坂野 真一 弁護士 インタビュー
弁護士を目指したきっかけ
JR東海さんに就職内々定を頂いて、田舎に帰省したときに、父親がふと漏らした一言「お前も京大の法学部に行っているんだから、親戚におらんし、弁護士くらいなられへんのか?」がきっかけでした。父親としては、軽い気持ちだったようですし、私も相当軽い気持ちで「弁護士だったら、人助けになる仕事だし、ほな、やってみようか」と思ったのですが、それが私の転機でしたね。
ただし、そこから合格するまでは、泥沼に、はまりました。
学生時代
近視が進んで視力を落とすまでは、パイロットになりたかったこともあり、体育会のグライダー部(航空部)でグライダーを飛ばしていました。あとはグライダー部の費用を捻出するバイトと、部の仲間とわいわいやってました。バイクでのツーリングも大好きでした。全く司法試験を考えていなかったと思います。京大は自由な大学でしたし、とても楽しい時期でした。
現在の仕事内容と注力分野
かつては同期の弁護士5名と共同で事務所を経営していましたが、弁護士資格は金儲けの道具だ等と言い切る人に同調できず、発展的に共同関係を解消しました。若い人に教えることも好きなので、ここ10年以上、関西学院大学・同大学院でも講義をさせて頂いています。一般民事が多く専門に特化しているつもりはありませんが、他の弁護士と比較すれば少年・刑事事件、保険金請求事件、相続関連事件、株主代表訴訟等を多く手がけている方だと思います。
少年事件は、少年が自らの問題点を見つけ出すお手伝いをどうすれば出来るのか、少年自身の内省が進むのをどのように手助けすることができるのかが一番大変なところでもあり、やり甲斐のあるところのように思います。少年との真剣勝負ですね。少年事件は苦労もしますが、たとえ少年院に送致されても、数年後に「大学に合格しました」と合格通知のコピーを送ってくれたりすると、嬉しいですね。一日中ニコニコしてしまうくらいです。
刑事事件では、2019年9月に無罪判決を獲得しました。警察・検察の完全な思い込み捜査によって、特殊詐欺事件起訴され300日以上も身柄拘束されてしまった大学生の事件でした。新聞等でも報道され、ザ・世界仰天ニュースというTV番組でも取り上げて頂きました(2020.01.21放送「なぜ大学生は逮捕されたのか?」)。
保険金請求事件では、火災の被害者なのに、損保から自作自演の放火だと疑われた方の事件が印象に残っています。損保側の調査報告書では灯油成分を含んだ座布団が火災現場から発見されたことになっていましたが、火災直後の消防の調査ではそのような座布団は存在せず、損保側調査会社の調査に大いに疑問があったこと、損保側の証人を反対尋問で粉砕し、全面勝訴となったこと等で、依頼者の方にはとても喜んで頂きました。
相続関連事件は、相続税も絡むので、私自身税理士登録していますし、相続税専門の税理士さんと共同で受任することが多いです。
株主代表訴訟は、証拠も会社側に偏っている場合が多く非常に難しい訴訟になりますが、会社のコンプライアンス体制を見直す良いきっかけになることも多いはずです。難しいだけに勝った場合は非常に嬉しいですね。
印象に残っている案件(事件)
現住建造物放火の少年事件。 無罪を獲得した大学生の刑事事件。 ダスキン大肉まん株主代表訴訟事件。
仕事をしていてやりがいを感じるとき
なによりも依頼者の方が喜んで下さったときです。
弁護士に求められる能力
もちろん弁護士としての法律知識や能力は当然ですが、それに敢えて加えるならば、依頼者の方の言いたいことを的確に汲み取る能力。依頼者に共感する能力(共感して寄り添うだけダメです。どこかに冷静な部分が必要になります)。
休日の過ごし方
読書・映画・軽いドライブ・(長期の休みなら)旅行ですかね。
運動するようにお医者様に言われて、ゴルフもやっています。
旅行に出たときのみ、デジカメで写真を撮りますから、これも趣味の一つかもしれません。
今後の弁護士界の動向
私の完全な私見になりますが、残念ながら、あまり良い方向を向いているとは思えません。法曹志望者は激減しており、その質の維持は難しくなりつつあります。また、ニーズがないにもかかわらず実行してしまった弁護士人口の激増に、急ブレーキをかけないのであれば、弁護士淘汰がはじまるでしょう。
その淘汰が適切な淘汰なら歓迎すべきですが、私は、良い仕事をする弁護士ではなく、商売上手な弁護士が生き残る可能性が高くなる状況が迫っているように思います。なぜなら、情報豊富な大企業や資産家と違い、一般の国民の方が、弁護士の仕事の質を判断することは非常に難しいからです(弁護士の書面を比較して、その内容の優劣を判断できる一般の方は少ないでしょう)。
そうなると一般の方としては、弁護士の仕事の質が分からないのですから、あの弁護士は感じが良さそうだとか、CMでよく見るからといった、弁護士の商売の上手下手によって、依頼するかどうかを決める場面が多くならざるを得ないでしょう。私の周囲には、商売上手ではないが、本当に素晴らしい仕事をされる弁護士の方は多いので、商売上手かどうかで生き残りが左右される状況が良いとは私には、思えません。
さらに食えなくなってきた弁護士が、本来訴訟にしなくてもよい事件をどんどん訴訟にして弁護士報酬を稼ぐ可能性も否定できません。大災害が起きたらすぐ略奪が起きかねない個人主義的な諸外国と異なり、日本人には優れた社会性があります。弁護士の激増がその優れた日本人の特性を歪め、訴訟社会をもたらす引き金にならなければいいがと心配しています。アメリカの訴訟社会化は、ある意味過剰な弁護士資格の濫発も一つの要因ではないかと考えています。
上記の私見は、最初に弁護士列伝に載せて頂いた約10年前に記載した内容ですが、かなりの部分で当たってしまったように感じています。現在でも法曹志願者の減少は止まらず、かつては合格率2%だった司法試験は、ほぼ2人に1人が合格する試験に成り果てました。弁護士資格も5年ほど前に月刊プレジデントでブラック資格と呼ばれるようになってしまいました。法曹志願者を増加させ弁護士資格を復活させるためには、資格濫発をやめ、弁護士資格の価値を上げるしかないのですが、その方向で考えている人は、ほとんどいないようです。
今後のビジョン
今はインターネットの時代でもありますから、弁護士が、なにを、どのように一般の方に提供できるのかについて、HP等を通じて分かりやすくご紹介し、本当に弁護士の助力が必要な方には、最大限の助力を行うことが必要でしょう。
また依頼者の方の抱えた問題の解決にとって、真に必要な手続はきっちり行うが、不要な手続や不要な訴訟は可能な限り避け、依頼者の方に無駄なリーガルコストをかけさせないことも、弁護士の務めではないかと考えています。
無論弁護士も職業であって、その仕事により生活の糧を得なければなりませんが、弁護士資格をお金儲けの道具としか考えられなくなったら、弁護士としては終わりではないかと思います。
ページを見ている方へのメッセージ
弁護士は決して敷居の高い職業ではありません。ご相談されるだけで不安が解消され解決の糸口が見える場合もあります。お困りの場合は、弁護士や弁護士会に相談する勇気を持って下さい。
そして、弁護士に依頼される場合には、よくお話を聞いてくれる弁護士か、都合の良いことばかり言わずリスクも説明してくれる弁護士か、等に注意して依頼者の方のニーズに合った弁護士さんにご依頼されることをお勧めします。