経営学部出身の経歴を活かし、経営者視点で中小企業の成長をサポート
企業法務と相続に注力
ーー弁護士を目指したきっかけや理由を教えてください。
会社経営に興味があり、大学では経営学を学んでいたのですが、父が経営している会社が貿易トラブルに遭い、損害賠償請求される事件が起こったんです。普段から税理士には相談をしていた父でしたが、弁護士は遠い存在と思っていたようで、法律問題に関する予防や対策はまったくしていませんでした。
当時はリーマンショックや大手企業の不祥事問題などがあり、コンプライアンスやガバナンスといった会社経営のあり方が問われる時代でもありました。そうした経営に関する問題を目にしていく中で、経営者に近い法律家の必要性を感じ、弁護士を目指すことを決意したのです。
ーー注力されている分野を教えてください。
中小企業の企業法務と相続に注力しています。
企業法務では、会社経営で生じるリスクを可能な限り予測し、経営判断しやすいように助言することを心がけています。経営者は事業を成功させるためにリスクを承知で選択しなければならないときがあります。リスクを回避する方法だけでなく、リスクを取ったときにどのようなことが想定されるのかといった見通しを伝えることが、弁護士の役目だと思っています。
私自身が経営者を目指していたこともあり、ベンチャー企業や中小企業の新規事業立ち上げに関心があり、経営者と一緒につくり上げることに魅力を感じています。大学で学んだ経済学の知識を活かしながら法的観点からサポートしています。
相続については、遺言書作成から遺産分割まで包括的なサポートを行っています。注力するようになったきっかけは、私自身が相続を経験し、承継過程の大切さを実感したからです。相続というとネガティブなイメージを持たれがちですが、遺言書作成の段階から家族で話し合い、意見や思いなどを共有しながら平和的に進めていけるような仕組みを作りたいという思いで取り組んでいます。
ーー仕事をするうえで心がけていることは何ですか?
エンターテイナーでありたいと思っています。弁護士はサービス業ですので、依頼者が求めるものを提供するのは当然のこととして、期待されている以上のサービスで感動を与えられるよう尽力しています。
言葉にしないけれど、してもらえたら嬉しいということがあると思います。依頼者が言いづらいようなことでもこちらから提案するなどして、かゆいところに手が届くようなサービスを提供するーー。それが、依頼者の満足度に繋がると考えています。
依頼者は時間や労力をかけてまで相談に来てくれるのですから、抱えている問題に区切りをつけて、新しい未来に向けて進んでもらえるよう全力でサポートしたいと思っています。
争いのない相続を推進
ーーこれまで活動してきた中で印象的だったエピソードはありますか?
印象的な事件が3件あります。
一つは遺産相続の案件です。依頼者は全財産を長男に相続するという内容の遺言書作成を希望していました。そのような遺言書を作成すれば当然、他の相続人は不満を抱くでしょうし、場合によっては遺留分侵害額請求される可能性もあります。私は「遺言書を作成する前に家族で話し合ってみては」と提案しました。依頼者がどのような思いで遺言書を作成するのか、長男以外の相続人にも知ってもらった方が良いと思ったのです。
その後、家族での話し合いの末に他の相続人から了承を得たと報告を受け、遺言書作成に取り掛かりました。遺言書作成当日は、その場にいた関係者がアットホームで温かい空気に包まれているのが印象的で、争いのない遺産相続を推進していきたいと思ったきっかけになりました。
二つ目は事業承継の案件で、多額の負債を抱えた会社からの相談でした。依頼者を中心に家族が一丸となって守ってきた会社でしたが、負債が増え、倒産寸前の状態に陥っていたのです。「従業員や取引先に迷惑をかけることなく、なんとか事業を存続させたい」という依頼者の要望を聞き、M&Aによる事業承継を提案しました。
ファイナンシャルアドバイザーと一緒に譲渡先を探し始めたものの、なかなか見つけることができず、「無理かもしれない」と思ったこともありました。ですが、依頼者の思いに応えるために最後まで諦めることなく尽力し、何とか譲渡先を見つけることができたのです。
譲渡先には好条件で事業を引き受けてもらうことができ、従業員や取引先を守れただけでなく、依頼者とその家族の生活も守ることができました。何よりも、依頼者が抱えていた不安や負担を取り除くことができたことが、とてもうれしかったです。
三つ目は、初めて国選弁護人を務めた事件です。自分の親を殴ってしまった方を弁護したのですが、接見の際に話を聞いてみると、親子間に積み重なった不満が原因で起こった事件でした。
「自分は悪くない。怒らせた親が悪い」。依頼者のそうした考えを改めてもらうことが重要だと考えました。法律的な話だけでなく、被疑者の生い立ちから遡って様々な話をしました。後日再び面会した時に、「話の中で知らない単語があったから意味を辞書で調べた」と言われたんです。私自身は意識して言葉を選んだわけではなかったのですが、単語の意味を理解しようとするほど、真剣に話を聞いてくれていたことに感動しました。
罪を償った後、親との関係も修復したそうで、自分のやっていることには意味があると思えた事件でした。
これらの事件を通じて、弁護士としての自分の行動や言葉には、人の人生に影響を与えることがあるんだと実感しました。
病気の早期発見と同じくらい、トラブルの早期相談が大切
ーー休日の過ごし方やご趣味を教えてください。
まとまった休みが取れる時は海外旅行をしています。昔から旅行が好きで、学生時代には30か国ほど巡りました。日本とは全く異なる文化を持った国の、全く異なる価値観や考え方を持った人々と話すことがとても刺激的で、アジアからヨーロッパまで様々な国を訪問しました。
ーー今後の展望についてお聞かせください。
弁護士になる前に韓国の法律事務所でインターン生として働いていたことがあるんです。様々な国から集まった同僚たちと働いたことで、グローバルな人脈を作ることができましたし、海外企業の取引や経営戦略について学ぶこともできました。こうした経験を活かし、海外進出を目指す企業のサポートを積極的に行っていきたいと考えています。
相続分野については、新たなスキーム作りに取り組みたいと考えています。相続問題は一つ間違えれば親族間での争いが勃発し、家系全体の崩壊にも繋がりかねません。遺言書作成など平和的に承継を行えるような仕組みづくりに力を入れていきたいと思っています。
ーー法律トラブルを抱えて悩んでいる方へメッセージをお願いします。
トラブルが深刻化してから弁護士に相談する方が多いのですが、病気の早期発見が治療の可能性を高めるのと同じように、法律トラブルも早めに相談していただくことが、より良い解決に繋がります。
弁護士に相談することの敷居を少しでも低くし、弁護士を身近な存在に感じてもらえるよう私たちも取り組んでいきますので、少しでも悩むことがあればぜひ早めにご相談いただけたらと思います。