法律問題の「総合診療科」として、あらゆるトラブルに多様な解決を提供
増加傾向の高齢者・障害者問題 早めの相談でトラブルを予防
ーー弁護士を目指したきっかけや理由についてお聞かせください。
中学時代の英語の授業で「どんな職業になりたいか」について書くことがあり、それをきっかけに将来の仕事について考えるようになりました。そのとき、誰か一人でもあの人がいてくれてよかったと思ってくれる人がいる、そんな人生でありたいと思いました。そこで、医者なども考えたのですが、周りは医者になりたい人が多く、私はあえて他の道を歩もうと思い、弁護士を目指すことにしました。
大学に進学してから、実際に弁護士とお会いしたり事務所に訪問したりして、弁護士への憧れがいっそう強くなりました。
司法試験の勉強を本格的に始めたのは、大学を卒業してからです。旧司法試験は合格率がとても低い難しい試験で、何度も受けることになりましたが、自分はいずれ合格すると信じて勉強を続けました。
ーー注力している分野と、注力している理由についてお聞かせください。
意識的に注力している分野はなく、どのような案件でも対応します。案件として多いのは、高齢者と障害者に関する案件です。
私の家族が高齢者施設で働いていることもあってこの分野に興味を持ちました。弁護士会の高齢者・障害者委員会にも所属しています。
ーー高齢者からの相談は増えましたか?
高齢者の増加に伴い、認知症についてメディアなどで取り上げるようになりました。「自分も認知症になるかもしれない」と考え、病気になる前に対策したいと考える相談者が増えていると思います。
私も相続の相談を受けるときに、生前の対策もあわせてアドバイスすることが多くなりました。例えば遺言書の作成について相談される方に対して、「遺言書作成はあなたが亡くなった後のための手段です。認知症になるなど、生きている間に何かあった場合の対策も考えておくといいかもしれません」と提案することが多くなりました。
家族の誰かが認知症になったとしても、他の親族が支えられる環境なら、必ずしも急いで対応する必要はないでしょう。
ただ、最近は高齢者だけの家族や単身の高齢者が増えていますし、家族とうまくいっていない高齢者もいます。そのような方は、将来への不安を1人で抱え込まず、早めに弁護士に相談していただきたいです。
法律は一種の道具です。自分を支えてくれる環境があれば法律という道具は不要かもしれません。しかし、そのような環境がない方は、安心して暮らせるよう、それぞれのニーズに応じて道具を利用することが重要だと思います。
ーーどのような対策が有効なのでしょうか?
まずは、後見制度をより多くの人に知ってもらうことです。この制度自体を知らない人はまだまだ多いです。
将来への不安を解消するために、様々な手段があることを知ってほしいです。私としても、日々情報をアップデートして、相談に来られる方になるべく多様な解決策を提案できるよう心がけています。
他士業や他の弁護士と連携を取る
ーープロフィールページに、「弁護士の総合診療科をめざしています」と書かれていました。
身体の調子が悪いけれど、どの診療科にかかればいいのかわからないとか、複数の病気が関係していそうだーーそんな場合に受診するのが、専門領域の枠にとらわれない、総合的な医療を提供する総合診療科です。私はまさに、弁護士として、総合診療科のようなサービスを提供したいと思っています。
悩んでいる人の多くが、自分の悩みが法律問題なのかも分からずに困っています。そのような方に、「とりあえず相談してみよう」と思ってもらえる存在でありたいです。私の事務所には、取り扱い分野が異なる弁護士が揃っているので、悩みをお聞きした上で、適切な弁護士を紹介できます。
税理士や司法書士、公認会計士など、他士業とのネットワークも築いているので、税金や登記などの問題があってもカバーできます。他の専門家の力も借りながら、悩みをトータルに解決することを目指しています。
ーー30年近いキャリアを振り返ってみて、弁護士にとって大事なスキルは何でしょうか?
法律と判例の理解は最低限のスキルです。法律は常に変化しますし、判例の動向も意識しなければなりませんので、弁護士になった後も日々の勉強を怠ってはいけません。
コミュニケーション能力も必要です。依頼者や裁判官、相手方の弁護士など様々な人と話す仕事なので、欠かせないスキルだと思います。
ーー依頼者とのコミュニケーションにおいて心がけていることはありますか?
依頼者には大きく2つのタイプがいると思います。1つは、自分の意思に沿った弁護活動をしてほしい方。もう1つは、弁護士に判断を委ね、任せてしまいたい方。依頼者がどのタイプなのか、話を聞く中で見極めることが肝心です。
弁護士も同じく2つのタイプがあり、なるべく依頼者の意思を尊重する弁護士もいれば、案件の進め方は自分に任せておけという弁護士もいます。私はどちらかというと前者のタイプですが、依頼者が私に判断を任せたいと希望するならば、なるべく依頼者の意向に沿った弁護活動をするように心がけています。
ーー今後の展望についてお聞かせください。
新しい分野に進出するよりは、引き続き高齢者・障害者問題に注力し、地域住民の様々なニーズに応えることに専念したいです。
30年近く弁護士業をやってきましたが、辞めようと考えたことはありません。これからもできるだけ長く仕事を続けたいと思います。
ーー法律トラブルを抱えていて、悩んでいる方へのメッセージをお願いします。
法律問題にとっての裁判は、病気にとっての手術のようなものだと思います。
病気になったとき、早めに診断を受けて対処すればすぐに治ったのに、こじらせてしまうと入院や手術が必要になることがあります。法律問題も同じで、早めに弁護士に相談すればトラブルを予防できたり、簡単に解決できたはずが、こじらせて裁判に発展した場合、金銭的にも精神的にも大きな負担が生じてしまいます。
私は、法律相談に来ていただいた方が時間を気にせず話せるよう、相談に時間制限を設けていません。1回ごとに相談料(5,500円)をいただきますが、1時間でも2時間でも、落ち着いてじっくり話していただけます。悩みを抱えている方は、ぜひお気軽にご相談ください。