労働問題の解決事例
  • 給料・残業代請求

未払い賃金支払い請求事件1

この事例の依頼主 年齢・性別 非公開

相談前の状況 Aさんは、おしぼり配送会社にトラック運転手として長年勤務しておりました。

勤務時間は午前8時から午後5時までとされていました。

継続的に、平均して1日1時間半~2時間の残業を行っていましたが、残業代は支払ってもらえていませんでした。

Aさんの同僚も、Aさんと同じように、残業しても残業代が支払われていない状況でしたが、会社では、残業代が未払いであるというようなことを言い出せる雰囲気ではありませんでした。

今般、Aさんは、会社を辞めるので、自分はもちろん、同僚のためにも、会社に対して残業代を請求し、残業代は支払わなければならないものであることをはっきりさせたい、という法律相談でした。

解決への流れ 1 未払い賃金を請求するには、残業代算定の裏付けとなる「タイムカード」や「業務記録」、「就業規則」等を確保することが必要です。

そのために最も有効な手段は、「証拠保全手続」です。

「証拠保全手続」とは、裁判所に対し、会社が「タイムカード」等を保管している場所に出向いて、「出退勤記録表(タイムカード)」の提示命令及び検証を求めるという申立をすることです。

この申立をすると、担当裁判官と面談のうえ、「タイムカード」の検証等を行う理由と必要性が認められれば、日時を設定し、裁判官とともに「タイムカード」が保管されている場所(会社の本社等)に出向き、その場で、裁判官立ち会いの元、本人の「タイムカード」を提出してもらいます。

そのうえで、「タイムカード」を1枚1枚写真撮影して、本人が実際どの程度働いていたのかを明らかにする、証拠を確保する手続きを行います。

費用がある場合には、専門業者に写真撮影を依頼することもありますが、私の場合は、自分で写真撮影しています。

なお、万一の場合を考え、懇意にしている社会保険労務士に同行してもらい、その方にも同じく写真撮影をしてもらい、失敗のないようにしています(好意的な会社であれば、会社のコピー機を貸してもらい、コピーすることも可能ですが、拒否された場合のことを前提に、カメラの用意は不可欠です。)。

2 「タイムカード」等は、2年分確保することになります。

時間外労働の残業代請求権は、2年で時効になってしまうので、それ以前の残業代を請求できないことから、過去2年以上に渡って残業代の未払いがあったとしても、2年間しか請求できないので、証拠保全もその範囲で行うのが一般的です。

3 本件では、「タイムカード」を確保し、残業時間を割り出し、所定賃金(通常の労働時間内の賃金)に時間外残業や休日労働等の割増率をかける等して、Aさんの未払い賃金請求額を算出しました。

本件では、未払い残業代合計約183万円、退職時の未払い給与分27万5000円となっていました。

4 通常、その後は、裁判所に対し、「タイムカード」や「就業規則」を証拠として、「労働審判」の申立を行うことになります。

しかし、本件においては、依頼者であるAさんから、出来る限り早期に解決してほしいとの要請があったので、会社の代理人弁護士宛に、「計算した未払い賃金の9割を支払ってもらえれば、裁判外で解決する」との申出を行いました。

5 その結果、直ちに、会社の代理人弁護士から「合意する」との返答を戴き、合計約210万円を支払ってもらうことで解決しました。

6 労働審判を行った場合、ほぼ全額の支払いが認められることから、本件では、直ちに和解案に応じてきたものと考えられます。

大槻 厚志 弁護士 大槻 厚志 弁護士からのコメント 未払い賃金の請求のポイントは、なんと言っても、時間外労働を行っているという事実を証拠に基づいて明らかにすることです。

本人自身が「タイムカード」の写しを全部持っているというようなことは、ほとんどないため、前記のような「証拠保全手続」を行うのが通例です。

裁判官と一緒に相手方の会社に乗り込んでゆき、その場で「タイムカード」を提出させるというような作業は、あまり一般的な手続ではないため、幾分緊張します(その場所に「タイムカード」がなかった場合とか、写真撮影したものの、ちゃんと写っていなかったらどうしよう等と幾分緊張するものです。)。

しかし、この間、なんとか失敗することなく手続を行ってきました。

大槻 厚志 弁護士
営業時間
09:00 21:00
050-5572-2610
大槻 厚志 弁護士 を詳しく見る