
我慢強さとあきらめない気持ちで刑事事件に注力〜依頼者にとって何が本当の幸せかを考える
人生の大事な時間を無駄にしないでほしい
ーー弁護士を目指したきっかけや理由を教えてください。
学生時代は映画監督やテレビの放送作家など、クリエイティブな職業に憧れていたのですが、大学卒業近くになって将来を真剣に考えたときに、資格を取って働く道がよいのではないかと考えました。そこから、ロースクールに進学して司法試験を受けることを決めたんです。
ーーどんな学生時代でしたか?
大学生のときは自由を満喫してました。親元を離れ、受験勉強から解放され、毎日が自由で楽しかったです。バックパッカーで東南アジアへ行ったこともいい思い出です。海外に行ったら自分の中で何かが変わるんじゃないかと思って、お金も持たずに旅をしたんですけど、何も変わりませんでしたね(笑)。
ーー注力している分野と、注力している理由についてお聞かせください。
弁護士になるときに、自分の特徴を出さなければいけないと思いました。民事事件など、多くの弁護士が扱っている分野で勝負しても埋もれてしまうだけ。他の弁護士があまり進んでやらない刑事事件であれば、差別化ができて、自分のポジションが確立できるんじゃないかと考えました。
ーー仕事をする上で心がけていることはありますか?
尊敬する先輩弁護士が「時間を使えば使うほど、勝訴率は上がる」という信念を持っている人でした。「常識的なレベルの時間をかけても結果は出ない」という考え方をしていて、私も見習わなければいけないと思い、一つ一つの案件に時間をかけて取り組んでいます。
また、依頼者と接するときは「依頼者にとって何が本当の幸せなのか」を一緒に考えるようにしています。長い時間をかけて争って、賠償金を1円でも多く取ることが、本当にその依頼者にとっていいことなんだろうかと。
人生は有限です。相手への憎悪や復讐心で頭をいっぱいにして、大事な時間を費やすことがはたして正解なのか。もちろん、冤罪のような絶対に負けられない裁判もあります。ですが、一定の譲歩を行い早期に和解するなど、別の解決を選択した方が依頼者の幸せにつながる場合もあります。
一つの答えにとらわれず、依頼者と一緒に悩みながら、幸せのための解決を心がけています。
ーー弁護士のどんなところにやりがいを感じますか?
弁護士は自由度が高い仕事だと思います。裁量が大きく、やれることが多い。自分が納得いくまで際限なく時間をかけることもできる。事件解決のために工夫したりアイディアを出すことはクリエイティブな面があります。学生の頃に憧れたテレビ・映画業界とは違いますが、クリエイティブな職業をやれているという点でやりがいを感じています。
あきらめない気持ちが結果につながる
ーー弁護士として活動してきた中で印象的だったエピソードを教えてください。
弁護士3年目に担当した刑事事件で、初めて無罪判決を獲得した事件です。
日本の刑事裁判は99%有罪と言われており、私もそういうイメージを持っていました。検察側から提出された証拠を見て、決して弁護士として許された姿勢ではありませんが内心「有罪だな」と思うことが多々ありました。
その事件も、初めはどんなに頑張っても有罪になってしまうんだろうなと思ってしまう自分がいました。しかし、依頼者は必死に容疑を否認していたので、依頼者の言葉を信じて力の限り弁護活動を行いました。事件現場に何度も足を運び、時間をかけて記録を読み返しました。その結果無罪判決を勝ち取ることができました。
この事件をきっかけに、どんな事件であっても、あきらめずに事件処理をするようになりました。たとえ不利な状況であっても、偏見を持たずに頑張れば結果はついてくるという自信につながったんです。
現場に行くと、証拠資料とはまったく違う印象を受けたり、新しい気づきがあったりします。徒労に終わることも多いですが、無駄だと思うことでも辛抱強く続けることが大事だということを学んだ事件でした。
ーー休日はどのように過ごしていますか?
休日もすべて仕事ですね。オンオフの切り替えが苦手で、休みの日でも仕事のことを考えてしまうんです。ですから、休日も仕事をしているような感じです。読書が好きで、仕事が終わってからの読書時間だけは、趣味の時間ですね。でもそれも、仕事に関係する本を読むので、結局仕事なんですけど(笑)。
ーー今後の展望についてお聞かせください。
医療分野に関心があるのですが、新しい分野に取り組むには時間が足りなさすぎて…。そのためにも、人を増やしてチームとして事件に取り組みたいという思いがあります。一緒に仕事するには価値観を共有できる人がいいので、そういう弁護士がいたらいいですね。
ーー法律トラブルを抱えていて、悩んでいる方へのメッセージをお願いします。
人生の中でもっとも無駄なのは悩んでいる時間だと思います。中には弁護士のアドバイス一言で解決することもあるし、難しい案件だとしても、今後の対策がわかれば気持ちが楽になるはずです。不安を抱えて体や心を壊してしまう前に、弁護士のところに来てほしいと思います。