「前を向いて幸せになってほしい」不安を丁寧に汲み取り、依頼者が満足できる解決策を共に考える
社会的に理不尽な目に遭う人の味方になりたい
ーー弁護士を目指したきっかけや理由を教えてください。
大学で憲法や民法などの法律の授業を受けたときに、法律の論理的な考え方や判例の解釈が、新鮮で面白く感じて、法律を使った仕事をしたいと思うようになりました。
法律を使う仕事にはいろいろありますが、弁護士であれば、様々な分野で法律をオールラウンドに使うことができるので、司法試験にトライしてみようと思いました。
ゼミの先輩で弁護士になった方が、ゼミの授業で弁護士の仕事の話をしてくれました。その話を聞く中で、弁護士の仕事のイメージが徐々に明確になっていきました。例えば、離婚であれば、女性はまだまだ弱い立場にあることがわかりました。そういった、社会的に理不尽な目に遭っている人の味方ができるのは素晴らしい仕事だと思い、弁護士になりたい気持ちがより強くなりました。
高齢者の見守り契約で安心した余生を
ーー注力分野を教えてください。
離婚事件での女性のサポートと、高齢者のサポートです。
高齢者の方には、例えば、身寄りがいないとか、子どもがいるけれど子どもには頼りたくないとか、配偶者に先立たれてしまったとか、いろいろな事情の方がいますが、皆さんに共通しているのは、最後をしっかりしたいと言うことです。
そういった方には、任意後見という見守り契約をおすすめしています。例えば、月に1回私が高齢者の自宅を訪問します。本人と話して、少しおかしいなと思うことがあれば、ヘルパーなど福祉や病院などに繋いでいます。施設に入所する必要があれば、どの施設がよいかを福祉の方と連携して相談に乗ることもしています。
任意後見契約は、本人が元気なうちに締結することができて、内容をある程度自由に決められます。見守りの他に、遺言や、亡くなった後の手続きについても決めておくことで、トータルでサポートでき、依頼者に安心して余生を過ごしてもらうことができます。
相続には税金の問題もあるので、信頼できる税理士と協力しています。場合によっては税理士に同席してもらって依頼者に説明することもあります。遺産に不動産が含まれる場合には、司法書士とも連携しています。
ーー依頼者と接するときに心がけていることは何でしょうか。
「先生にお願いしてよかったです」と依頼者に思ってもらえるように心がけています。
弁護士に相談に来るのは、人生の一大事です。しかも、トラブルがこじれてから来るケースが少なくありません。依頼を受けたすべての案件が大切なので、精一杯サポートしたいと思っています。
人は感情の生き物なので、依頼者が案件をどう感じていて、どのような解決を望むのかを理解することが大事だと思います。私が重視することと、依頼者が重視することが違うのはよくあることです。人によって価値観は違うので、依頼者は何を望んでいるのかを意識するようにしています。
依頼者の感情に寄り添い、心の整理を手伝う
ーー弁護士として活動をされてきた中で、印象に残っているエピソードを教えてください。
夫の不倫が原因の離婚調停で、妻側の代理人をしました。依頼者は夫と不倫相手に対して許せない気持ちが強く、夫と不倫相手に、直接怒りの言葉を伝えたいと望んでいました。
依頼者の気持ちはよく理解できましたが、私は依頼者を止めました。夫と不倫相手に直接話をしたとしても、依頼者自身が傷つくだけです。このような話を半年ほどかけて、依頼者に説明しました。
離婚調停では、こちら側と相手方が交互に調停委員に呼ばれて話をするので、相手方が呼ばれている間に20分ほどの待ち時間があります。そういった時間に依頼者の話を聞くようにしています。夫や不倫相手への恨みや愚痴なども聞きます。そうすると、依頼者が何を不安に思っているかが伝わりますし、依頼者も話すうちに心の整理がついてきます。
この事件では、離婚調停が終わったときに、「先生の言ったとおり、夫と不倫相手に直接言うことをしなくて本当によかったと思っています」と依頼者に言われました。
離婚や相続といった家事事件は、法律の問題とは別に感情の問題もあります。調停では半年から1年といった長い時間がかかりますが、その間に依頼者の話をいろいろと聞いて、感情面も含めて、客観的な第三者として、依頼者が前向きに幸せになれるようなアドバイスをしたいと思っています。時には依頼者の思いに反する意見を言うこともありますが、「あのときあのように言ってくれてよかった」と依頼者に言われると、弁護士をしていてよかったと思います。
ーープライベートについても伺います。休日はどのようにお過ごしですか。
スポーツジムへ行って、ヨガをしています。休日でも仕事のことを考えてしまうことが多いので、気持ちを切り替えるようにしています。仕事のことばかり考えていると、見通しが立たず堂々巡りになってくるのですが、ヨガで気持ちをリセットすると、新しいアイディアを思いつくこともあります。
ーー今後の展望についてお聞かせください。
これから少子高齢化がますます進むので、高齢者の方が安心して歳を重ねられるように、法律の専門家としてサポートしていきたいです。
私の依頼者には、高齢者や女性の方が多いです。私はどちらかというと相手の話を良く聞くタイプなので、弁護士事務所に相談に行くのを怖いと思ったり、敷居が高いと感じる方が、相談に来るのだと思います。そういった方々が身近に相談できて安心できる存在でいたいと思います。
最近は中小企業からの相談も増えています。会社顧問や社外取締役の仕事もしておりますので、やはり困ったときにすぐに気軽に相談できる存在でありたいと思います。
ーートラブルを抱えて悩んでいる方へ、メッセージをお願いします。
1人で悩まずに相談してほしいです。
1人で考えると、どうしても悪い方へ考えがちです。でも相談してみると、思っているほど深刻な話ではなくて、解決の糸口があることがほとんどです。
人に頼るのは悪いことのように言われがちですが、そんなことは全然ありません。人間は社会の中で頼り合って生きるものです。
こんな悩みを弁護士に相談していいのかと思うかもしれませんが、もし弁護士ではなく例えば福祉の問題だとすれば、福祉の方や市役所にお繋ぎします。弁護士は多くのケースを扱っているので、他の専門家との繋がりもありますし、誰に繋げばよいか判断しやすい立場にあります。そういう意味でも弁護士を上手く利用していただければと思います。
相談をして、1人ではないと分かれば心強くなります。私に相談に来た方が、帰るときにふと明るい顔になることが多いので、それを見て私はやってよかったと心から思えます。人と話すとか、共有するのは大事なことだと思います。話すだけでもいいので、ぜひ相談してほしいです。