不倫相手が憎い。けどパートナーとは離婚したくない——。不倫をされた側の中には、離婚せず不倫相手だけに慰謝料請求をおこなう人も少なくありません。
これから紹介するのは、2012年12月27日に東京地裁で判決が言い渡された、実際の不倫慰謝料に関する裁判例です。
妻・成美さんは、夫・健太郎さんと離婚せずに、夫の不倫相手である瞳さんに慰謝料500万円を求めて訴訟を起こしました。
しかし、不倫相手である瞳さんは「不倫が始まった時点で2人は離婚について合意していて、秋からは別居するなどして、既に婚姻関係が破綻していた」などと主張していました。
裁判所は真っ向から食い違う双方の主張を、一体どのように判断したのでしょうか(登場人物は全て仮名です)。
●裁判所の判断は?
争点1:不倫が始まった時点で、成美さんと健太郎さんの婚姻関係は破綻していたか
争点2:婚姻関係が破綻していなかった場合、瞳さんに不貞行為について故意過失があるか
不倫が始まった結果、夫が自宅を出て別居状態が続く状況に至っており、成美さんと健太郎さんの婚姻共同生活関係の平和が大きく傷つけられた——。
裁判所はこうして、成美さんが請求していた額の半分にあたる慰謝料250万円(弁護士費用25万円)を認めました。