
「記憶に残る弁護士に」全ての案件を丁寧に 医学部卒の知識を活かし医療事件・交通事故・刑事事件に注力
故郷・福岡で地域に密着した事務所を開設
ーー大学時代は東京で過ごされたそうですが、なぜ福岡で事務所を開設したのですか?
福岡出身なので、地元に帰りたかったことが一番の理由です。自分で事務所を開設するとなると、元々のネットワークがある地域の方が、事件のご紹介等をいただけることも多いだろうと思いました。ただ、やはりこの街が好きだというのが一番の理由です。
ーー注力分野とその分野に注力している理由を教えてください。
主に医療事件、交通事故、刑事事件を扱っています。特に、福岡で医療事件に対応できる弁護士は数えるほどしかいないので、力を入れています。患者側・医療機関側双方の案件を扱っています。私は医学部出身なので、相談の段階でどういう事案なのか、ある程度把握できますし、大学の同級生が各方面で活躍しているので、「こんな相談を受けたんだけど、どう思う?」と気軽に聞けることも強みです。交通事故は、以前に保険会社の案件を取り扱う事務所に所属していたことがあるため、取り扱った件数としては、かなり多いと思います。また、後遺症の等級など、医療の専門知識が必要になる事案にも積極的に取り組んでいます。 刑事事件については、専門サイトを立ち上げ、定期的にコラムを執筆するなどして情報発信も行っています。最近では、新型コロナウイルスの持続化給付金の詐欺に関する事件について、詳細な分析を行っています。
ーー事務所ホームページの「刑事事件は救急救命に似ている」という言葉が印象的でした。具体的にはどんな対応を心がけているのでしょうか?
刑事事件は時間との戦いなので、連絡があれば即時対応する体制をとっています。相談のタイミングは人によって様々ですが、逮捕された直後に電話をかけてくる方が多いですね。そのような場合は、よほどのことがない限り、その日のうちに接見に行くことにしています。
最近は、逮捕された方のご家族が、セカンドオピニオンを求めていらっしゃることもあります。「国選の弁護士の先生にお願いしてしばらく対応してもらっているけれど、このまま任せておいて大丈夫なのか」、と不安に思われた場合などです。このようなケースで、私が新たに弁護人として事件を担当することになった場合は、勾留されてから数日後や、起訴されたあとに対応することもあります。
ーー先生がお仕事をされている中で、心がけていることはありますか?
私の事務所は、他に比べて、一件あたりの単価は安くないと思いますが、そのぶん一件一件に丁寧に取り組むようにしています。近年、大量に依頼を受けて収益を上げる薄利多売のモデルが脚光を浴びることがあります。私はそのようなモデルとは逆をいっています。
色々な考え方があるので、どちらが良い、悪いとは思っていません。ただ、大先輩の先生から「依頼者の記憶に残るような仕事をしなさい」と言われたことをいまだに覚えていて、その言葉を胸に一件一件丁寧に取り組むことを心がけています。
Zoomを活用「自宅からでも気軽に相談を」
ーーセカンドオピニオンで相談が多いのはどのような事件ですか?
例えば医療事件です。最初は他の弁護士に相談していたけれど、本当に事件を理解しているのか不安になって相談に来た方がいらっしゃいました。また、離婚などの家事事件、刑事事件でも相談を受けることがあります。刑事事件では、国選弁護で選ばれた弁護士に関して不安に思う方もいらっしゃいます。最初は国選の先生がついていたけれど、このままだと先行き不透明なので、ご家族でお金を出して他の弁護士に頼みたいと思われて、私のところに相談にいらっしゃるようです。
最近は持続化給付金の詐欺の事件があちこちで起こっています。私は事件がここまで増える前の早めの段階から、情報提供のためにコラムを書いていたので、それを読んだ全国の方から相談がきますね。現在も、新たな判決を掲載するため、記事を定期的に更新しています。
ーー現在はZoom(Web会議ツール)を利用した相談が増えていると伺いました。いつから利用されていますか?
コロナ前から利用しています。知り合いの開業医が、コロナ前からオンラインで診察をしていたことからヒントを得ました。「自宅にいながら気軽に相談できれば、依頼者にとってもメリットが大きいだろう」と考え、導入しました。最初はZoomの知名度がなく、使える人があまりいませんでした。今は時代が追いついてきて、Zoomでの相談を多く受けるようになりました。
ーーコロナ禍でweb会議ツールははかなり普及したように思います。
弁護士会の委員会会議も基本はZoomでおこなうようになりました。研修やシンポジウムも、遠方から参加する方のために、私がZoomをセッティングして取り仕切ることが多いです。弁護士会の会議も研修も、現地にいくとなると時間がないけれど、Zoomなら参加可能、という方は意外と多いのだなと思いました。
私の事務所も、「どうしても対面で相談したい」という方を除き、相談はなるべくZoomでお願いしています。Zoomを使えば外出先でも打ち合わせができ、予定を柔軟に入れられるので便利です。
ーー今後の展望を教えてください。
現状の相談件数であれば、なんとか私一人で回せています。もう少し増えてくると回らなくなってくるので、人を増やすこともあり得るのかなという気はしています。ただ、単に人を増やして大きな事務所を構えることは時代に合わない気がしているので、どういう形で拡大していくべきか、考え中です。
ーー法律トラブルを抱えて、悩んでいる方へのメッセージをお願いいたします。
事件の内容にかかわらず、本当に困っている人の方がギリギリまで相談してこないことが多いです。もう少し早く相談してくれれば、と思うことが多々あります。とりあえず相談に行かないと何も始まりません。気軽に弁護士のところへ来てほしいです。