人それぞれ異なる悩みを丁寧に受け止め、依頼者の再スタートまで寄り添う
進む道を悩み、手探りをしていた大学時代
ーー弁護士を目指したきっかけや理由を教えてください。
法学部に入りましたが、その当時は国際関係学を専攻しており、弁護士という仕事にあまり興味を持っていませんでした。よく知らなかったんです。弁護士というと、法律論を戦わせているといったような、あいまいなイメージしかありませんでした。将来は、何か人のためになる仕事をしたいという思いが強くありましたが、具体的な仕事とが、なかなか結びつかなくて、とても焦っていました。そのうちに進む道が見えてくるだろうかと、興味をもったことには、片端から手を出して過ごした学生時代でした。
そのまま大学院に進み、外交政策を研究していたのですが、あるとき、弁護士になったゼミの先輩から、お話を聴く機会があり、衝撃を受けました。人の想いに耳を傾け、その人に寄り添う仕事だと、初めてそう感じたんです。弁護士を目指そうと、心が決まりました。
もともと、人から悩みを打ち明けられることが多く、プライベートでも常に聞き役。人にはなかなか言いにくいことでも、私には言いやすい、そんな雰囲気があるようです。これが私の特性なら、活かしたい、そんな思いがありました。
ーーどんな学生生活でしたか?
大学時代はオーケストラ部に所属し、ヴィオラを弾いていました。練習熱心だったどうかは疑問ですが(笑)、仲間と一緒に何かを作っていくという雰囲気が楽しかった。部活の仲間は理系の学生も多く、勉強していることも、人それぞれまったく違っていて面白く、貴重な経験となりました。
大学院では、文献調査やディスカッション、文章作成の訓練を数多くこなしました。研究者にはなりませんでしたが、弁護士になった今でも当時の経験が仕事に活きています。
依頼者の話を決して否定せず、とにかく耳を傾ける
ーー注力分野とその分野に注力している理由を教えてください。
離婚の相談が多いので、自然と離婚問題に注力しています。
やればやるほど、離婚問題は奥が深く、難しいものだと感じます。弁護士になったばかりのころは、離婚問題で悩んでいる方に対して「早く離婚すればいいのに」と思ったこともありました。ですが、私も結婚してみて、家庭の問題はそう簡単なものではないとわかりました。
夫婦関係がうまくいかないことは本当に苦しいことです。子どもがいる場合にはさらに、別居や離婚による子どもへの影響に思い悩みます。配偶者の希望で、家族や子供のため、自分を犠牲にしてきたのに、そのために苦しい立場に置かれてしまうことも、多くあります。
このような依頼者の苦しみを受け止めるのは容易ではありませんが、依頼者の話を聞いて解決方法を一緒に考えるうちに、依頼者がご自分で気持ちを整理していかれ、再び前を向くお手伝いをさせていただけることに、やりがいを感じます。
ーー依頼者と接するときに心がけていることは何でしょうか。
依頼者の話を否定しないことです。まずは、依頼者の話をじっくり聞きます。特に最初は、依頼者の話に口を差し挟むことはしません。この方が本当に望んでいることは何なのか、私に聞きたいことは何なのかを、まずは把握したいからです。本当の気持ちを、会ったばかりの弁護士に、最初からスムーズに話せる方は、ほとんどいません。今の状況に至るまでの経緯も様々ですし、辛いと感じる部分も人によって異なります。
これまで様々な案件に携わりましたが、パターン化はできません。たくさんの離婚案件に取り組んだ今でも、私の思い至ったことのない悩みを抱える相談者は現れます。だからこそ、まずは耳を傾けます。
その上で、弁護士として解決の着地点を考え、解決に向けてともに歩みたいと考えています。
ーーこれまで印象に残っているエピソードを教えてください。
離婚をするかどうかで裁判まで争ったのに、最終的に再構築できた夫婦が印象に残っています。
