
とにかくじっくり話を聞くことを解決への一歩に〜様々な分野に幅広く対応、相続に注力
弁護士である父の背中を追い、法曹の道へ
――弁護士を目指したきっかけや、その理由を教えてください。
父親が弁護士で、子どもの頃から「弁護士とはこういうものだ」と聞かされて育ってきました。幼心に「立派な仕事だな」思い、弁護士という職業にぼんやりと憧れを持っていました。
本格的に弁護士を目指そうと思い始めたのは、大学3年生になってからです。そこからは、法科大学院に進むために猛勉強を始めました。
司法修習生時代には、実際に弁護士、検察官、裁判官の仕事を体感できる機会がありました。業務の範囲が最も幅広く、広い視野を持って仕事ができる点が決め手になり、当初の思い通り、弁護士になろうと決意しました。
――どんな学生生活でしたか。
中学生のころは卓球をしていました。高校に入ってからは部活動に入らず、2年生から大学受験の勉強に励んでいましたね。
大学の1、2年生の間は存分に遊びました。友達と集まって飲みに行ったり、イベントを開いたりして、自由な大学生活を満喫していましたね。今まで知らなかった世界を体験したいと思い、飲食店でホール係のアルバイトもしていました。
――注力している分野と、その理由を教えてください。
幅広く様々な案件を受けていますが、今後は特に相続分野に力を入れていきたいと考えています。
相続トラブルは、家族、親族間でのトラブルです。身内だけにお互い遠慮がなく、感情的なもつれがひどくなり、当人同士で話し合えない状態まで関係が悪化してしまうケースが少なくありません。そうした絡み合ったほつれをひとつひとつ解きほぐして相続の手続きを進めるために、弁護士が果たす役割は非常に大きいと感じています。
相続分野を得意とする弁護士は、まだまだ少ないのが現状だと考えています。相続に関する正確な専門知識を身に着けた弁護士がもっと増えれば、スムーズに解決できるケースがもっと増えるでしょう。非常に注力のしがいがある分野だと思っています。
「救われました」敗訴した裁判の後で依頼者からかけられた言葉
――弁護士として仕事をする上で心がけていることは何ですか。
依頼者の話を遮らず、最後までしっかり聞くことです。私の事務所に相談に来る方には、年配の方もたくさんいます。共通点として、「悩みをじっくりと聞いてほしい」という思いが強いと感じます。案件とは関係ない話をする方もいますが、そうした話も遮らず、最後まで聞いてから答えるように心がけています。
あとは、依頼者に対して「報告」「連絡」「相談」を欠かさないようにしています。細かいこともしっかり報告することで、納得してもらえることが多いですね。
――弁護士として活動してきた中で、印象的なエピソードはありますか。
ある姉弟間のトラブルで、弟の代理人として姉に損害賠償を請求した事件が印象に残っています。
弟は当時は無職で、実家で姉二人と父と暮らしていました。定職につこうとしない弟に業を煮やした姉は、弟の持ち物や部屋の一部を壊して、弟を実家から追い出しました。
そのことに憤りを感じた弟が、姉に賠償を求めたいと依頼してきたんです。私は、「損害賠償請求は難しい、やめておいたほうがいい」とアドバイスしたのですが、「どうしても」ということなので引き受けました。
裁判を起こしてから判決まで1年半くらいかかり、結果としては弟の敗訴でした。弟からは不満をぶつけられると覚悟していたのですが、「ありがとうございます。救われました」と感謝してもらえたんです。依頼者はおそらく、ずっとやり場のない気持ちを抱えていたんだと思います。
それを私が代理人となって、裁判の中で家族への思いを代弁したことで、モヤモヤした気持ちを昇華することができたのでしょう。依頼者はその後、実家を出て、自立して生活しているそうです。結果的に、依頼者にとって独立するよいきっかけを作れたのではないかと思い、印象に残っています。
ーー自身の強みを教えてください。
依頼者からは「話しやすい」と言ってもらえることが多いです。そこが私の強みだと思っています。弁護士には、自らの考えを基本に依頼者をグイグイ引っ張るタイプと依頼者の希望に沿って動くタイプがいます。私は確実に後者ですね。
ーー休日をどのように過ごしていますか。
1歳と4歳の娘がいるので、休みの日は公園に連れて行って遊んでいます。まだ小さいので、砂場で遊んだり、一緒にブランコに乗ったりしています。可愛くて仕方がないですね。
国内旅行が好きで、先日は家族と北海道へ2週間ほど行きました。子どもたちが寝た後に、妻とドラマや映画を観る時間も好きです。
ーー最後に、今後の展望と法律トラブルに悩むユーザーに向けたメッセージをお願いします。
相談を受けた案件は、今後もできる限り積極的に受けていきたいと考えています。
トラブルを抱えている方は、誰でもよいので周りに相談してください。精神的に追い詰められて辛い状況であっても、弁護士を含む誰かに相談すれば気持ちも落ち着いて解決に向かうことができます。今は辛くてもよい方向へ向かうと信じて、まずは気軽に相談してください。