自分の仕事の成果が目に見える形で表れる弁護士を目指すことにしたのです。会社を辞めて司法試験の勉強をしている間は家にいることが多かったので、家事や育児も行っていました。
社会人としての経験や家事育児の経験のおかげで、組織や会社の中での問題や主婦の方の悩みに共感できる部分も多く、それらの経験を弁護士業務に活かすことができていると感じています。
今までの経験と現在の仕事内容
各種損害賠償、債権回収、債務整理といったお金に関する事案から、離婚や相続といった家事事件まで、いろいろな分野の事件を扱ってきており、現在も幅広い分野の事案を担当しています。また、刑事事件も、国選弁護・私選弁護とも取り扱っています。
事件には相手方が存在しますので、依頼者にとって100パーセント希望通りの結果を提供できない場合もありますが、事件が終わった後に御礼のお手紙やお電話を頂いたときには嬉しいですし、このように自分の努力が、直接目に見える形で返ってくることこそ私が仕事に求めていたものでもありますので、日々やりがいを感じています。
弁護士としての信条・ポリシー
一度受任した事件でベストを尽くすことは当然ですが、私にはその前段階である、事件を受任するかどうかという部分にこだわりがあります。私の場合、顧問先の企業や過去の依頼者からのご紹介もありますが、初対面の法律相談から受任に至る場合がほとんどですので、受任の段階で、自分なりに2つの基準を設けて判断しているのです。
まず一つめは、「明らかに勝ち目のない事件は引き受けない」ということです。どんなに助けてあげたい、勝たせてあげたい、と感じる事件でも、証拠が不十分な場合など、明らかに勝ち目がない事件はお断りします。
「負けてもいいから」「気持ちの整理のために」などの理由で裁判を望む方もおられますが、お金を頂いて仕事をする以上、結果が出せないことが明らかな事案は、弁護士として責任を持ってお引き受けすることはできないと考えています。
二つめは、「全く正義のない事件は引き受けない」ことです。 先ほど、どんなに勝たせたくても勝てない事件があるというお話をしましたが、その逆で、明らかにこちらが悪いのに勝ててしまう事件というものも存在します。
弁護士は、ただ勝てばいいというものではないと思います。青臭い考え方でお恥ずかしいのですが、私は、弁護士は「正義」を実現する職業であると考えていますので、「正義」が全くない側につくことはできません。
「かわいそうだから」という思いから、あるいは「儲かればいい」という割切りから、勝算や善悪は度外視して受任するというスタンスの弁護士も存在するかもしれませんが、私は、弁護士として、そのようなスタンスでは救えないもの、守れないものもあると考えています。
関心のある分野
関心のある分野というのは敢えて決めていません。どんな分野に関するご相談でも、まずはお話をお聞きするようにしています。
私は滋賀県という地方で勤務している弁護士ですので様々な分野の事件が寄せられますし、新たな分野の事案であっても、依頼者と一緒に学び、一緒に解決策を考えていく過程を大切にしたいと考えています。新しい分野の事件をお受けする度に、いろいろな勉強をしなければならないことは負担でもありますが、それ以上に新しい世界を知れるという面白さもあります。
ページを見ている方へのメッセージ
現在は、弁護士が急増しており、その数は今後も増え続けます。また、法テラスや、無料法律相談会、インターネットでの法律支援サービスなど、各方面の法的サービスが普及し、市民と司法との距離は縮まってきていると感じます。弁護士に対する「敷居が高い」という意識も、過去のものになりつつあるでしょう。
市民の方々には、是非、このような時代の流れを積極的に利用していただきたいと思います。身近にあるいろいろなツールを使って法律上の不安を解消し、それでも解決しない問題がある場合には、「手遅れ」になる前に、弁護士の法律相談を申し込んでください。