北川 浩司 弁護士 インタビュー
弁護士を目指した理由
大学生の時にまともに就職活動をする気が無かったんです。環境論のゼミに入っていたので、公害を引き起こし、労働者を搾取する企業なんかに加担なんてできるか!みたいな気持ちもありました。
それで私は法学部だったものですから司法試験浪人生になって、人生のモラトリアム期間をもらっていました。裁判官、検察官になることは考えなかったですね。やはり当事者に一番密接に関わることができるのは弁護士だなと思いましたので。
業務内容
大きい企業の相談が来るわけではなく、地元の事務所として日々の生活に関する案件が中心です。離婚、交通事故、債権回収、損害賠償、成年後見、債務整理、生活保護申請などです。「普段着で来る事務所」ですね。
貧困問題の支援について
ロースクールに入学する前からホームレスの方を支援する活動に携わっていたのです。活動を始めた時には、まともに話ができないんじゃないかと思っていたのですが、路上に出て行って話しかけてみると普通のおじさんとして話せるんですね。
様々な悪条件が重なってしまって、ある時世の中底辺の方にスコーンと落ちてしまった人たちなのですが、彼ら一人一人にも大変奥の深い人生があったのです。世の中の広さというのを肌身で感じました。そして活動していくうちに、彼らも適切な環境があれば生き生きしてくる人たちなのだということに気付いてきました。
それで、このような問題は本人達のせいではなく、彼らをどうしようもないところまで追い込んだ、世の中の体制の問題なのではないかと思い始めたのです。そして法律もその中の一要素であるわけです。自分の支援する人たちの問題は法律問題であると考えまして、このような活動を続けております。
印象に残っている事件
最近扱った刑事事件は印象に残っています。被告人は連続窃盗犯で前科11犯。20代からの40年あまりのうち30年以上を刑務所の中で過ごしてきた人で、実刑は間違いないと見込まれました。その被告人は接見室で「先生、私みたいなものは弁護のしようがないですよね。適当でいいですから」と言ったのです。何という絶望感だろうかと感じました。
接見を重ね、少しずつ、彼の半生と過去の挫折について話してもらえる関係になりました。迷いましたが、法廷では全てを語ってもらう方針をとることにしました。彼の人生の物語を、裁判官にも聞いてもらおうと思ったのです。
結局実刑にはなりましたが、彼の背景の何割かでも裁判官に理解してもらったうえでの判決だったと思います。判決後に「先生、これで良かったと思っています。ここまで弁護してくれた先生は今までいなかった。本当に感謝しています」ということを言ってくれたんです。その言葉はありがたかったですね。
仕事で嬉しかったこと
弁護士もたくさんいるわけですが、たくさんいる弁護士の中で、「北川先生でよかった」と言われることは嬉しいですね。
大変だと感じること
自分が関わった人達は多少採算が取れなくてもやらなければならないなと思っています。それが大変じゃないと言えばウソになりますね。しかし、弁護士の仕事の本質はそのようなことだと思うし、やりがいはあります。多分ビジネス法務の世界とかに行ってしまったら半年も続かなかったんじゃないかな。
弁護士としての信条・ポリシー
依頼者一人一人の人生の尊厳を大事にするということです。刑事被告人でも説教はしないようにしています。あとは依頼者本人の選択を大事にするということです。私はご本人がよりよい選択をするためのアドバイスをするという形ですね。
今後の弁護士業界の動向
先行きは見えませんが、競争が激しくなってきていることは感じます。最近では東京の大手の事務所と地元の事務所も競争関係になっているかなと思います。ただうちは広告費をバンバン使ってお客さんを集めて、画一的に案件処理をしていくという事務所ではありませんので、これからも1件1件オーダーメードで頑張っていこうと思います。
ページを見ている方へのメッセージ
何か困ったことがあったらいろいろな弁護士に相談してみるのも良いかも知れません。問題に対する解決策は1つにきまらないことが多いのです。その弁護士の人生や社会に対する見方に大きく影響されます。ですので、いろいろな弁護士に相談してみるといいと思います。
しかし、結局最終的に決断するところは相談者ご自身だと思います。ご自分の人生がかかった争いで、自分自身が決断するのを助けてくれる弁護士に相談できるといいですね。