瀬戸 仲男 弁護士 インタビュー
弁護士を目指した理由
私は、当時は珍しい社会人受験生でした。司法修習生になる前の日まで、不動産会社にフルタイムで勤務していました。
その頃、勤務先の会社の顧問弁護士や相手方の弁護士と話す機会がありましたが、不動産のこと、あるいは、不動産業界のことに詳しい弁護士がいなくて多少苦労しました。
業界用語を使って話をしても何のことかわかってもらえず、いちいち説明しなければならない。そこで、自分で“不動産(業界)がわかる弁護士”を目指すことにしたのです。
弁護士という仕事の魅力
弁護士の良いところは、縛られることがなく精神的に楽でいられるということです。上司の命令に縛られるような仕事ではないため、自分で創意工夫ができる仕事です。独立心がある人には向いていると思います。
しかし、その反面で、責任のすべてを自分で負わなければなりません。会社や上司や同僚が助けてくれるわけではありません。その意味で“自由と責任”という近代法の根本原理がピッタリ当てはまる仕事です。
印象に残っている事例
弁護士になって1年目くらいに、携わった事件が印象に残っています。当時のボス弁が企業倒産のプロで、そのボスと一緒に「茶巾寿司の“京樽”」の会社更生申立代理人として奔走しました。
メディアの報道等も大きくなされて注目されましたし、また、押し寄せる債権者との待った無しの真剣勝負は正に“修羅場”でした。大変な現場でしたが、この時の経験が弁護士としての自分を大きく成長させたと思います。今では良い思い出です。
仕事で嬉しかったこと
弁護士とは、一種の“職人”だと思っています。既製品を扱う販売員ではなく、事件ごとに正に“手作り”で処理をしていく仕事ですので、自分の信念に基づいて見通しを立てて実行していく“参謀”です。たとえ困難が予想される案件でも、自分を信じ、自分のアイディアに誇りを持って前進し、良い結果を勝ち得た時の喜びは無上のものです。
大変だと感じること
それぞれの業界の様々なことを勉強することも、楽しくも大変なことです。私は不動産会社に勤務していましたので、不動産業界、建築業界、設計業界のことはわかりますが、他の業界のことは勉強しなければなりません。
たとえば、私は、日本の伝統芸能である“歌舞伎”の世界と縁ができ、更に、そこから音楽の世界につながりができました。それぞれの業界の慣習や伝統を学んでいます。弁護士とは、“毎日が勉強”ですね。
弁護士としての信条
今は亡き先の天皇陛下(昭和天皇)の御製に次のような一首があります。「降り積もる深雪に耐えて色変えぬ松ぞ雄々しき人もかくあれ」という御歌です。人の一生には様々な困難がありますが、大事なことは、その困難に耐えてはね返す自分自身の覚悟だと思います。困難を避けるわけにはいきません。
困難の中であっても、真面目に、真摯に、上を向いて、前を見つめて、歩んでいきたいと思っています。
特に関心のある分野
私のボスが企業倒産のプロでしたので、企業に関する法律分野に興味があります。本来ならば、企業は倒産せずに“ゴーイング・コンサーン”として社会に貢献すべき存在です。
したがって、企業は、トラブルが起きる前に弁護士に相談して、トラブルの発生を未然に防止する必要があります。これは、病気になってから医者に行くのではなくて、常日頃の健康な時から健康診断を受けて備えるのと同じことです。そして、我々弁護士は、企業が倒産しないようにトラブルを回避するための“予防法学”に尽力するのが本来のあり方です。
企業としては、信頼できる弁護士と顧問契約を結び、日常的に相談を行って、“転ばぬ先の杖”として弁護士を利用すべきです。それが結局はコスト削減にもなりますし、円満な企業経営のコツだと思います。
悩みを抱える方へのメッセージ
もしも、読者の中で、「弁護士は敷居が高い」と思っている方がいらっしゃったら、認識を改めましょう。弁護士といっても、普通の人間ですから、遠慮せずに、どしどし相談してみましょう。
既に弁護士に依頼している方や、顧問弁護士がいる企業は、他の弁護士の意見、いわばセカンド・オピニオンを聞いてみるのも良いことです。弁護士の仕事は、既製品の販売ではなく、手作りの仕事ですから、弁護士によって見立ても、処理方法も異なることがあります。いろいろな意見を聞いて納得することが、良い結果につながると思います。