「不倫は絶対に許せない」「刑罰が必要だと思う」など、不倫に対する厳しい意見は少なくない。その一方で、悪びれることもなく不倫を繰り返す男性がいる。
会社員のスギノさん(仮名・40代既婚男性)もその1人だ。妻との間に子どもはおらず、平日の夜や土日は自由に使える時間がある。新型コロナ感染拡大を受け、これまでのようにクラブやパーティーに行けなくなったが、オンライン飲み会などを楽しんでいる。
スギノさんによると、妻以外にも「親しく交際する女性」数人がいるという。若い頃はホストクラブで働いていたスギノさんは高身長でルックスもよく、話もおもしろい。好意を抱く女性も少なくなく、これまで女性関係で困ったことはないと話す。
そんなスギノさんの口癖は「オレ、認知しないよ」。もし女性に認知するよう迫られた場合は「大丈夫。オレ逃げ切る自信あるから」と話す。無責任すぎるスギノさんに周囲は唖然としているという。
●認知を拒まれた場合は「強制認知」の方法も
スギノさんのような既婚男性は他にもいる。弁護士ドットコムにも「既婚男性の子を妊娠したら、逃げられそう」という相談が複数寄せられている。あまりにも無責任な態度に唖然とするが、このような場合、女性はどうすればよいのだろうか。
理崎智英弁護士は「まずは相手に対して、任意に認知を求めることになります。相手が認知に応じれば、父親か子どちらかの本籍地の市区町村に対して、父親自身が認知届を提出することによって認知の効果が生じることになります」と説明する。
しかし、スギノさんのようにうまく逃げ切ろうと考えている男性もいる。そのような男性に対して、任意に認知を求めることは難しそうだ。
理崎弁護士によると、相手が任意の認知を拒んだ場合は、子または母親が父親の住所地の家庭裁判所に認知の調停を申し立てることになるという。
「調停でも合意することが出来なかった場合、最終的には裁判を起こして、判決によって認知を認めてもらうことになります。これを『強制認知』といいます。
裁判で認知が認められるためには、子と父親の親子関係があることをDNA鑑定等によって証明する必要があります。
認知されれば、養育費の請求もできます。父親が養育費を任意に支払おうとしない場合には、親権者である母親は、父親に対して、養育費の支払いを求めて、調停や審判を起こす必要があります」
●相手の妻から慰謝料請求をされる可能性も
スギノさんは既婚者だ。しかも、関係をもつ女性には、かならず既婚者であることを伝えているという。もし認知を請求した場合は、妻に不倫の事実がバレてしまう可能性もある。
このように、相手が既婚者だと分かっているのに不倫をした場合、相手の配偶者から慰謝料請求される可能性もあるのだろうか。
「相手が既婚者であると知っていた場合(知らなかったとしてもそのことに過失がある場合)には、相手の妻から慰謝料請求をされれば、それに応じる義務があります。
実際、私が過去に扱った相談事例でも、妻から慰謝料請求されることをおそれて、相手の男性に対して認知の請求を諦めた相談者もいらっしゃいました」