法律問題において「答えは1つではない」〜依頼者にとって最適な解決策を一緒に考える
企業での働き方に疑問を感じて弁護士を目指す
ーー弁護士を目指したきっかけを教えてください。
大学は法学部に進学しましたが、当時は法曹界に進むことは全く考えていませんでした。理由は、当時の司法試験の合格率が非常に低く、自分が合格できるとは到底思えなかったためです。
実際、私の同級生で最初の受験から6年以内に司法試験に合格したのはほんの数人でした。それほど高いハードルだったので、弁護士になるという選択肢は考えられませんでした。
大学卒業後は一般の民間企業に就職しました。しかし、そこで気づいたのは、組織に縛られる働き方が自分には合っていないということでした。
企業で働く中で強く感じたのは、自分の考えや気持ちで自由に行動することの難しさでした。部署によって業務が決められており、時には不必要と思われることまでやらなければならない。人材やお金の無駄遣いではないかと思うことも少なくありませんでした。
就職から6年ほど経過した頃、司法制度改革によりロースクール制度が導入されました。企業での働き方に疑問を感じていたこともあり、これを機に弁護士を目指してみようと考えたのです。
ーー現在の注力分野を教えてください。
特定の分野に注力せず幅広い分野に取り組んでいますが、件数として多いのは離婚・男女問題です。「離婚したい」という相談や、不貞行為に関するものが中心で、不貞行為の被害者からの相談もあれば、不貞をしてしまい相手から訴えを起こされた方からの相談もあります。
ーー離婚案件を扱う上で意識されていることはありますか。
困難性を含めた正確な見通しを伝えることです。
「離婚したい」という相談の中には、すぐに離婚を成立させるのは難しそうだと感じるケースもあります。たとえば、裁判で離婚が認められる「法定離婚事由」がないようなケースです。
ただ、そのような場合でも意外と相手方があっさり離婚に応じることもありますし、別居期間を設けるなど離婚に向けた具体的な行動を取ることで、数か月後に離婚が成立することもあります。
そのため、実現が困難な場合でも、相談を受けた最初の段階ではっきりと状況を伝え、その上で取りうる対策を丁寧に説明することを大切にしています。
弁護士は依頼者の人生に深く関わる存在
ーー弁護士として活動する上で心がけていることを教えてください。
弁護士をしていてよく感じるのは、一般の方々が法律問題に対して「答えは1つ」と思い込んでいることです。法律を適用すれば結論は1つに定まると考えていたり、弁護士の言葉がそのまま結果になると考える方も少なくありません。
しかし、実際は必ずしもそうではありません。弁護士によって法律の解釈が異なることもありますし、裁判官によって判決が変わることもあります。法律にはさまざまな解釈の余地があり、その可能性を検討することが弁護士の役割です。
依頼を受ける際には、まずこの点を依頼者に理解してもらうことが重要だと考えています。法律問題には多様な側面があり、1つの答えだけでなく、複数の可能性があることを説明します。そして、それぞれの可能性について、メリットとデメリット、リスクと期待できる結果を丁寧に説明するよう心がけています。
ーーこれまでの活動で印象に残ってる案件やエピソードはありますか。
特定の事件というわけではありませんが、DVが絡む離婚案件は印象に残ります。DV問題では依頼者の身の安全を守ることが最優先ですが、私自身も相手方から逆恨みされることがあるため、慎重に対応する必要があります。
幸い、これまで身体的な危険を直接感じたことはありませんが、嫌がらせに近い行為を受けることは珍しくありません。離婚問題は当事者の感情が非常に高ぶる場面が多く、相手方の怒りや不満がこちらに向けられることもあります。そのような状況では、理性的な対話が困難となり、苦労することも多いです。
これらの経験から学んだのは、弁護士は単なる法律の専門家ではなく、人々の人生に深く関わる存在だということです。だからこそ、常に依頼者の立場に立ち、最適な解決策を模索するよう心がけています。
企業案件を増やしていきたい
ーー趣味や休日の過ごし方を教えてください。
旅行が趣味で、これまでに50か国以上を訪れました。特にヨーロッパが好きで、これまでの旅先の中ではイタリア、スペイン、ポルトガルがお気に入りです。ただ最近は仕事が忙しく、海外旅行をする時間があまり取れなくなり、もっぱら国内旅行を楽しんでいます。
国内旅行は温泉地に行くことが増えました。若い頃は温泉の魅力がよくわからなかったのですが、最近になってその良さを実感するようになりました。「温泉に入る」という明確な目的があるため、旅先を選ぶ際の指標になるのも魅力の1つです。
また、昔から猫が好きで、現在も1頭飼っています。猫の自由気ままな性格がとても好きで、日々の生活の中で癒しを与えてくれる存在です。猫と過ごす何気ない時間が、私にとって心のリフレッシュになっています。
ーー今後の展望としてどのような考えをお持ちですか。
これからも引き続き、離婚や男女問題を中心とした個人案件に力を入れていく一方で、企業案件も増やしていきたいと考えています。
現状では企業案件が少ないのですが、これは地域性も影響していると思います。事務所の所在地である松戸エリアでは、都心部に比べると企業数が少なく、弁護士と顧問契約を結ぼうとする企業も相対的に少ない印象があります。
企業法務は、企業に勤めていた経験を活かして、貢献できる分野だと思っています。地元企業はもちろん、都内の企業も視野に入れて、積極的に企業案件に取り組んでいきたいです。
ーー最後に、法律トラブルを抱える方へメッセージをお願いします。
本当に困っている状態にあるのなら、できるだけ早めに相談してほしいと思います。相談することで、問題の本質や取りうる選択肢が明確になることも多いです。そして、それによって心の重荷が軽くなることもあるでしょう。
少しでも不安や疑問を感じたときは、まずは相談だけでもしてみることをお勧めします。法律問題は、答えを先延ばしにすることで状況が悪化してしまうことも少なくありません。早めに専門家のアドバイスを受けることで、解決の道筋が見えてくることも多いので、ぜひ、ご相談ください。