遠山 大輔 弁護士 インタビュー
弁護士を目指したきっかけ
免田事件の再審無罪判決を新聞で知り、刑事裁判に興味を持ちました。「免田死刑囚」が翌日には「免田さん」と呼ばれている。死刑判決を受けていたけど無罪になったらしい。世の中には理解できないことがあるものだ。これが出発点です。それから、狭山事件などを勉強しながら、えん罪に取り組む弁護士をイメージするようになっていきました。
今までの経験と現在の仕事内容
登録当初から、民事、家事、刑事となんでも幅広くやっています。重大な刑事事件を担当したこともあります。警察・検察という国家権力に対抗するのは本当に大変です。有名な事件としては、Winnyを作成した技術者の弁護を、弁護団の1人として担当しました。膨大なネット上の書き込みから、証拠となり得る箇所を見つけ、分析しました。大変でしたが、最高裁で無罪判決が確定して本当によかったです。
弁護士会の委員会活動についても積極的に取り組んでいます。日弁連の裁判員本部、取調べの可視化実現本部に所属しています。
大学やロースクールでは刑事弁護実務を教えています。
取り調べの可視化に向けた活動
取調べの可視化を実現するため、シンポジウムを開催したり、議員要請に行ったりしています。可視化については、例えば志布志事件や足利事件で密室での取調べの問題が明らかになったのに、なかなか実現に向かわないことを非常に問題だと思っています。
理想的な取調べの在り方としては、取調べの「機能」を変えて、捜査機関の作ったストーリーの押し付けではなく、事件についての認識・意見を確認するインタビューにするべきだと思います。そのために取調べの録音・録画は必要だと思います。
弁護士としての信条・ポリシー
2つあります。1つは、「何を」ではなく、「いかに」弁護するか。企業・消費者、経営者・労働者、加害者・被害者、…いずれの立場であっても依頼者の法的利益を確保することです。
もう1つは、あらゆる主張、証拠について常に第三者の視点から検討することです。もちろん事件を扱う中で依頼者の方に感情移入してしまうこともあるのですが、一番大切なのは「裁判で勝つ」ということです。したがって、依頼者ではなく裁判官の立場に立って、主張と証拠を検討する必要があり、その意味で俯瞰する立場が重要なのです。
仕事の中でやりがいを感じるところ
裁判員裁判の弁論です。裁判員裁判ではある意味、自分の姿・表情・話し方から話す内容、ひいては人格まですべて一般人の裁判員に採点されるのです。ですから熱意や自信を持って彼らの心に訴えることが必要です。これは従来の裁判では絶対にありえないことで、やりがいを感じますよ。
関心のある分野
個人的には、やはり裁判員裁判です。まだ経験は少ないですが、この裁判員裁判をよいものにしていくことが、あるべき刑事司法の実現につながると感じています。
弁護士会の活動としては、法教育です。発達段階に応じた法教育を実施していく必要があると考えています。
裁判員裁判について
量刑の判断はプロの裁判官に任せるべきだと思います。というのも裁判員にとっては、やはり被害者の方に共感しやすいので、結果として今までよりもより重い刑を下す傾向が生まれています。
しかしそもそも、何のために刑罰を下すのか考えてみてください。それは世の中を良くするためです。重い刑罰を与えて加害者を排除することも一つの手なのかもしれませんが、それは量刑を終えたとき、加害者を社会性を失わせた状態で社会に戻すことになります。それは結果として再犯につながってしまうのではないでしょうか。
それよりも加害者をできるだけ社会から切り離さない方法を検討すべきだと思います。その意味で、重罰化が必ずしも良いことだとは思いません。