犯罪・刑事事件の解決事例
  • 暴行・傷害
  • 加害者

傷害罪で現行犯逮捕されるも,早期の示談,勾留取消請求及び勾留取消請求却下決定に対する準抗告申立により,被疑者の釈放を勝ち取る。その後、処分保留で終了(事実上の無罪獲得)。

30代 男性
この事例の依頼主 30代 男性

相談前の状況 知人間のトラブルに基づく,傷害事件で現行犯逮捕され,勾留決定がされた事案です。

解決への流れ 勾留された初日(弁護人選任日)

 被疑者に接見し,
 事実関係に争いのない事案であること
 被害者と示談をしたい意向であること等の
 事情を確認した結果
 勾留の要件(罪証隠滅のおそれ,逃亡のおそれ)がないと思われたので
 勾留決定に対する準抗告を行うこと
 平行して被害者に示談の申入れを行うことにしました。
 また,接見の際に,罪証隠滅や逃亡を疑われる行為をしない旨の①誓約書を被疑者から受領しました。


勾留2日目

 被害者の方と連絡がとれ,電話で話したところ
 被疑者の処罰は望まないこと,示談には応じるとの回答を得たので,
 その旨の②電話聴取書を作成致しました。
 また,都合が付き次第,示談書等の作成に応じて頂く約束を取り付けました。
  (本来は,示談書等を書いて頂くところですが,時間的な余裕がなかったので
    取り急ぎ,その代用として,電話聴取書を作成しました)。

 また,職場の方に,身元を引き受ける旨のお願いをしたところ
 快く了承して頂き,その旨の③電話聴取書も作成致しました
  (こちらも,本来は,身元引受書を書いて頂くところですが,時間的な余裕がなかったので
   取り急ぎ,その代用として,電話聴取書を作成しました)。

 上記の資料を元に,勾留決定に対する準抗告を行いましたが
翌日,3名の裁判官は,これを棄却しました。


勾留5日目

 被害者の方の都合が付き,
 被害者の方と示談が成立し,④示談書を作成し,
 また,⑤被害届の取下げ書及び⑥嘆願書(寛大な処分をのぞむ)の作成も了承して頂いたので,
 これを作成しました。

 上記①③に加え,④⑤⑥の資料を元に,勾留取消請求を行いましたが
 裁判官は,翌日(勾留6日目),検察官の意見を聞いた上で,これを却下しました。


勾留6日目
 勾留取消請求却下決定に対する準抗告の申立を行ったところ
 裁判官3人の合議によって,同日のうちに
 準抗告が認容され,
 勾留が取り消され,
 被疑者が釈放されました。

吉田 要介 弁護士 吉田 要介 弁護士からのコメント 暴行・傷害事件で,事実関係に争いがない場合,
一番のポイントは,被害者との示談です。

傷害結果が重傷でない限り,被害者との示談が成立したり,
被害者から嘆願書を取得できれば,処分保留で釈放される可能性は高いです。
特に,暴行事件においては,示談の成立によって,釈放される可能性はより高くなります。

そのため,暴行・傷害事件について,罪を認めていて,示談に必要な金銭が用意できる場合は,
被害者との示談が弁護活動の中心になります。

ただ,検察官によっては,示談成立後も勾留満期まで釈放をしてくれない場合もありますので
その場合は、勾留決定に対する準抗告や勾留取消請求の申立てを行うことにより,
検察官に圧力をかけたり,裁判官の判断を仰ぐとことで,早期の釈放を求めることになります。
 
また,暴行や傷害で傷害結果が軽微で,罰金や悪くても執行猶予が見込める場合については
罪証隠滅のおそれや逃亡のおそれは少ないと思いますので
示談と平行して,勾留決定に対する準抗告や勾留取消請求を行います。
その際には,罪証隠滅のおそれや逃亡のおそれがないことを
裁判官に理解してもらう必要がありますので
罪証隠滅や逃亡を行わない旨の本人の誓約書や
それらの行為を本人に行わせない家族の身元引受書など
できる限りの証拠を収集することになります。

本件も,罰金や悪くても執行猶予が見込めると考えられる事案であったので
勾留決定に対する準抗告と平行して示談の申入れを行いました。
もっとも,本件は知人間のトラブルであり,釈放された場合,知人である被害者との接触も考えられたこと,被害者と示談の成立まで至っていなかったためか,準抗告は認められませんでした。
そこで,示談書を入手次第,勾留取消請求をすることにしました。

ちなみに,勾留決定に対する準抗告は,勾留決定がされた時点での勾留の要件を問題にするのに対し
勾留取消請求の申立ては,申立て時の勾留の要件を問題にします。
したがって,勾留決定後の事情について(示談の成立など)は,
原則として,勾留決定に対する準抗告では考慮されません。
もっとも,勾留決定に対する準抗告は,一度しかできないのに対し
勾留取消請求の申立ては,何度でも可能です(事情が変わらなければ,同じ結果になるとは思いますが)。
また,勾留取消請求の申立てがあった場合,
裁判官は,検察官に対して意見を求め,その意見を踏まえて判断することになります。
そのため,裁判官から意見を求められて検察官が
裁判官に勾留取消請求を認められることを防ぐために
意見を返さずに,被疑者を釈放することがあり,
検察官に釈放を促す事実上の効果もあると私は考えています。
なお,勾留取消請求が却下された場合,
あまり知られていませんが,
その却下決定については,準抗告をすることができます。

本件は,勾留取消請求を却下した裁判官の判断がおかしいと考えたため
準抗告を申立てたところ,
3人の裁判官も,勾留取消請求を却下した裁判官の判断がおかしいことを認め,
準抗告は認容されました。

なお,本件の勾留決定の準抗告を棄却した3人の裁判官と
勾留取消請求却下決定に対する準抗告を認容した3人の裁判官は同一の裁判官でした。
このことは,刻々と変わる事案の変化によって,
裁判官の判断は変わりうることを示しているものともいえます。

また,弁護人には,被疑者の釈放のために,
あらゆる角度から,事案を検討する必要性があり,
諦めずに粘り強く対応することの必要性が要求されているものと思われます。


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