得意の英語を活かして外国人問題に取り組みながら、建築分野にも注力
震災がきっかけで欠陥住宅問題に関心を持つ
ーー弁護士を目指したきっかけや理由を教えてください。
もともとは弁護士ではなく、国連職員のような英語を使った仕事をしたいと思っていました。大学の法学部には司法試験を目指す学生が多かったため、周りの影響を受けて司法試験を受けることにしました。弁護士になることを決めたのは司法修習のときです。裁判官や検察官という選択肢もありましたが、故郷の札幌で働きたいと考えていたので、自由な働き方ができる弁護士を選びました。
ーーどのような学生時代でしたか。
大学では英語でディベートをする「法学部英語会」というサークルに入りました。英語は大学に入る前から好きで、高校生の頃には日常会話ができるくらいの英語力を身につけていました。
映画も大好きで、司法試験受験生のときは毎日のように映画館に通い、年間260本くらいの映画を見ました。映画ばかり見ていたせいで司法試験に合格するまでに時間がかかりましたが、そのとき見た映画は糧になっているので後悔はまったくありません。
ーー注力している分野を教えてください。
一つは欠陥住宅問題です。1995年の阪神淡路大震災を契機に欠陥住宅が社会問題となり、全国の弁護士や建築士を中心とした「欠陥住宅被害全国連絡協議会」が結成されました。それまで建築分野に関心があったわけではないのですが、神戸で開催された第1回のシンポジウムに参加したのをきっかけに、欠陥住宅問題に取り組むようになりました。
住宅は生活の基盤となるものです。それだけに被害者のダメージは大きく、欠陥住宅がきっかけで家族関係や夫婦関係が破綻してしまうケースもあります。そういう人たちを少しでも救えることにやりがいを感じています。
もう一つの注力分野は外国人問題です。アメリカやカナダ、オーストラリアなどの領事館に登録をして、在日外国人からの相談を受けています。外国人問題では、民事以外に刑事事件の依頼も多いです。私の場合は通訳を必要としないため、英語が使えることが大きな武器になっていると思います。
感情移入の距離感とのバランス
ーー仕事をする上で心がけていることを教えてください。
依頼者の話をしっかり聞き、共感することを心がけています。依頼者に感情移入しすぎると客観的な判断ができなくなる危険性がありますが、距離を置くような態度では依頼者との信頼関係を築けません。
感情移入と距離感とのバランスは、弁護士を何年続けていても完全に身につくものではないと思っています。ですから、常に自分へ言い聞かせながら依頼者に寄り添っています。
ーー弁護士として活動してきた中で印象的だったエピソードを教えてください。
弁護士2年目ぐらいに担当した離婚事件が印象に残っています。依頼者は20代の女性でした。離婚の調停を始めたところ、調停途中で「夫とやり直すことにしたので離婚をやめる」と言われ、申し立てを取り下げることになりました。
調停までしながら復縁するのは珍しいケースでしたが、本人の希望ですから、幸せな人生を歩んでほしいと願いながら調停を終了させました。
それから20年ほど経った頃に、その依頼者から再び連絡が来ました。当時勤めていた事務所からは独立して連絡先なども変わっていましたので、おそらくインターネットで私のことを探したんだと思います。話を聞いてみると「やっぱり離婚したい」という内容でした。
まさか20年前に扱った離婚事件に再び関わることになるとは思いませんでした。依頼者に子どもが生まれていたりなど、20年前と状況の変化はあったものの、夫側と交渉をして協議離婚という形で解決することができました。
それまでにも多くの人の人生に関与してきましたが、20年越しの離婚を担当して、改めて人生の難しさを感じましたし、人生の選択に関わる弁護士の責任は重大だと考えさせられました。
「転ばぬ先の弁護士」を身近な存在に
ーー趣味や休日の過ごし方を教えてください。
好きな音楽を聴きながら本を読むのが至上の喜びです。音楽は洋楽を中心にロック、クラシック、ジャズなどを聴きます。本は英語の小説が好きで、20世紀を代表する小説ともいわれるジェイムズ・ジョイスの『ユリシーズ』などは、原書で読んでいます。
趣味とは違いますが、最近ファスティング(断食)をしました。食事はいっさい取らず、サプリメントと水分だけで7日間過ごしました。過去にも2回ほど挑戦していて、体調が改善されたので、健康維持のために今後も定期的にファスティングをしようと思っています。
ーー今後の展望についてお聞かせください。
新しいことに取り組むよりも、これまでやってきた分野をしっかりやっていこうと考えています。また、弁護士を身近に感じてもらいたいという思いから、企業の顧問料を月額1万円と低めにして活動しているので、顧問先を増やしていきたいと考えています。
事務所に関してはこれまで一人でやってきましたが、一緒に働ける弁護士が見つかれば、共同体制にしたいと考えています。
ーー法律トラブルを抱えていて、悩んでいる方へのメッセージをお願いします。
みなさんに「転ばぬ先の弁護士」と話しているのですが、困りごとがあったら、まず弁護士に相談するという考えを持っていただきたいです。弁護士を最終手段にするのではなく、最初の相談先にすれば、解決の方針もすぐに見えますし、問題が複雑化する前に解決することができると思います。
弁護士の管轄外のことであっても、アドバイスや解決策の提案ができますので、弁護士を「法律コンシェルジュ」だと思って活用してください。