南九州市唯一の法律事務所として、個人案件から企業案件まで地域の法律問題を一手に担う
税理士登録の強みを生かし、事業承継を含めた相続問題を包括的にサポート
ーー弁護士を目指したきっかけを教えてください。
大学では経営学部で会計情報学を学びました。大学のクラスメイトには公認会計士を目指す人が多く、私も友人らの影響を受けて、公認会計士試験に挑戦しようと勉強していました。
その頃はちょうど、IT系をはじめベンチャー企業が注目を浴びた時代でした。私自身は自分で何かを作るようなアイディアマンではなかったため、会計士になって起業家をサポートする仕事をしたいと考えていました。
しかし、迷いもありました。将来地元の鹿児島県に戻ったときに、公認会計士で生計を立てられるだろうかという不安があったんです。都心であれば、公認会計士を必要とする企業が多いかもしれません。しかし、鹿児島には上場企業やベンチャー企業は少なく、私が希望するような仕事ができないのではないかと思いました。
そんな時、ロースクール制度が始まるという話を耳にしました。公認会計士の勉強で会社法や商法を学んでいて、法律には以前から関心がありました。それに、弁護士なら個人からの依頼もあるので、鹿児島でも生計を立てることが可能です。それまで学んだ会計の知識を、企業法務に活かすこともできます。そのような考えから、会計士ではなく弁護士になる道を選択しました。
ーー現在の注力分野を教えてください。
事業承継を含めた相続問題をはじめ、交通事故や不動産問題、企業法務、刑事事件など幅広い事案に対応しています。
南九州市には当事務所しか法律事務所がないため、個人案件から企業案件まで様々な相談が寄せられます。地域の法的な問題を一手に引き受ける気持ちで仕事に取り組んでいます。また、2019年に税理士登録をし、税理士業務も積極的におこなっています。
相続問題では、遺産分割など、財産を持っている方が亡くなられた後の対応だけでなく、生前のサポートにも力を入れています。会社経営者や財産が多い人、相続人の数が多い人などは、遺産分割で紛争になるリスクが高いといえます。特に会社経営者の場合、株式の相続によって経営権争いに発展する恐れもあります。
起きてしまった紛争を収束させるのは困難を極めます。しかし、遺言作成や事業承継などの生前対策を弁護士がサポートしていれば、不要なトラブルを回避し、円滑に相続を進めることが可能です。
残された家族が揉めない相続、財産を残す人の意思がしっかり伝わる相続を心掛けて、生前対策に取り組んでいます。
ーー税理士登録をされたのは、どのような経緯からですか。
弁護士資格を持つ者は、誰でも税理士業務をおこなえます。しかし、税理士登録をしない場合は、税理士業務をおこなう地域ごとに管轄の国税局長に通知しなければなりません。そのため、通知していない地域の依頼を受任できないなど、活動に制限ができてしまいます。そうした煩わしさをなくし、活動の幅を広げたいという意図がありました。
また、税理士登録して地域の税理士会に参加することで、ほかの税理士の方々と実務的な交流を深めたいと思ったことも理由の1つです。税法は改正の頻度が高く、毎年のように改正点をチェックしなければなりません。ほかの税理士の方と話したり、税理士会の研修会に参加したりすることで研鑽を重ねています。
税理士としての知識や経験は、弁護士業にも役立っています。税理士業務の経験を積むことで、不動産評価の仕方や相続税に関する知識が蓄えられます。また、相続税が発生する相続案件などは、ほかの税理士を介さずにワンストップで対応できるため、依頼者に喜ばれています。
依頼者が納得するまで丁寧に説明し、トラブル解決に向けてともに進む
ーー仕事をする上で大切にしていることを教えてください。
わかりやすい説明で、依頼者にきちんと理解してもらうことを大切にしています。
司法試験の受験生時代に塾講師のアルバイトをしていたのですが、子どもたちに勉強を教える中で、理解してもらうことの大切さを痛感しました。
どんなに熱心に授業をしても、子どもたちが、教えたことを理解していなければ、学んだことにはなりません。こちらから一方的に伝えるだけでなく、相手の理解度を確認しながら、わかりやすい説明をしなければならないと知ったのです。
弁護士になった今も、依頼者が理解しているか確認しながら説明するようにしています。依頼者に現状や解決の道筋などをしっかり理解してもらった上で、一緒に問題解決に取り組むのが私のスタンスです。
また、依頼者の気持ちをしっかり受け止めることにも留意しています。相続問題などは依頼者が感情的になりがちです。相手に対する不満や苛立ちを抱えて相談に来る方もいますので、まずはその気持ちに共感することから始めます。そして、法律家としての見解を交えながら、依頼者が納得できる解決策を探すことに努めています。
ーーこれまでの活動で印象に残っている事案を教えてください。
刑事事件で無罪判決を勝ち取った事件が印象に残っています。被告人は複数の罪で起訴されていましたが、そのうちの1件である器物損壊罪については否認していました。
私は被告人の言葉を信じて資料を見直したり、現場に行って事件当日の状況を確認したりするなどの調査をしました。そして、調査結果を踏まえて裁判で弁論し、無罪判決を勝ち取ったのです。
日本の刑事裁判の有罪率は非常に高く、無罪になるケースは1パーセント未満と極めて稀です。私自身、10年以上弁護士を続けていて無罪判決はこの1件のみです。それだけに、とても記憶に残っています。
セミナー講師としても活躍。啓発にも力を入れる
ーー趣味や休日の過ごし方を教えてください。
休日は気分転換のために、外に出るようにしています。買い物をしたり、カフェでくつろいだりして過ごしています。
最近、ウインドシンセサイザーという電子楽器を始めました。リコーダーのように口と指を使って演奏し、多彩な音色を楽しむことができる楽器です。音楽を聴くことは元々好きだったのですが、これまで自分で楽器を演奏したことがなかったため、チャレンジしてみたいと思い、始めました。
ウインドシンセサイザーはサックスやクラリネットなどの音色が出せるだけでなく、音量を調節することができるため、夜遅い時間でも自宅で演奏できる点が気に入っています。
ーー今後の展望をお聞かせください。
法律の専門家である弁護士と、税の専門家である税理士。それぞれの強みを活かし、企業の活動を幅広くサポートしたいと考えています。特に事業承継は、高齢化が進む中でニーズが高まると思いますので、しっかりと対応できるように研鑽を積んでいきます。
また、最近はセミナー講師の依頼をいただくことが増えました。オンライン配信などで、相続や遺言、消費者問題、事業者を対象にしたアルコールチェックの義務化対策やハラスメント対策などについて講演しています。
もともと人と話すことが好きで、高校生の頃の夢はラジオパーソナリティになることでした。講演会での質疑応答は、リスナーとパーソナリティの関係に似ているところもあり、楽しみながら取り組んでいます。みなさんに役立つ法律情報を自分から発信する活動にも注力していきたいと考えています。
ーー最後に、法律トラブルを抱えている方にメッセージをお願いします。
法律事務所に相談に来られる方は、みなさん少なからず緊張していると思います。「弁護士に怒られないだろうか」「上手に話せるだろうか」と不安になる方もいるでしょう。私は常日頃から、相談に来た方の話をしっかり傾聴し、わかりやすく説明することを心掛けていますので、心配せずにお気軽にお越しください。
困り事があるときには、できるだけ早く相談することが大切です。「こんなことを聞いていいのだろうか」と思うようなことでも、遠慮なくお尋ねください。「相談に来て良かった」と思っていただけるように、精一杯サポートいたします。