義理の親とのお付き合いは、難しいもの。中でも同居した場合には、様々なトラブルが勃発するようです。二世帯住宅だからと言われてしぶしぶ許可したものの、実際には玄関も水回りも共有の完全なる「同居」になってしまったという相談が、弁護士ドットコムの法律相談コーナーに寄せられました。
相談者の女性は、結婚前から「同居は嫌だ」と夫に主張していました。そのため、家は「(家は)二世帯になり、生活食事は別」という約束で建設していましたが、実際に完成した家に入ると「結局お金がなく作れなかった」と二世帯ではなく、ただの2階建ての住宅になっていました。
義理親との喧嘩は絶えませんが、夫は義理親のいいなり。女性は0歳の息子の親権をとって、離婚を考えているそうです。しかし、義理親との不仲を理由に離婚することは可能なのでしょうか。理崎智英弁護士に聞きました。
●義理親との不仲を傍観、離婚認められたケースも
離婚が認められるには、どのような理由が必要ですか。
「夫婦による話合いによる離婚が難しい場合、調停を申し立てて、裁判所での話し合いになります。調停でも話合いがつかない場合には、訴訟を提起する必要がありますが、離婚請求が認められるためには、不貞(浮気)や暴力などの法律上の理由(民法770条1項)が必要になります。
今回のケースで言えば、『婚姻を継続し難い重大な事由』(民法770条1項5号)を検討することになります。『婚姻を継続し難い重大な事由』がある場合とは、夫婦関係が破たんして回復の見込みがない場合です」
義理親との不仲は、離婚が認められる理由になりますか。
「婚姻生活を円満に送るためには、義理の親との関係も良好である方が良いことは確かです。しかし親族との不和は、基本的には『婚姻を継続し難い重大な事由』には当たりません。
『婚姻を継続し難い重大な事由』の有無は、あくまでも夫婦間の問題です。仮に親族との不和があっても、夫婦関係が良好な場合には『婚姻を継続し難い重大な事由』には当たりません」
では今回のケースでは、離婚は認められないでしょうか。
「いえ、そうとは限りません。過去の裁判では、配偶者が義理の親との不和を傍観し、親族に同調していたケースでは、離婚請求が認められたこともあります(山形地裁昭和45年11月10日判決)。
今回の相談者のケースでも、夫が妻の話をよく聞いたり、不和を解消しようと努力したりすることなく、自分の親の言いなりになるばかりで夫婦関係が破たんして回復の見込みがない場合には、『婚姻を継続し難い重大な事由』があるとして、離婚が認められる可能性があるでしょう」