架空請求を受けた消費者に対し、「請求がこなくなるよう交渉する」とトラブルの解決をうたい、高額な依頼料が請求される詐欺被害が続発しているとして、消費者庁は5月22日、事業者名「株式会社クラプラ」を公表し、消費者に注意を呼びかけた。消費者庁によると、「依頼された架空請求は解決できたが、他にも閲覧履歴があるから追加の料金を支払うように」などと言われ、複数回にわたり詐欺被害に遭った事例もあるという。(ライター・小林由里)
●被害相談詐欺の巧妙な手口
今回、消費者庁から公表されたクラプラによる詐欺の手口は巧妙だ。
消費者にまず、有料動画サイトの未納料金が発生している旨のメールやSMSが送られる。そのメール等を見て不安になった消費者が、メール等に記載されている連絡先電話番号等をインターネットで検索すると、検索上位に「詐欺被害の相談サイト」などと称するウェブサイトが表示される。
そのサイトには「その番号(検索した電話番号)は詐欺の番号です。こちらにお問い合わせください」と相談窓口の電話番号が書かれていて、消費者がそこに連絡をすると、電話口にクラプラが出て「お客様に代わって、請求をやめるよう交渉します」と告げ、実際には何ら交渉など行わないにもかかわらず、高額な依頼料を請求するのがその手口だ。
消費者に有料動画サイトの未納料金など存在しないにもかかわらず、「調べたところ、○万円の未納料金がある」と告げたり、後日、「一社は解決できたが、あなたには他にも閲覧していて、その解決にはさらに料金がかかる」などと告げ、消費者の不安をかき立て、さらなる料金の支払いを迫るとのこと。
消費者が架空請求に不安を感じ、解決方法を求めているところにつけこみ、詐欺の罠を仕掛けているところが悪質だ。
●架空請求は無視しているのが一番…相談するときにも注意
有料動画サイトの未納料金が発生している旨のメール等は架空請求といい、消費者庁は「典型的な詐欺の手口」であるとして、メール等に記載されている電話番号には「絶対に電話しないように」としている。
架空請求は、身に覚えがなければ無視しているのが一番だが、消費者庁は、どうしても不安な場合や今回の事例のように架空請求の被害相談等に不安を抱いた場合は、居住地の消費相談窓口(電話番号:188)や警察(電話番号:#9110)に相談してほしいと呼びかけている。
なお、国民生活センターから、インターネット上の広告やウェブサイトで自治体が設置している消費生活センター等に類似した名称(例えば、「消費者○×センター」など)を名乗る事業者による被害相談に関する相談事例が報告されている。相談するときには注意が必要だ。