依頼者の意向実現のために尽力することが弁護士の役割。困難な案件も多角的に検討し突破口を見出す
留学先で出会った弁護士に勧められて法曹の道へ
ーー弁護士を目指したきっかけや理由を教えてください。
大学の法学部に入った時点では、弁護士を目指していたわけではありませんでした。転機になったのは、大学2年生のときにロンドンへ留学したことです。海外から来ていた他の留学生と将来について話していたとき、私が何も決めていないと話すと、法学部なら弁護士を目指してみたらどうかと勧められました。
その留学生は中南米の国で弁護士をしている人でした。「弁護士になるのは大変だから…」と消極的な私に、彼は「人生80年あるうちの5年を勉強に費やすだけで弁護士になれるなら、頑張る価値があるんじゃない?」と言葉をかけてくれました。
当時、将来の目標を持っていなかった私にとって、彼の熱い言葉は胸に響きました。一度きりの人生、高い目標を掲げて頑張ってみようと思い、弁護士を目指して司法試験に挑戦しようと決意しました。
帰国後、法律の勉強を本格的に始め、大学卒業後はロースクールへ進学しました。頑張ろうと決めたものの、1人で勉強していると挫けそうになることも多々ありました。そこで、同級生や他のロースクールの学生に声をかけて勉強会を立ち上げ、お互いに励まし合いながら勉強する機会を作ることでモチベーションを保ちました。
司法試験に合格するまでの道のりは平坦ではなく、悔しい結果に涙したことも何度もあります。苦労はしましたが、諦めずに頑張ってよかったと思っています。あのとき弁護士になることを勧めてくれた友人とはFacebookで繋がっており、司法試験の合格を報告しました。きっかけを作ってくれた友人には今でも感謝しています。
ーー弁護士になったあと、証券会社のインハウスローヤーとして活動されていたそうですね。そのときのご経験をお聞かせください。
2年ほど勤務し、信用取引や投資信託などの金融商品の案件を多数取り扱っていました。また、不動産の売買やIPO(新規上場)、組織再編などのプロジェクトに、法律の専門家として参加することも多かったです。
特に印象に残っているのは、スリランカでの仕事です。現地のホテルの買収と、現地の会社のIPOを進めるというミッションを担当しました。
私はスリランカの弁護士資格を有していないので、証券会社の担当者として現地の法律事務所を訪問し、スリランカの弁護士に手続きを依頼して、打ち合わせを行う役割でした。スリランカでは英語が通じますが、法律やビジネスに関する英語は難しく、何度も聞き直しながら慎重に進めました。10分で済むはずのことが1時間かかることもありました。
出張期間は最初は2週間の予定でしたが、結局3か月に延びました。最終的にはホテルの買収に成功し、IPOについてもある程度の筋道をつけたところで帰国しました。
スリランカの法律も知らず、知り合いもおらず、言葉も通じない環境での仕事は大変でしたが、この経験を通じて心の強さを身につけることができました。また、一筋縄ではいかない困難な問題にも粘り強く取り組めば解決への道が開けるという実感を得られ、自信にもなりました。
依頼者の意向を主張するために、法律構成の検討や証拠収集に全力を尽くす
ーー注力分野とその分野に注力している理由を教えてください。
ネットの誹謗中傷問題です。
数年前に、「2ちゃんねる」や「5ちゃんねる」に名誉毀損の投稿をされた方からの依頼を受けて、投稿の削除をした経験があり、その経験がきっかけで同様の案件を多数担当するようになりました。
ネットの誹謗中傷問題は、学校でのいじめにも繋がるケースがあります。私が担当するのはネットの投稿に関する範囲ですが、問題の解決を通じて、いじめなどの関連する問題についても解決の糸口になればよいと思っています。
ーー仕事をする上で心がけていることを教えてください。
依頼者の要望に最大限応えることを心がけています。
