
依頼者とともに、最適解に至るための道筋を進む〜眠れないほどの辛い悩みを解決するための力に
法律の面白さに目覚め、ひたむきに勉強した学生時代
ーー弁護士を目指したきっかけや理由を教えてください。
子どもの頃から何となく人に頼られることが多かったせいか、「将来は世の中をよくする仕事がしたい」と思っていました。弁護士になることを考え始めたのは中学生の頃です。母からは「あなたは身体が弱いから、弁護士なんかでなく、安定した公務員になりなさいね」と言われていたのですが、そう言われるとかえって、だったらやはり弁護士になろうか、などと思っていました。
法学部に進学し、4年生から本格的に司法試験の勉強を始めました。合格するまでに何度か試験を受けたので、20代のほぼ半分は勉強漬けの日々。心の支えとなっていたのは、同じ目標に向かって努力する仲間の存在、そして何よりも法律を学ぶ楽しさでした。
法律の基本書や解説書は最初はとっつきにくいのですが、内容が理解できるようになると俄然おもしろくなります。1つの法律問題について様々な角度から考察したり、社会で起きている事件と法律がどのように関係しているのか考えたりすることを通して、どんどん興味が深まっていきました。
案件ごとに最適な解決方法を見極める
ーー注力している分野を教えてください。
中小企業法務の案件を多く手掛けています。経営者は周りからは順風満帆に見えますが、実は孤独で、心を許せる相談相手が少ないために困りごとがあっても1人で悩んでいる方が少なくありません。
弁護士は経営者にとって、利害関係や面子をあまり気にすることなく相談できる相手です。経営、取引、従業員との関係など何でも相談してもらいたいと思っています。企業が抱えている課題に応じて、労働環境の改善や取引の円滑化などの法的サービスを提供し、企業の長期的な発展に貢献できればと考えています。
不動産・建築分野の案件も積極的に手がけています。「購入した家の床が傾いている」など欠陥住宅の相談や、「施工不良を理由に損害賠償請求をされた」といった建設業者からの相談など、不動産・建築分野のトラブル解決を広く承っています。この分野はときに高度な専門性が必要とされます。日々、知識の収集と情報のアップデートに努め、依頼者にとって最善の結果を導けるよう研鑽を積んでいます。
ーー案件を手掛ける中で、心がけていることはありますか。
案件そのものの個別性に向き合うということです。 1つ1つの案件の特徴と依頼者の立場やニーズを見極め、何をもって解決とするか、そのためにはどのような対応が最適かを検討することです。法律実務の世界もご多分に漏れず仕事のマニュアル化が進んできました。良くできたマニュアルはとても有用なものですが、標準そのものの人間はおらず、すべての案件は標準から逸脱します。マニュアル側から眺めるとあれもこれも「逸脱」に見えてきます。しかし、それは本当は逸脱ではなく、現にある生の営みの個別性・具体性そのものだと思います。私が案件そのものの個別性に向き合うというのは、マニュアル側に立って外側から人間の生の営みに対し冷たく「逸脱」と決めつけるようなことをせず、まずは生の諸事情をありのままに受け止めた上で実務家として考えていきたいということです。
一見したところ似たようなトラブルであっても、案件によって、当事者それぞれが抱えている事情や問題発生までの経緯は千差万別です。依頼者の話をじっくり聞き、その時のその人にとって最も適した道筋を示すことを心がけています。
その際、私が一方的に解決方法を押し付けることがないように気をつけています。依頼者の希望を踏まえ、本命と考える選択肢を含む複数の選択肢を提示し、それぞれのメリット・デメリットを説明します。依頼者自身が納得した上で今後の方向性を決められるように働きかけていきます。
相談後、依頼者が笑顔を取り戻しているように
ーー今後の展望についてお聞かせください。
今は、世の中全体が落ち着かない風潮だと感じます。常に他人の評価や視線が気になり、気が休まる瞬間がほとんどない方も多いでしょう。
弁護士が依頼者と関わるのはその方に何らかの悩みが生じたときです。ただでさえ不安や緊張を感じやすい状況の中、トラブルを抱えてしまえば精神的な負担はさらに増してしまいます。
トラブルの渦中にいる間は塞ぎ込んでいた方が、弁護士に相談・依頼することによって人生や世の中を少しでも肯定的に見られるようになるーー。そのようなお手伝いができることは、弁護士として何にも変えがたい喜びです。
依頼者のお役に立ちたい。その一心で、今後も1つ1つの案件に真摯に取り組む所存です。
ーートラブルを抱えて悩んでいる方へ、メッセージをお願いします。
社会生活を送る中でトラブルを抱えてしまったとき、誰に相談すればいいのかわからず、1人で抱え込んでしまう方もいるでしょう。身近に悩みを打ち明けられる相手がいない場合は、ぜひ、弁護士への相談をご検討いただければと思います。
あなたが抱えているトラブルが法律問題かどうかわからなくてもかまいません。弁護士以外の専門家が対応すべき場合は適切な相談先をご紹介します。もしも法律問題であれば、早い段階で法律に基づいた対処をすることで状況の悪化を食い止め、早期に解決するよう対応を進めることができます。
法律事務所に相談に来る方の多くは、眠れないほど辛い思いを抱えています。私たちのもとに辿り着いた全ての方が、相談を終えて事務所を後にするときに少しでも笑顔を取り戻し、「もう大丈夫だ」と楽な気持ちになっていること。それは弁護士がまず果たすべき役割だと考えており、事務所の若手弁護士にも常に伝えています。
初めて弁護士と接する方は緊張するかもしれませんが、どうか肩の力を抜いてお越しください。あなたが抱えてきた悩みを解決するための道筋を、一緒に考えていきましょう。