加村 啓二 弁護士 インタビュー
弁護士を目指した理由
中学生の頃は医者になりたかったんですよ。野口英世、北里柴三郎、シュバイツァーなどの伝記を読んで、「世のため人のためになる仕事がしたい」と思ったんです。
しかし、医者になるには大変にお金がかかるかも知れないということで、「うちでは無理だよ」ということを言われました。私は田舎の農家の次男坊だったもので、決して豊かな経済状況ではなかったんですね。それで医者以外の、世のため人のためになるような仕事をしようと思い、弁護士を目指すことにしました。
印象に残っている事案
民暴関係の事件で1つ大変印象に残っています。民暴というのは暴力団関係の事件を取り扱うものです。八潮のほうで演歌のながしをしている方がいたのですが、その地域の暴力団が、「自分のなわばりを荒らされた」と言って、事務所につれこんでその人を滅多打ちにしたのです。
その方は翌日に亡くなってしまい、滅多打ちにした暴力団員は傷害致死で刑務所に入れられました。そしてその後、遺族が暴力団の組長と組長代行に損害賠償訴訟を起こしたのです。暴力団の組長に訴訟を起こすというのはとても勇気のいることなのですが、7、8人で弁護団を組んで、裁判所や県警の人達の協力なども得ながら、勝訴することができました。それが大変印象に残っています。
仕事の中で嬉しかったこと
難しい事案でも解決することができて、依頼者に感謝されるときは嬉しいですね。そういう時は弁護士冥利に尽きるといった感じです。
弁護士になって一番大変だと感じること
依頼者の考えと自分のやり方が食い違うことが稀にあるのですが、その時に依頼者を説得してもなかなか納得してもらえないことがあります。そのような時は難しいですね。どうして理解してくれないのかと悩ましく思こともあります。
休日の過ごし方
休みは土曜の午後と日曜の午前中です。この時間は気力・体力回復のためにスポーツの時間にしております。土曜はまず仕事を終えたらジムに行って少し運動した後、テニスをしに行きます。テニスは40歳から始めたのですが、初級からスタートして今は中級です。
日曜の午前中はプールに行って泳ぎ、サウナに入ってきます。その後、午後はまた事務所に行きます。スポーツはストレス発散になり非常にいいですね。睡眠時間はだいたい8時間は取っていますね。ストレスがたまっている時もありますが、寝るのが一番です(笑)。
息子と娘が浦和レッズのファンでして、埼玉スタジアムの試合の年間シートを買って見に行っているんですよ。子ども達が行けない場合には、私も女房と一緒に見に行ったりしますね。
弁護士としての信条・ポリシー
依頼者が一番困っていることは何だろうかということを理解するように努めています。その上で、例えば無理に裁判で勝ちにいくのではなくて、勝ちにいくべきか、示談にもっていくべきかということを見抜いた上で、依頼者に見通しを伝え、協力を得ながら解決していきます。とにかく誠実に対応するということに尽きますね。
依頼者に対して気をつけていること
依頼者が、何をしてもらいたいのか、何を求めているのかをじっくり聞くということです。若いときにはついついこちら側がやりやすいように、誘導的になってしまうこともあったのですが、経験を積むうちに依頼者と自然体で向き合えるようになりました。依頼者本位ということを大切にしています。
関心のある分野
裁判所の調停委員の仕事に力を入れていきたいと思っています。家族・親族関係の話を、両当事者の意見を聞いて取りまとめるのですが、このような話は法律構成だけでなく人生経験が大切になってくるような分野です。そのような分野で自分の経験を生かせたらいいなと思っています。
今後の弁護士業界の動向
一般市民に司法が行きわたるようにするという司法改革はある程度達成しつつあると思います。弁護士に対する敷居は確実に下がってきています。しかし今度は弁護士の増えすぎ等、ひずみが出てきていることも確かです。今はこのひずみを見直す段階です。
弁護士の仕事は、昔みたいに大きい事件だけやればいいという話ではなくなっており、小さい事件もコツコツやっていかないといけない状況になっています。仕事の単価も下がってきていますの、弁護士になってお金持ちになり、豊かな生活を送ろうというのは難しいです。
しかし、仕事がなくなるわけではなく、人のために何かやりたい、と思う人にとっては引き続きとてもやりがいのある仕事だと思いますよ。
貸与制について
これは、法曹および法曹養成の本質を揺るがす極めて深刻な問題だと思っています。私自身、大学時代の奨学金と修習期の給費制のおかげで、とても充実した時間をすごすことができ、ここまで頑張ってこられたと思っています。
しかし、今の学生が法曹になるためには、法科大学院の学費、生活費のために借金をしなければならない人達がたくさんいます。その上に司法修習期の貸与制で年間約276万円を借り受けるというのは異常な事態です。弁護士会では給費制維持活動が行われてきましたが、引き続き続けていこうと思っています。
今後のビジョン
私は弁護士になって30年以上経ちましたので、私自身の山は、とりあえず越えたかなと思っています。今後10年は若い弁護士を育てていきたいです。貧困者など困っている人を救う活動をしている弁護士はとても増えてきていて、弁護士のあるべき理想に近づいてきていると思います。そのように世のため人のために活動する若い弁護士を育てていきたいですね。
ページを見ている方へのメッセージ
弁護士の敷居はかなり低くなっています。何か困ったことがあったら悩まずに弁護士に相談してみてください。お金のない人は法テラスで無料相談もありますし、ある程度経済的余裕のある人は実際に弁護士に相談してみると良いと思います。
(2011年3月8日インタビュー実施)