どのような解決を望んでいるかは依頼者によって様々です。中には、法律のルールや証拠の内容を踏まえると、依頼者の要望を実現することが難しいと思われる場合もあります。しかし、よく検討もせずに「法律ではこう決まっているのでできません」「証拠がないので無理です」などと突き放すことはしません。せっかく相談に来てくれた方に対してそのような対応をすることは、弁護士本来の役割を果たしていないと思うからです。
証拠がないケースでも、依頼者が言うことが事実であれば、それを証明するための材料を徹底的に探したり、適切な法律構成を考えて主張したりすることが弁護士の役割だと思います。
依頼者の要望が一見難しそうであっても、多角的な視点から対処法を考えて、最大限、依頼者の希望に沿う解決方法を提案できるように努めています。
ーー弁護士として活動されてきた中で、印象に残っているエピソードを教えてください。
高校生の子どもが教師の指導を受けた後に自殺した事件を担当したことが印象に残っています。
教師による不適切な指導が原因で子どもが自殺することを「指導死」と言います。私は親御さんの代理人として、学校を運営する行政を相手に損害賠償請求訴訟を提起しました。
当時は指導死に関する裁判が少なく、勝訴した事例はほとんどありませんでした。指導死について調査を進めると、教師による行き過ぎた指導が原因で不登校になったり自殺したりする子どもが日本各地にいることがわかりました。前例が少ない中でも、学校の責任を明らかにするために全力で取り組まなければならないと覚悟を決めました。
依頼者の子どもが亡くなる原因となった指導は学校内で行われたため、こちら側に情報がほとんどありませんでした。そのため情報収集には苦労しました。指導による子どものストレスについて大学教授に意見書を書いてもらったり、指導死で子どもを亡くした親御さんたちの会にも連絡を取ったりして、情報を集めました。
裁判では、指導に関わった教師全員を尋問することができ、指導当日に何が起きたのか、誰が何を言い、どのように行動したのかを、教師の口から直接聞くことができました。
裁判の結果は、指導死に関する他の事例と同様に、学校の注意義務違反が認められずに請求が棄却されました。悔しい結果となりましたが、依頼者である親御さんからは、「自分たちの想いをしっかりと主張し、子どもに何が起きたのかも知ることができたので、納得しています」と言ってもらえました。
難しい事件ではありましたが、精一杯取り組み、依頼者の納得も得られたケースとして印象に残っています。
相談してみて、結果的に問題がなければそれで一つの解決です。お気軽にご相談ください。
ーープライベートについても伺います。休日の過ごし方や趣味を教えてください。
休日はジムに行くことが多いです。仕事柄、肩が凝るので体を動かすようにしています。
趣味は登山です。大人になってから、家族と一緒に登る機会があり、それ以来ハマってしまいました。登っている間は辛いのですが、だからこそ、下山して温泉に入ったときの気持ちよさがたまらないんです。自然の中に身を置くことで気分もリフレッシュできます。
ーー今後の展望を教えてください。
現在注力しているインターネット問題や、離婚、相続、交通事故など個人の方から寄せられる案件を中心に手がけつつ、新しい分野にも挑戦していきたいと考えています。
今興味があるのは、ネットビジネスの問題です。「ネットビジネスを始めるにあたって、どんなことに気をつければいいのか」「利用規約やプライバシーポリシーの内容に問題はないか」などのご相談があれば、ぜひご連絡いただきたいです。
ーー法律トラブルを抱えて悩んでいる方へ、メッセージをお願いします。
どうぞお気軽にご相談ください。
弁護士事務所に行くのは敷居が高いと感じる方が少なくありません。緊張したり、こんな相談をしてもよいのかと心配になったりすることがあるかもしれません。しかし、気軽に相談に来ていただきたいと思っています。
相談してみて、結果的に法律上問題がないとわかれば、それはそれで一つの解決です。法律問題であれば、事態が進行する前に弁護士が入って適切な対処をすることで、早期に解決する可能性が高くなります。
まるでお酒の席で、たまたま隣の席に座った人が弁護士だったので相談してみたというような感覚で、気軽にご来所いただければと思います。