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潰瘍性大腸炎の男性、薬の処方ミスで「死ぬ思いをした」医師と薬剤師を提訴
新城さんと石上弁護士(2021年10月12日、弁護士ドットコム)

潰瘍性大腸炎の男性、薬の処方ミスで「死ぬ思いをした」医師と薬剤師を提訴

一緒に飲むことを制限されている薬を処方されたことで極度の貧血状態となり、17日間入院した東京都の男性(49)が10月12日、薬を処方した医師と調剤した薬剤師に過失があったとして、慰謝料など約1110万円をもとめて東京地裁に提訴した。

原告の電気工事士・新城祥敬さんは、潰瘍性大腸炎の持病がある。提訴後の会見で「医師も薬剤師も謝罪もない。併用禁忌について患者は何もわからず、お医者さんと薬剤師さんを信用して飲むだけ。怖い思い、死ぬ思いをしました。謝罪だけでなく、反省してほしい」と話した。

●顔色が真っ白で極度の貧血に

訴状や会見での説明によると、潰瘍性大腸炎の持病があり、自宅近くのかかりつけ医の紹介で訪れた大学病院で処方された免疫抑制剤「アザニン(アザチオプリン)」を2017年から服用している。

2020年8月、痛風の発作に襲われ、9月7日になって、自宅近くのかかりつけ医から痛風の治療薬「フェブリク」を処方され、同じく近くの調剤薬局で提供をうけた。

2種の薬の服用から約3週間後の10月1日、仕事中に階段をのぼったところ、顔色が白くなり、息切れ、動機、めまいといった貧血の症状があらわれ、同様の症状は、12日には日常生活でも起きるようになったという。

20日、かかりつけの病院で「フェブリクの副作用ではないか」と尋ねたが、医師は否定。その際の採血の結果、赤血球や白血球が低数値を示したことから、潰瘍性大腸炎の治療で通っている大学病院を受診したところ、「何だこれは。生きている人間のデータじゃないよ」などと指摘され、持参したおくすり手帳から、併用禁忌の疑いが生じたそうだ。

すぐさま両薬の服用を中止し、同日から11月5日まで入院し、重度の貧血治療として、輸血などの措置をとられた。

新城さんの代理人をつとめる石上晴康弁護士によれば、2種の薬の併用は「禁忌」とされ、骨髄をつくる作用が抑制されるという。新城さんの貧血もこれが原因ではないかとのことだ。

「かかりつけ医も、調剤薬局も、アザニンを飲んでいることを知りながら、併用禁忌のフェブリクを提供してしまった。薬剤の説明書にも併用禁忌であることは書かれており、医療に携わる人にとって常識です」(石上弁護士)

そこで、過失によって死亡寸前の重篤な貧血症状を起こしたとして、裁判を起こした。

●かかりつけ医のコメント

かかりつけ医は10月12日、弁護士ドットコムニュースの取材に「詳細がわからないため、現状ではコメントできません」と答えた。薬局にも問い合わせたが、9月いっぱいで薬剤師は退職していた。

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