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離婚目前の大バトル…「婚姻費用>養育費」で、夫婦の攻防戦
写真はイメージです(xiangtao / PIXTA)

離婚目前の大バトル…「婚姻費用>養育費」で、夫婦の攻防戦

「お互い記入は済んでいるのに、妻が離婚届を出してくれません」ーー。弁護士ドットコムに、こんな相談が寄せられました。

相談者の男性は結婚して9年目。妻と2人の子どもとは、別居して半年以上になるそうです。 「毎月、妻には婚姻費用として12万円を払っています。離婚した場合は、養育費として2人あわせて毎月6万円を支払うことを約束している」と男性はいいます。

つまり離婚すれば、妻がもらえる金額は半額となります。そのためか、妻は「養育費が正式に決まっていないから」という理由で離婚届を出すことを拒否。ときおり、男性に「お金がないから送って」と連絡してくることもあるようです。

男性が妻と離婚するには、どうしたらよいのでしょうか。木下貴子弁護士に聞きました。

●公正証書で合意書を作るという方法も

ーー男性が妻と離婚するためにできることはありますか

「離婚には応じているのに、相手が離婚届を出さない理由を尋ねてみましょう。

『養育費を支払ってくれるのか心配』ということでしたら、公正証書で合意書を作ることを提案するという方法があります。

もし他の理由、たとえば養育費よりも婚姻費用の方が多くもらえるなどの隠れた理由で、妻が離婚に応じない場合でも、相談者のペースで離婚を進めることは可能です。

具体的には、『離婚調停』という裁判所での話し合いや、調停で離婚に合意しなくても、裁判での離婚を考えることになります」

●妻や子どもの状況によっては、離婚が認められないことも

ーーこの夫婦は、すでに別居期間が半年以上となっています。このまま別居を続けた場合、どのくらいの別居期間で離婚が認められるのでしょうか

「別居して何年経つと裁判で離婚が認められるのかは、婚姻関係を破綻させた責任が誰にあるのかによって異なります。

一方に責任があるといえない場合、どの程度で離婚を認めるのかは判断が分かれるところですが、目安として5年というものがあります。

これは離婚制度の法改正が検討された際、離婚原因に『夫婦が5年以上継続して婚姻の本旨に反する別居をしているとき』という文言があったことが1つの根拠となっています」

ーー相談者には未成熟の子どもが2人いるようです

「離婚により、配偶者や子どもに耐えがたい苦痛をもたらす場合には、離婚を認めないこともできるとされています。

離婚後に予測される配偶者とお子さんの生活状況などによって、どの程度の別居期間で離婚が認められるのかは変わってくるでしょう」

(弁護士ドットコムニュース)

プロフィール

木下 貴子
木下 貴子(きのした たかこ)弁護士 多治見ききょう法律事務所
離婚・親権・養育費の分野で1000件以上の案件を扱う。「離婚後の親子関係の援助について」「養育費」をテーマに講演。離婚調停での「話し方」アドバイスブックはこれまでに2万人以上が利用している。著書「離婚調停は話し方で変わる」「離婚回避・夫婦関係修復につなげる話し方の技術」がAmazon法律部門他ランキング第1位獲得。

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