依頼者は、妻に離婚を求められた夫でした。すでに別居から5年が経過し、財産分与の公正証書も作成済み。裁判で離婚が認められることは確実でした。しかし、夫は妻とやり直すことを望んでいました。
弁護士としては、裁判で離婚が認められてしまうことは予測できたので、公正証書で定めた財産分与の内容を少しでも夫に有利になるよう争うのが得策だと思いました。公正証書の内容は、あまりにも極端な内容であったからです。
ですが、依頼者は、関係修復を最後まで諦めたくない想いを強くもっていました。とても難しいと思いましたが、悩んだ末に、財産分与を争うためにすべき主張はきっちりする一方で、激しい主張はなるべく避け、依頼者が「妻に伝えたい思い」を丁寧に聞き取り、夫から妻への最後のラブレターのつもりで書面にまとめて提出しました。
判決では予想通り離婚が認められました。しかし、妻から夫とやり直したいと連絡があったのです。その後、2人は話し合って元の鞘に戻りました。これはとても特殊なケースで、二度とあるとは思えませんが、いろいろなことを学びました。
夫婦関係には予想もつかない展開があります。法的には難しくとも、本人たちの気持ちの変化によって、依頼者の望みが叶う場合もあります。どのような主張でも、最初から無理だと決めつけずに、思いがけない変化を受け入れる余白を残しつつ事件処理に当たることが重要だと実感しました。
依頼者が次の展開に進めるようサポート。現状打破のために一度相談を
ーープライベートについても伺います。休日はどのようにお過ごしですか。
小学生の子どもがいるので、子どもと一緒に出掛けることが多いです。車で奈良や滋賀、和歌山などの近郊にドライブに行くことが多く、水族館や博物館など、子どもと楽しめる場所に出掛けています。
趣味は、児童書を読むことです。「指輪物語」や「ハリー・ポッター」などですね。また、あちこちの神社を訪ねて、その歴史や由来を書いた立て看板を読むのが好きです。
ーー今後の展望についてお聞かせください。
離婚問題に引き続き注力していきたいです。苦しんでいる人がとても多いですから。まずは私が話を聞くことで、依頼者にご自分の気持ちや、優先順位をつけていくお手伝いができればと思います。それで少し気持ちが落ち着いたら、依頼者の望む解決を聞きつつ、依頼者が次の展開に進むためにサポートしていければと思います。
また、債権回収にも注力していきたいです。離婚問題は、離婚が成立すれば終わりというわけではありません。婚姻費用や養育費が支払われず泣き寝入りをしている人が多くいます。しかし、民事執行法が改正されたことによって、これまでより回収しやすい環境が整いつつあります。今まで泣き寝入りしていた人でも、弁護士に相談することで道が開ける時代になったと感じていますし、私自身、その可能性をもっと追求していきたいです。
ーー法律トラブルを抱えて悩んでいる方へメッセージをお願いします。
弁護士にはなるべく早く相談してください。信頼する友人や親族に相談することは自然なことですし、大事なことです。しかし、これをいつまでも続けているだけでは、悩みは解決しません。弁護士に相談し、まずは何から手をつけなければならないのか、客観的に整理していかないと、堂々巡りになってしまって、精神的にも身動きが取れなくなっていきます。状況を打開するためにも、早めにご相談いただければと思います。
どの弁護士に相談するか迷ったときは、相性を重視するとよいと思います。ご自身が話しやすいと感じる方に相談するのが一番です。深く傷ついているときには、相談すること自体、ハードルがとても高いと思います。しかし、ここがすべての出発点です。幸いにも私は周囲の人に「話しやすい」と言われることが少なくありません。「話しやすいこと」が全てではありませんが、離婚などのセンシティブな問題では重要な要素です。相性の問題にはなりますが、「相談したら余計に傷つくんじゃないか」と躊躇している人は、一度ご連絡いただければと思います。