- 財産分与
仮差押えが奏功した熟年離婚
相談前の状況
ご依頼者様はご主人と2人暮らしです。些細な行き違いの積み重なりで夫婦不仲となり、お子様が独立してからはお互いがお互いを避けるようにして暮らしています。
つい先日、定年退職を間近に控えたご主人から、これまでご依頼者様において管理をしてきたご主人の給与振込先口座の通帳、カードを返して欲しいと強く求められました。ご依頼者様が退職金の使い道について尋ねても、ご主人は、「オレの金だ。お前には関係ない。」「出ていけ。」と何も教えてくれません。
ご依頼者様は離婚をしたいと思っているものの今後の生活に不安を感じて踏み出せずにいました。
ご依頼者様の疑問点
① 退職金は離婚時の財産分与の対象ですか。
夫婦の協力によって得られた部分は財産分与の対象となります。
具体的には夫婦の同居期間に相当する退職金が財産分与の対象となりますので、分与の対象は退職金額×同居期間/勤務期間とされることが多いです。
② 離婚前に退職金が使われてしまったら、分与はしてもらえないのですか。
財産分与の対象となるのは、財産分与の基準時にあった財産となるのが通常です。
従って、費消の時期が、別居の前か後かによって結論が異なってきます。
ただし別居後の費消であっても離婚前に退職金が全て使われてしまって分けるべき財産がご主人の手元に残っていないということになってしまいますと、実際に回収をすることができませんので、要注意です。
③ 退職金が使われてしまうのを予防することはできませんか。
退職金が支払われる前であれば退職金債権を、退職金が支払われて銀行口座に振り込まれた後であれば銀行預金を仮差押えすることによって、退職金が使われてしまうのを予防することができます。
解決への流れ
ご依頼者様は離婚を決意し別居を開始しました。
当職はご依頼を受けまして財産の保全をするため仮差押えの準備を始めました。
退職金の場合には差押え時の退職金支給額のうち、手取り額の4分の3に相当する金額は差押えが禁止されているため、退職金支払い後の銀行口座を差し押さえることにしました。
仮差押えの申立後審尋を経て保証金を納めると、仮処分決定が下りました。
その後婚姻費用分担調停、離婚調停を申し立て、離婚条件について話し合った結果、数回の期日で離婚調停が成立し、夫婦の協力によって得られた財産の2分の1に相当する金員の分与を受けることができました。
青木 亜也 弁護士からのコメント
仮差押えにはリスクもありますが、財産の保全が出来ているという安心感があれば、離婚条件について落ち着いて検討することができますので、事案を選んで今後も活用して行きたいと思います。
- 営業時間
- 09:30 17:00