佐々木 新一 弁護士 インタビュー
弁護士を目指した理由
法学部の学生でしたので、弁護士にはなんらかの形で憧れのようなものはありました。ただ学生時代は学生運動にのめり込んでいて、司法試験の勉強などは特にしていませんでした。大学4年の時に、身体検査で落ちてしまって就職ができなかったのがきっかけでした。
そこで、「自分のスタイルが貫ける仕事、世のため人にためになる仕事」ということで弁護士になろうと思いました。両親に1年だけ余分に大学に行かせて欲しいと頼み、受験勉強を始めました。大学時代の4年間はやりたいことを精一杯やってきたので、司法試験もいけるのではないかと思ったんです。
印象に残っている事件
弁護士になってから数年後の労働事件で、始めてから終了まで8年かかった事件です。当時の労働組合というのは、会社が倒産すると、工場を占拠して自主生産を続けるという戦術をとりました。
私の担当した事件は、もともと、会社に組合ができたら、その組合が猛烈な組合攻撃を受けて、それに耐えたら、今度は会社が破産してしまったという事件です。その事件では、上記のような工場占拠で対抗したのですが、東京地裁破産部にかかわる事件が発生して破産処理の方向に変化がありました。私たちはその変化に気がつきませんでした。
当事者と弁護士が個々の事件を精一杯やることにとらわれてしまい、事件の置かれた局面や全体的な見通しを考えられなかったということが大きな反省として残り、印象に残っています。
あとは、これも最近負けてしまった事件なのですが、教員の長時間労働の事件です。現在最高裁で争っています。1審、2審とも、理屈ではこっちが押していると評価できる事件ですが、結果として負けてしまいました。社会的な影響の大きな事件で勝訴判決を獲得していくのはやはり難しいということで、こちらも印象に残っています。
仕事で嬉しかったこと
嬉しいことはしばしばありますが、難しい事件を当事者の納得のいく形で解決できた時、判決が狙った通りにいった時などは特に嬉しいですね。
大変だと感じること
「嬉しかったこと」の答えとは逆の時、つまり思い通りの結果にならない時、勝つべき事件と思いながらも勝機を見いだせない時などは悩みますね。証人尋問でどのように切り込めばよいか、などは公判直前まで悩みますからね。
休日の過ごし方
私はほとんど休みなく事務所にきています。ちょっとした旅行にでも行かない限りは事務所にいますから、年間の労働時間は3500時間を超えていると思います。土日は主に書面を書く仕事をするんです。平日の日中は裁判所に行ったり、打ち合わせがあったりで時間が取れないんですね。
弁護士としての信条・ポリシー
これと言って明確に意識したことはありません。自分の納得できる仕事を引き受けるようにしています。自分の倫理観を捨ててまで仕事を受けようとは思わないですね。
依頼者に対して気をつけていること
依頼者に対して「やってあげているんだ、自分に任せてくれ」という意識があったかなと思いますね。依頼者に対しても丁寧に説明しなければならないなと感じています。
関心のある分野
労働の分野とともに、貧困問題に対しても合わせて力をそそいでいこうと思っています。弁護士会でもその活動していて、貧困対策本部の本部長代代行をしております。私は役所では働いていた時にケースワーカーをやっていたこともあって、ずっと自分のテーマではありました。
今後の弁護士業界の動向
大変だと言われていますよね。弁護士の人数について日本中の弁護士会でもめているところですが、私のスタンスとしては、本当に必要な弁護士の数はどれくらいなのかということをきちんと議論しなければならないと思いますね。
優秀なビジネスロイヤーの需要はあるでしょうが、貧困問題や労働問題に自覚的に取り組む弁護士の需要もあります。しかしその分野はまだあまりいいないのが現状です。だから活躍できる場はあると思うのですが、なんとなく弁護士になってしまう人にはしんどいと思います。これからは自分が何をやりたいのか自覚して、生き残る努力と活動をしなければならないと思いますね。
今後のビジョン
個人としては引退年齢です。中長期的なビジョンというものは特にありません。やりたい仕事をやれる限りやっていこうと思っています。
ページを見ている方へのメッセージ
弁護士にも様々な人がいます。弁護士を選ぶ時には、弁護士という肩書だけで選ばずに、無料法律相談とかを利用して何人かの弁護士の相談を受けてみるといいと思います、そこで気軽に相談できる弁護士の先生を見つけてほしいですね。