田村 昌之 弁護士 インタビュー
弁護士を目指したきっかけ
大学を卒業してから企業に就職し、約3年間サラリーマン経験をしました。
その頃は、世界中に日本製品を輸出している会社や貿易商社に就職して、世界を舞台にした仕事をしていろんな経験をしたいという思いが強くありました。しかし、いざ念願の会社に就職して会社組織の中にいると、自分の評価をしてくれる者は、自分の所属している組織の一握りの人だけであり、しかもその人の評価や人事方針で自分の人生が左右されると思うようになりました。
資格を持って社会に出れば、自分を評価してくれる者は社会全体であること、需要があれば自分の努力次第で進みたい専門分野を選ぶことが可能なこと、ライフワークとして過去からの経験の蓄積を将来に生かすことができること、などから退職し、いわゆる脱サラをして司法試験に挑戦し弁護士資格を目指しました。
サラリーマン時代は全く試験対策の勉強をしていなかったため、合格するまで時間が掛かりましたが、目標にたどり着くまでの廻り道や挫折した人生経験は、トラブルを抱えた依頼者と共に解決への道を模索する上でとても役立っており、これまでのさまざまな人生経験は無駄にはなってはいないと実感しています。
今までの経験と現在の仕事内容
平成4年から大阪市内の弁護士事務所で勤務し、3年後に独立して大阪市と神戸市の間の阪神地方で事務所を開業しました。一定の専門分野に特化するのではなく、民事・刑事を含めて、できるだけ地域の需要に応えられる法律事務所として活動するよう心掛けています。
この10年間は、代理人として事件を受任するだけでなく、調停委員、司法委員など裁判所の依頼で中立的な立場の仕事を引き受ける機会が多くありました。
様々な事件に直接関わって経験を積むと、相談された事件の見通しが立てやすくなり、相談者が私に依頼するかどうかの判断材料をできるだけ提供できるようになります。
法令、裁判例だけでなく私の経験を交えて、相談者に私なりの見通しを説明することは、依頼者が依頼するかどうかを決める上で必要な過程だと考えています。
弁護士としての信条・ポリシー
弁護士の事務所に相談に来る人にとってみれば、一生のうちに一度あるかないかの事件や事故の場合が多いと思います。一期一会という言葉がありますが、相談時間の範囲内で、できるだけ要領よく事情を聞いたうえで、その回答に際しては自分の法律上の知識や人生経験を織り込んで伝えるよう心掛けています。
しかし、類似した事件でも相手方の対応や事実が異なったり、裁判所で従来の判例が変更されることもあります。裁判官という人間が判決する以上、良くも悪くも事前の見通しとは異なる展開になることがありますので、過去の裁判例や自分の経験だけで事件の見通しを決めつけてはならないということも意識しています。
関心のある分野
関心のある分野はいろいろありますが、事件を受任して経験を積み重ねることによって処理能力を高めることができ、その結果、依頼者に満足してもらえれば、私は更にその分野にもっと強くなろうと関心を持つようになります。
そういう面で、私が現在比較的受任する件数が多いのは、破産申立や破産管財事件です。一度事件を処理した依頼者が同種事案で悩んでいる人を紹介してくれて、裁判所への破産申立件数が増えると、私の申立書を読んだ書記官が破産管財事件を回してくれることがあります。
そうなると多岐に渡る事件を経験することができ、それを基に相談者に更に的確なアドバイスできるようになると、また、他の相談者を紹介してくれる、というような事件受任の連鎖が生まれることがあります。
自分が関心のある分野の勉強会や研修に参加したからといってその道の専門家になれる訳ではなく、関与する事件の積み重ねが弁護士を育てると思っていますので、調停委員の時は、分野を問わず一般の調停委員がもてあますような難しい案件を回してくれるよう係の書記官にお願いしています。調停では紛争をどう解決するか裁判官や他の専門分野の調停委員と協議する過程で、これまで経験したことが無いようなことを勉強できます。