挫折経験を糧に依頼者の心に寄り添い続ける〜家事事件・少年事件に注力
2度の高校中退から切り開いた弁護士への道
ーー弁護士を目指したきっかけを教えてください。
きっかけとなったのは、高校時代の挫折経験でした。高校入試で志望校に進学できなかったことをきっかけに、父親と激しい口論になりました。今思えば典型的な反抗期だったのかもしれません。父への反発心と、目指した学校に入れなかった挫折感が重なり、望まずに入学した高校で不登校になってしまったんです。
心機一転を図って転校したものの、新しい学校にも馴染めず、2度目の退学をしてしまいました。その時に、「自分は人生の落伍者になってしまった」という強い自己否定感に苛まれました。しかし、同時にこの状況を打開したいという強い思いも芽生えました。
そこで考えたのは、学歴に縛られない職業に就くことが、再起の道になるのではないかということです。そして選んだのが、難関試験である司法試験への挑戦です。弁護士という職業なら、自分の過去ではなく、努力と実力で勝負できると考えたのです。
この決意を胸に、通信制高校を卒業し、大学に進学。そしてロースクールを経て、念願の弁護士になることができました。
ーー学生時代はどのように過ごされたのですか。
大学は写真部に入部しました。実は父がデジタルカメラの開発に携わっていたんです。高校入学時に父と激しい口論をしてしまいましたが、もともとは仲が良く、父の影響を強く受けて育ちました。
その父は、私が高校生の頃に他界してしまいました。その後、父が残してくれたカメラを使って写真を撮るようになったんです。
父は熱心なサッカーファンでもありました。私自身は元々野球派だったのですが、父が他界してからサッカー観戦を始め、大学時代は父が応援していたチームの試合を観たりしていました。
おそらく高校入試の失敗をめぐって父に酷いことを言ってしまったという後悔の念があったのだと思います。大学時代は、父の背中を追いかけるような生活を送っていました。
相談者一人ひとりに合わせたアプローチ
ーー注力分野と注力している理由を教えてください。
特に力を入れている分野は、少年事件と家事事件です。
まず、少年事件についてですが、これは私の過去の経験が大きく影響しています。事件を起こしてしまう少年たちは、家庭環境に恵まれていないことが多いです。その中には、通信制学校に通っている子どもたちもいます。
私自身、高校時代に不登校を経験し、通信制高校で学んだ経緯があります。少年たちの置かれた状況や心情をより深く理解し、適切なサポートを提供できると考え、注力するようになりました。
家事事件に注力しているのは、比較的相談の多い分野であることに加え、家族という最も身近で大切な関係性に関わる問題だからです。家族の絆や、その中で生じる葛藤については、私自身の経験からも深く共感できる部分があります。
ーー弁護士として活動する上でどのようなことを心がけていますか。
相談者の話をしっかりと聞くことです。相談に来られる方々は、それぞれ異なる背景や事情を抱えています。自分から積極的に話してくださる方もいれば、こちらから丁寧に話を引き出さなければならない方もいらっしゃいます。そのため、相談者のペースに合わせながら、話を聞くように心がけています。
相談者一人ひとりに合わせたアプローチを心がけることで、より深い理解と共感が生まれます。単に事実関係を把握するだけでなく、その背後にある感情や考えまで理解することが、最善な解決に繋がると思います。
ーー少年事件の加害者に対してはどのように接していますか。
親しみやすい雰囲気で接することを心がけています。そうすることで、少年たちが心を開いてくれて、彼らの本当の気持ちや、事件に至った背景を理解しやすくなります。
ただし、被害者のいる事件であることを常に念頭に置かなければなりません。親しみをこめて接しつつも、犯した罪の重さを少年にしっかりと理解させる必要があります。なぜなら、仲良くなるだけでは、少年たちが「自分は許された」と誤解し、再び同じような過ちを犯す可能性があるからです。
彼らが社会に戻った時に、健全な一員として生活できるよう導くことが私の役割だと考えています。
ーー大学院で講師をされているそうですね。
母校からお声がけいただいて、週に1度、法曹を目指す学生にゼミを行っています。少年事件など、子どもに関わる仕事に携わりたいと考えていたので、講師の話をいただいたときは二つ返事でお引き受けしました。
講師の仕事は、私にとって貴重な学びの場にもなっています。学生たちに法律の知識や実務経験をどのように伝えれば理解してもらえるか、言葉の選び方や伝え方に日々創意工夫を重ねています。
特に意識しているのは、専門的な内容をいかにわかりやすく説明するかということです。というのも、法律事務所に相談に来る方々は、法律の専門知識をお持ちでない一般の方々です。法律の基礎知識がある学生に上手く伝えることができなければ、専門知識のない一般の方々に伝えることはさらに難しいはずです。
講師としての活動は、単に知識を伝えるだけでなく、私自身の成長にもつながっています。法曹を目指す学生と関わることで、私も初心を忘れず、常に学び続ける姿勢を維持できています。
「弁護士らしくない」が強み
ーー休日はどのように過ごしていますか。
土曜日は、先ほど申し上げた通り、大学院で授業を行っています。これは仕事の延長線上にありますが、次世代の法曹を育成する重要な役割だと考えていますので、やりがいを感じながら取り組んでいます。
日曜日は、主にスポーツ観戦に時間を使っています。サッカーや野球などの試合を見るのが好きで、可能な限りスタジアムに足を運ぶようにしています。また、ゴルフの練習にも行くようになりました。弁護士になってから始めたのですが、徐々に上達してきて楽しさを感じています。
ーー今後の展望を教えてください。
現在所属している事務所で、できるだけ長く戦力として貢献したいと考えています。また、幅広い分野に対応できる弁護士を目指しています。
法律問題は往々にして複合的な性質を持っています。例えば、相続問題に付随して不動産問題が発生することがあります。あるいは、離婚問題の依頼者から労働問題の相談を受けることがあるかもしれません。
そのような状況に対して、一貫して対応できる弁護士になりたいと考えています。依頼者の方々に信頼していただき、「この案件もお願いします」と言っていただけるような関係性を築きたいです。そのためには、専門分野を持ちつつも、どの分野でもオールマイティーに対応できる能力が必要だと感じています。
ーー最後に、法律トラブルを抱えている方へメッセージをお願いいたします。
私は、多くの弁護士のようないわゆるエリート街道を歩んできたわけではありません。そのため、良くも悪くも「弁護士らしくない」と感じられるかもしれません。おそらく、このインタビューを読んでいる方の多くは、私よりも立派な学歴をお持ちではないでしょうか(笑)。
しかし、それこそが私の強みだと考えています。早くに父親を亡くし、高校入試で挫折を味わい、不登校を経験するなど、数多くの悩みや問題を体験してきました。だからこそ、皆様の気持ちに寄り添い、共感することができると思います。
弁護士は敷居が高いと思われがちですが、私のような経歴を持つ弁護士もいます。ですから、どうかお気軽にご相談ください。皆様の不安や悩みを共に背負い、一緒に問題解決の道を探っていきたいと考えています。