「この人を助けたい」30年近いキャリアでも純粋な思いを原動力に、依頼者と向き合う
「人の役に立ちたい」家族のトラブルをきっかけに、弁護士を目指す
ーー弁護士を目指した理由やきっかけを教えてください。
弁護士を目指し始めたのは、私が高校生の時に、姉がいわゆるマルチ商法に引っかかったことがきっかけです。家族を騙した人を許せず、法律知識を身につけて、姉のようにトラブルに遭った人を助ける仕事をしようと決心しました。
ーー学生時代は、どのように過ごしていましたか?
日々、法律の勉強に励んでいました。法律相談サークルに所属し、地元の方の相談に向き合い、解決策を模索していました。昔から相撲を取るのが好きだったので相撲部にも所属し、毎日練習していましたね。
大学卒業後は司法試験の勉強を続けながら、2年間、法律事務所で事務の仕事をしました。弁護士になる前に法律実務に触れられたので、よい経験ができたと思います。
ーー注力している分野を教えてください。
刑事事件、中小企業の法務、交通事故の3分野に注力しています。
ーー刑事弁護をおこなう意義は何でしょうか?
刑事裁判では、1人の一市民と国家が争います。警察や、検察、国家の方が力があり、市民はとても弱い立場です。弁護士は、刑事裁判において国家と一人で戦う一市民の見方となり、一市民の公正な裁判を受ける権利を守るために刑事弁護をします。
最近の報道を見ると、「なぜ犯罪者をかばうのか」と、刑事弁護人を批判する声を聞くことがあります。私も、悲惨な事件や事故を見ると心が痛みます。ただ、「疑わしきは被告人の利益」と言われるように、被疑者・被告人が有罪か無罪かは裁判の結果が出るまでわかりません。そして、有罪であっても、過剰な刑罰を受けることがあってはなりません。
被疑者・被告人の立場に立って、その権利・利益を守ることが、弁護人の役割であり、刑事弁護をおこなう意義だと思います。
ーー刑事事件の依頼者とのコミュニケーションで心がけていることはありますか?
取り調べでは、弁護士が立ち会えない中、警察による長時間のがおこなわれます。依頼者の精神的負担は計り知れません。依頼者が厳しい取調べに屈することがないよう、少しでも負担を減らすために、依頼者のもとに何度も足を運び、話をするようにしています。複雑な刑事手続きについて丁寧に説明し、依頼者と今後の方針を立てます。事件の話だけではなく、雑談をすることも多くあります。
また、依頼者の家族とのコミュニケーションも大切だと思っています。依頼者と家族の伝言役としてお互いのメッセージを伝えたり、捜査機関と交渉して、家族が依頼者に会う機会を設けるよう働きかけたりしています。
ーー日本の刑事司法において望ましい変化はありますか?
今は、ドラマに出てくるような、警察官が被疑者・被告人に暴行するといった明らかな人権侵害は少ないと思います。ただ、言葉による暴力など違法な取り調べは依然として行われているので、是正していかなければなりません。
取調室の中を録音・録画する制度もできましたが、全ての取り調ベには適用されません。どのような取り調べにも適用されれば、被疑者・被告人の権利がより守られると思います。
ーー中小企業の法務にも注力されているのはなぜでしょうか?
何度か地元企業の法律相談に応じてきて、「弁護士は敷居が高い」と感じている企業が少なくないと気づいたことがきっかけです。相談しやすく、悩みを抱える中小企業に寄り添える弁護士でありたいと考えて、注力するようになりました。
ところが、実際に業務を始めてから、自分がいかに企業や経営について知らないかに気づいたんです。そこで、1年間弁護士業から離れて、企業で働くことにしました。この経験を通して、企業内部のことを多少なりとも理解できました。依頼者とのコミュニケーションがより円滑になるなど、実務にもいい影響があったと感じています。
ーー最後に、交通事故に注力している理由を教えてください。
交通事故案件を多く手掛けるようになったのは、NPOの方から多くの事件の交通事故被害者の紹介を受けることになったことがきっかけです。事件処理を通じて、被害に遭った方の、身体が治らない悔しさが痛いほどわかりました。
でも、後遺症が残った場合、事故に遭う前の身体に戻ることが不可能なこともあります。身体が治らない悔しさ、不便さは、金銭的に賠償してもらうしかないのです。
交通事故による損害賠償分野の損害賠償算定はかなり具体的に基準が固まっています。その基準に従ってあるべき賠償を実現し、被害者の方のこれからの人生を支援したいと思っています。
私自身、脳出血の後遺症があり、手の24時間のしびれなど体験しています。後遺症に悩む被害者の方のお気持ちを実感できるのではないかと思っています。
「この人を助けたい」
ーー30年近いキャリアを維持してきた原動力はなんでしょうか?
弁護士業の魅力は、喜怒哀楽がそのまま仕事のパワーになることです。「この違法な捜査は許せない」「この人を助けたい」という純粋な感情が原動力になります。困っている人を助けたい気持ちと、問題を解決して依頼者に感謝されたときの嬉しさは30年経っても変わりません。
困っている人を救うという弁護士の価値と魅力は、どの時代でも全く変わらないと思います。
ーー休日の過ごし方を教えてください。
休日でも仕事をしていることが多いです。土日しか弁護士に相談できない方もいるので、柔軟に対応するようにしています。
ーー今後の展望についてお聞かせください。
現在、中小企業診断士の資格を取るための勉強をしています。経営や経理の理解が深まれば、弁護士としてサポートできる範囲が広がると思います。
2025年の大阪万博開催に向けて、中小企業の活動がいっそう活発になるでしょう。中小企業法務の知見を深めて、大阪で頑張っている企業の役に立ちたいです。
ーー法律トラブルを抱えて、悩んでいる方へのメッセージをお願いします。
弁護士は一般の方とは違う視点を持っています。相談していただけたら、法律のプロならではの視点に立って、問題を解決できるようサポートします。どんな悩みでも気軽に相談してください。