
「相談者の気持ちが少しでも楽になれば」労働問題・債務整理に注力 依頼者に寄り添った解決を目指す
大学院での研究と並行して、司法試験合格を目指す
ーー弁護士を目指した理由やきっかけを教えてください。
父が公務員をしていたので、はじめは私も公務員になろうと思っていました。大学3年生の時、同級生に司法試験を受ける人が多かったので、興味本位で私も受けたのですが、結果は散々でした……。もともと負けず嫌いな性格のため闘志に火がついてしまい、「絶対に合格してやる!」という思いで司法試験合格を目指すようになりました。
ーーどんな学生生活でしたか?
大学では会社法のゼミに所属していました。テーマを設けて議論をするのですが、少しでも準備を怠ると議論についていけなくなってしまうため、毎回真剣に取り組んでいました。法学部の中で特に厳しいといわれていたゼミでした。ただ厳しいだけでなく、議論の後にみんなでお酒を飲んだり、合宿をしたり、楽しい思い出もたくさんあります。
大学を卒業した後は、大学院に進学して会社法の研究を続けつつ、並行して司法試験の勉強に励み、最終的に合格することができました。会社法で研究したことは、実務でもときどき活かされています。
パワハラ被害の証拠を集めるポイントとは?
ーー注力している分野を教えてください。
依頼者のニーズに合わせて様々な分野を担当していますが、特に労働問題と債務整理に注力しています。
ーー労働問題でいうと、パワハラなどの職場でのハラスメント被害に対する社会の目が厳しくなっているように思えます。
パワハラ問題は扱うのが難しいのですが、その理由は二つあります。
一つは証拠です。パワハラは第三者の目が届かないところで行われることが多いため、被害者の主張を証明することが難しいんです。証拠がないと「言った言わない」の水掛け論になってしまいます。
二つ目は、解釈の問題です。上司の発言をパワハラと捉えるか、指導と捉えるかは人それぞれです。発言する側と発言された側では受け取り方が異なるので、解釈のズレがパワハラ問題を解決しづらくします。
ーーパワハラを受けた際にはどのように対応したらよいのでしょうか?
証拠集めが肝心です。効果的な自衛手段は会話を録音することです。スマートフォンで構いませんので、パワハラを受けていると感じたらすぐに録音するのがよいと思います。無断で録音することに抵抗を感じるかもしれませんが、許可を取らずに録音した音声でも証拠として認められますので、自分を守る行動を取ってください。ただし、録音した音声をSNSなどでアップしたりすると、かえって労働者が訴えられるリスクが生じるので注意してください。
借金で「明日食べるものにも困っている」相談者を救った過払い金返還請求
ーー債務整理について、たとえば借金の減額を相談された場合はどのように対応しているのでしょうか。
依頼者が無理なく返済できるのであれば、任意整理という手段を選択します。返済が困難であれば、個人再生や自己破産という方法があります。それぞれメリットとデメリットがありますので、依頼者に手続きの違いや処理の違いを説明して、どの方法を選ぶかを判断してもらいます。
依頼者の支払い能力を明確にして、月々に返済できる金額と返済期間を決めます。返済額に債権者が納得できないのであれば破産手続きをしなければならなくなりますが、債権者としても破産されてしまうよりは多少でも回収したいと考えるので、多くの場合は和解に応じてくれます。
ーーお仕事において心がけていることはありますか?
労働問題にせよ債務整理にせよ、相談に来られる方は精神的に追い込まれていますので、気持ちが楽になれるよう、人当たりの柔らかい弁護士であるように心がけています。法律問題や法律用語は一般の方には難しいことが多いので、相談者には丁寧でわかりやすい説明をするように意識しています。
ーー弁護士として活動してきた中で、印象的だったエピソードを教えてください。
借金を抱えていて、明日の食べるものにも困っているという年配の方が相談に来られたのですが、調べてみると多額の過払金があることがわかったんです。過払金の返還請求をした結果、明日の食事どころか、生活に困ることがないくらいの金額が戻って来て、とても感謝されました。生きることに困っていた方を救えたことが嬉しかったですね。
「些細なことで相談して、少しでも気持ちが楽になってほしい」
ーー休日のお過ごし方を教えてください。
幼い子どもが二人いるので、一緒に公園に行って遊んでいます。車で少し遠い公園まで遊びに行った時には道の駅に寄ったり、日帰り温泉に入ってリフレッシュしています。
体を動かすことも好きで、以前は弁護士会の野球部で汗を流していたのですが、今は子どもと過ごす時間を優先しています。野球の代わりに、ジムに行って身体を動かしています。
ラグビー観戦も好きです。2015年のワールドカップで日本が大健闘したのを観てファンになりました。最近になって子どもがラグビーに興味を持ち始めたようで、今は一緒にテレビ観戦しています。
ーー今後の展望についてお聞かせください。
これまでと同じスタンスで、一つ一つの案件を丁寧に対応していきたいと思います。その上で、今まで経験してこなかった問題や分野にも、勉強しながら取り組みたいと考えています。
例えば労働分野ですと、特に中小で法的な整備が不十分な企業が多いと感じています。不十分だから労働問題が起きてしまうのです。そうした企業にアドバイスをすることで、事件が起こらないようにすることも、弁護士の務めではないかと考えています。
ーー法律トラブルを抱えて、悩んでいる方へのメッセージをお願いします。
悩みを一人で抱え込むより、些細なことであっても弁護士に相談した方がよいと思います。法的に解決できる問題なのか聞くだけでも構いません。少しでも気持ちが楽になるのであれば、相談が無意味になることはありませんので、気軽に相談してください。