弁護士の少ない地域で困っている人を救いたい〜個人から企業まで淡路島の人々の幅広い相談に応える
格差の再生産を打破するため弁護士に
ーー弁護士を目指したきっかけを教えてください。
大学生の時、「あしなが育英会」という、親を亡くした子どもや障害などで親が働けない家庭の子どもを支援する団体が運営する寮に入っていました。私の親は重度後遺障害に認定されていて、家も裕福ではなかったため、奨学金をもらいながら寮生活をしていたんです。
寮生活の一環として街頭募金やサマーキャンプなど、あしなが育英会のボランティア活動にも参加していたのですが、活動の中で「格差の再生産」という言葉を耳にしました。
「格差の再生産」とは、幼い頃に親を亡くすと、経済的余裕がないことが原因で満足な教育が受けられず、格差が再生産されてしまうというものです。「格差の再生産を打破するためには何をすべきか」を自分の身に置き換えて考えた時に出した答えが、資格を取ることでした。
はじめは公務員を目指そうと考えていたのですが、国立のロースクールに合格すれば、奨学金をもらいながら法律の勉強ができるため、高みを目指そうと思い司法試験を受験することにしました。
また、私が弁護士になることで、経済的に困窮しているなど、同じような境遇の人たちをサポートができるのではないかと思ったのです。
ーー淡路島で事務所を開設したのはどのような理由からですか。
弁護士登録後最初の1年は地元の兵庫県で働いていたのですが、弁護士の少ない地域で働くことに魅力を感じ、山口県の弁護士事務所に移籍しました。山口県で個人から企業まで地域の方の相談を幅広く受けていく中で、M&Aに関心を持つようになりました。
M&Aの業務に関わるために公認会計士の資格を取り、東京に拠点を移してコンサルティング会社や弁護士事務所で経験を積みました。そして、弁護士登録から10年目となる節目の年に、地元の兵庫県で活動しようと思い戻ってきたんです。
淡路島で事務所を開こうと思ったのは、山口県で活動していた時と同じように、弁護士の少ないところで地域に密着した活動をしたいと考えたからです。
弁護士が多い地域では、私が受任しなくても他の弁護士が事件を処理してくれます。しかし、弁護士が少ない地域では、私が手掛けなければ困っている人がいつまでも救われないままということも起こり得ます。
兵庫、山口、東京の弁護士事務所で培った知見を、淡路島や近隣の方の問題解決に活かしたいと考えています。
多くの判断材料を提示し、依頼者をベストな選択に導く
ーー現在の注力分野とその分野に注力されている理由を教えてください。
交通事故に注力しています。以前勤めていた事務所で交通事故案件を多く扱い、その経験を活かしたいと思い現在も注力しています。前の事務所では加害者側の依頼を受ける機会もありましたが、現在は被害者側の案件を中心に扱っています。
交通事故案件の中でも特に力を入れているのが、損害賠償請求です。それまで普通に生活していた人がある日突然事故に遭い、脊髄損傷や高次脳機能障害を負って事故前のような生活を送れず、苦しんでいる姿をたびたび目にしてきました。
事故の被害で仕事ができなくなってしまった被害者にとっては、賠償金が生涯で最後の収入になることもあり得ます。損害に見合った適切な賠償金を獲得できなければ、被害者は二重三重の苦しみを背負わなければなりません。被害者の人生を守るためにも、損害賠償請求は決して妥協せずに取り組んでいます。
ーー仕事をする上で心掛けていることを教えてください。
ベストな選択ができるように依頼者をサポートすることです。例えば交通事故案件では、裁判で争って多くの損害賠償金を獲得した方が良いのか、和解をして、裁判をするよりも早く損害賠償金を受け取った方が良いのか、選択が必要な場合があります。どちらの選択がベストかは依頼者の事情によって異なります。
最終的な判断は依頼者が行いますので、弁護士としては多くの判断材料を用意することが求められます。
また、依頼者の誤った認識や思い込みを解き、正しい情報を伝えることも弁護士の役割です。
たとえば、交通事故で多い相談に、「加害者側の保険会社から治療費を打ち切られた」というケースがあります。「治療費が打ち切られたら治療をやめなければいけない」と考えてしまう方もいるのですが、治療費の延長を求めて保険会社に交渉する方法もあれば、自身が加入している健康保険を利用したり、労災保険を利用して治療を続けるという方法もあるのです。
一般の方がわからないことを専門家として伝えることが、ベストな選択に導くために必要なことだと考えています。
公認会計士の資格を活かした活動で地域に貢献
ーー弁護士のやりがいを教えてください。
依頼者から感謝の思いを伝えられた時にやりがいを感じます。
交通事故の損害賠償請求などは、弁護士が介入することで賠償額が増額する可能性があります。依頼者が「先生のおかげで受け取る賠償金が増えて、生活の負担が減りました」と具体的な話をしてくれた時は、とても嬉しくなります。
ーー今後の展望を教えてください。
淡路島で「必要な存在」と思われるよう、地域に根ざした活動を続けていきたいと考えています。
公認会計士の資格を活かしたM&Aにも積極的に取り組んでいくつもりです。これまで淡路島にはM&Aを得意とする弁護士や会計士がいなかったため、淡路島や徳島でM&Aを検討する人は、大阪にある弁護士事務所や会計事務所に行かなければなりませんでした。
私が淡路島で活動することで、これまで不便さを感じていた方々のニーズに応えられるのではないかと思っています。
ーー最後にトラブルを抱えている方にメッセージをお願いします。
淡路島のような弁護士が少ない地域に住んでいる方の中には、「どのようなことを相談していいかわからない」という方もいると思います。私も「こんなときに相談してください」ということを積極的に発信するつもりですので、みなさんも困っていることなどがあれば、気軽に相談してください。