吉村 孝太郎 弁護士 インタビュー
弁護士を目指したきっかけ
格好いい理由はこれと言ってないのですが、メディアの影響が大きいように思います。
小学生の頃から、探偵物、事件解決物の海外ドラマをよく見ていて、そういった職業への憧れが発端だったのでしょう。小学校の卒業文集にも将来の夢は「弁護士」と書いていましたし、大学進学の際も、特に迷わず法学部という選択をしました。
司法試験の勉強中も、弁護士ものの海外ドラマ(アリ―MYラブなど)を見て気持ちを奮い立たせたりしていました。幼いころからの憧れのまま、ここまで来たという感じです。
サラリーマンとして働く父を見ていたこともあってか、一方的な転勤や上司からの束縛など、サラリーマンに良いイメージを抱いていなかったことも要因かも知れません。
今までの経験と現在の仕事内容
いわゆる町弁として、民事も家事も刑事も全て扱いますし、労働事件なら会社側も労働者側も扱います。関連の委員会に所属して活動していることもあってか、外国籍の方からの相談も多くあります。
印象に残っている案件(事件)
上記の中でも刑事事件は比較的多く、幾つかの無罪判決に関わりました。弁護士2年目の時、初めて無罪判決を獲得し、平成24年10月にも、さいたま地裁における裁判員裁判で、初めての無罪判決の弁護人を務めました。
これについては、無罪判決を勝ち取ることそのものが大変難しいこと(全体の1%にも満たないと言われています)に加え、私自身強く無罪判決を勝ち取りたい、取るべきだと考えていた事件だったため、鳥肌が立つほどの喜びを感じました。
いずれも中国語を母語とする被告人で、日本語を母語としないが故に、捜査上に過誤が生じ冤罪が起こりやすいのか、とも思います。
裁判員裁判について
いまだ議論の余地有りだと感じています。これまで数件担当してきましたが、証拠の取り扱いや、運営方針、期日の取り方などが、裁判体(裁判官)によってかなり違っています。これには、まだ制度として発展途上であり、裁判所側にも確たる指針がなく、手探りで取り組んでいる印象を受けます。内容を明確にするための整備、改良が必要であると感じます。
仕事をする上で意識していること
当然のことではありますが、依頼者の本音を把握すること、依頼者から信頼を得ること。具体的には、とにかく最初はきちんと話を聞くように心掛けています。
弁護士は敷居が高いと言われますし、意図せず重要なことを話さずに相談される方もいます。こういったように、相談の段階で把握し損ねた事が命取りになったりすることもありますし、弁護士としては、全てを打ち明けて欲しいというのが本当のところです。
依頼者が打ち明けることによってストレスを発散してくれれば、それも一つの成果として考えてよいと思いますし、単に話すことで楽になる部分もありますから。
なにより、単純に裁判に勝てばいい、というのではなく、依頼者が心から納得できる解決を常に目指しています。
また個人の依頼者にはうつ病等の病気を抱えている方もいらっしゃいますし、依頼事件が病気の一因であれば尚更、心療内科医のような気持ちで依頼者に接するようにも心がけています。
関心のある分野
興味があるのは法整備支援の分野です。世界に目を向ければ、例えば東南アジア地域など、法制度そのものが整っていない、また適切な運用がなされていない国が多くあります。
JICAや日弁連での研修を受けてきただけではありますが、私自身、日本の法律とその運用は決して悪くないものだと考えていますし、日頃から一般の方と接する機会の多い、私のような町弁でも、国際協力できる側面があるのではないかと模索しています。
今後の弁護士業界の動向
法制度改革に関しては、単純に弁護士の数を増やそう、というのでは意味が無いと思いますが、時代の傾向として必要に応じて増えていくこと自体は、悪いことではないと考えています。
弁護士の間にも能力の差というものが存在することを日頃感じていますし、資格を持っているだけで漫然としていれば、淘汰されてゆく時代になってきていると思います。弁護士個々人の、より一層の努力が必要なのではないでしょうか。
また現在、業界全体が就職難であることは事実でしょう。弁護士は、勉強したことがそのまま仕事に活かせる職業ではありますが、それでもやはりその知識の使い方を知ること、つまり先輩弁護士の下で実務経験を積み、学ぶことは必要です。若手弁護士にそういった機会がきちんと与えられるよう、法曹界全体で取り組んでいく必要があると思います。
ページを見ている方へのメッセージ
自身では、弁護士に関わる問題かどうかの判断がつかないことも多いかと思いますが、相談はお気軽にして頂きたいです。弁護士に話すだけで大きく変わることがありますし、客観的視点からのアドバイスを受けるだけで、心持ちも違ってくると思いますので。