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「会ってくれないと死にます」別れた不倫相手から恐怖の連絡 男性は「本当に死んでしまったら…」と苦悩
画像はイメージです(buritora / PIXTA)

「会ってくれないと死にます」別れた不倫相手から恐怖の連絡 男性は「本当に死んでしまったら…」と苦悩

不倫相手との関係を断とうとしたところ「2週間後会ってくれないと死にます」と言われ、悩んでいる。そんな相談が弁護士ドットコムに寄せられています。

相談者は既婚者でしたが「独身だと嘘」をつき、「内緒のお付き合いの軽い気持ちで1回不貞をした」そうです。相手の女性も既婚だったため「家庭を壊さないように」と考えたとも弁明します。ところが相手は「その後急に会いたいとか喜怒哀楽が激しい」状態となり、関係を終わらせようと、連絡に応じないことにしました。

すると女性は冒頭のように「2週間後会ってくれないと死にます」と連絡してきたそうです。男性は「どうすれば良いのか悩んでいる」「本当に死んでしまったら、自分に責任が問われるのか」と質問を寄せました。光安理絵弁護士に聞きました。

●刑事責任は問える?

——女性の「2週間後会ってくれないと死にます」という発言は脅迫やストーカー規制法などの犯罪に該当する可能性はあるのでしょうか。

独身だと嘘を言って女性と交際するのはいけませんが、相手の女性も既婚ですから、いわゆるダブル不倫の状態ですね。刑法222条の脅迫罪に該当するのは、「(相手や相手の親族の)生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える」ことを相手に告げる場合です。

今回、女性は「自分が死ぬ」と言っているのであり、男性や男性の親族を傷つけるなどとは言っていません。よって、脅迫にはあたりません。

次に、ストーカー規制法に該当するのは、恋愛感情が満たされない場合に、自宅や勤務先に押しかけたり、見張ったり、あるいは連続して電話をかけたりメールを送信したりする行為などをいいます。

本件で、女性が単に1回メールをしてきただけであれば、ストーカー規制法にも該当しません。拒んでいるのに、何回も復縁を迫る電話やメールを送ってくる場合は、該当する可能性がありますので、警察に相談に行くとよいでしょう。

——男性は「実際に死んでしまったら、自分に責任が問われるのか」と聞いています。亡くなった理由が男性だとして、遺族から慰謝料請求される可能性などはあるのでしょうか

遺族から慰謝料請求される可能性は極めて低いです。相談者の男性が面会を拒否したことにより女性が亡くなったとしても、一般的に、交際中の男女の一方が、相手と会えないからといって、皆、自死するとはいいがたく、法的には、男性は賠償責任を負いません。

もっとも法的に責任を負わないことと、トラブルにならないこととは異なります。遺族から抗議があったり、説明を求められたりするかもしれませんね。

——類似の相談は珍しくありません。このような事態に陥ってしまったら、どうするべきなのでしょうか

不貞相手と関係を断ちたいのに、相手が解消に応じてくれず、何度も連絡が来たり、今回のような「死ぬ」とか「自宅に行く」「職場に連絡する」といった発言をするようになった場合、ストーカー化している可能性があります。

そのような場合、相手の要求に応じて面会を重ねていると、交際を解消できず、何も解決できません。専門家である弁護士に相談し、間に入ってもらうことで、相手と直接連絡を取り合わずに済みますし、交際解消などの解決に向かうことができます。

この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいています。

プロフィール

光安 理絵
光安 理絵(みつやす りえ)弁護士 ソレイユ総合法律事務所
大阪大学法学部、同大学院法学研究科修了後、パナソニック株式会社(旧松下電器産業株式会社)入社、本社法務本部配属。2003年司法試験合格、東京地方検察庁、横浜地方検察庁を経て仙台弁護士会に弁護士登録。2021年度仙台弁護士会副会長。現在、ソレイユ総合法律事務所代表弁護士を務め、離婚事件、交通事故事件、刑事事件等を多数扱っている。

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