小林 善亮 弁護士 インタビュー
弁護士を目指した理由
大学は経済学部でした。人をある種の機能と見ているところに不満を感じていました。社会思想史のゼミに入り、一方で人間の考え方や生き方の多様性を感じ、他方で社会には様々な不合理さがあることを学びました。
弁護士は依頼者という個人に寄り添って、法律という多数決で生まれた仕組みをよりよく変えていくことができると思って勉強を始めました。
手がけてきた事例
いわゆる不動産関連や交通事故などの一般民事事件や相続や離婚などの家事事件、刑事事件、労働事件など身近な法律問題が多いです。その他には横田基地の騒音公害訴訟や教育問題に関わる事案など、憲法の人権にかかわる弁護団事件を複数担当しています。
横田基地の騒音訴訟は弁護士登録1年目から関わっています。多くの弁護士と議論しながら裁判を進めることで弁護士としての自分が育てられた事件です。
弁護士としての信条・ポリシー
①法律的なアドバイスに限らず、その人のこれからの人生にとってどういう選択が望ましいのだろうという観点で、相談者・依頼者と一緒に考える。
②事案を検討する際も事実を大切にする。
特に2番目の「事案を検討する際の事実を大切にする」ということは、法律論を先に、そこに事実を当てはめたり、法律の要件に必要なことだけ相談者から聞くのではなく、何が行われていたか、事案の背景にどんな経過があったかという「事実」を把握することが大事だと感じています。
憲法ミュージカルについて
一般公募の市民100人が、150時間以上の稽古を重ねて、憲法をテーマにしたミュージカルを上演するという企画です。作品や指導はプロの演出家、舞踏家、音楽家が行います。
同様の企画は他のところでもありますが、東京・多摩地域では弁護士の呼びかけで2007年(沖縄戦)、2008年(「慰安婦」問題)、2009年(諫早干拓事業)と取り組みました。その後、2019年には、埼玉県と多摩地域の2か所で公演を行いました。企画を通じて、合計でのべ24,000人の観客に観ていただきました。
企画を立ち上げた当時、憲法は古いので変えようという声がありました。弁護士なので、困った方から沢山お話を聞きますが、背景を辿っていくと、きちんと憲法や法律で保護されるべき事が、保護されていません。
いまの憲法に書かれていることだって十分実現されていない。「古い」と変えてしまう前に、どんな憲法があって、きちんと必要としている人に、憲法やの光が当たっているか市民と一緒に考えたいと企画をしました。
私が立ち上げた憲法ミュージカルの特徴は、全員が舞台の上に立つ、という所です。一般市民に出演者募集の呼びかけをし、オーディションを行います。ですが、このオーディションで落ちる人はいません。
これは演出家であった、田中暢さんの方針で、とにかくいろんな人がいるのが社会であって、その社会をそのまま舞台に上げたい、とのことでした。
「やりたい」と言って企画に飛び込んでくれた人たちを落とすような基準を、私たちも持ち得ないのです。全ての人がまず尊重されるという、とても憲法的な方針だと思います。
これからも、多くの人が参加できる企画で、憲法と市民との橋渡しができたらと思います。
ページを見ている方々へのメッセージ
どんなに良い憲法や法律があっても、それを生かす市民がいなければ画に描いた餅。ページを見ていただいた方には、どんなことでもまず相談してみてくださいとお願いしたいです。