1度は許した妻の不倫。妻と不倫相手に「もう2度としない」と誓わせたのに、また同じ相手と不倫しているーー。弁護士ドットコムにこのような相談が寄せられています。
相談者によると、妻は数年前に同じ会社で働く男性と不倫。「その際は、相手男性に直接会い、示談書にサインをもらいました」と相談者はいいます。
示談書には、今後は社内で業務以外の会話は一切しないこと、二度と外で会わないこと、メール、電話などで連絡を取らないこと、接触があった場合は100万円を支払うことなどを記載していたようです。
その後は妻を許し、平穏に過ごしていたという相談者。しかし、最近になり、妻が相手男性と会社から一緒に帰宅する様子を目撃しました。妻は深夜に帰宅する回数が増えているとのことです。
今回のように、妻が同じ相手と再度不倫した場合、再び慰謝料請求をすることはできるのでしょうか。森元みのり弁護士に聞きました。
●2度目の不倫に対する慰謝料は「別物」
ーーもし、相談者が1度目の不倫のときに相手男性から慰謝料を受け取っていたとしても、2度目の不倫で再び請求することはできるのでしょうか
「1度目の不倫について受け取った慰謝料は、あくまでもその時の不倫に対するものです。2度目の不倫に対する慰謝料は別物ですから、請求することは可能です。
今回のケースのように、前回の示談書で『接触があった場合は100万円を支払う』と定められているときは、基本的に、この100万円は『慰謝料の金額』をあらかじめ定めたものと捉え、相手方に100万円を請求することになると思われます。
一方、100万円はあくまでも『連絡・接触行為に対する違約金』であり、不貞による損害は100万円を超えているといえる事情があれば、100万円とは別に慰謝料を請求する余地もあるかもしれません。
ただし、慰謝料算定に当たっては、別途100万円の支払いがあることも考慮されるでしょう」
●新たに示談書を作成する際のポイント
ーー相談者は示談書に記載した100万円を請求するとともに、新たに示談書をつくりたいと考えているようです。同じ相手に対して、新たに示談書を作成することはできますか
「できます。そのときは、前回の誓約にもかかわらず再度の不貞に及んだという経緯が分かる一文を組み込むとよいでしょう。できれば、示談の前に、今回の不貞の証拠も固めておきたいものです。
新たな示談書でも違約金条項を設けるとしたら、何に対する違約金かを明確に定めておいてください。示談の締結過程も、後に強迫等と争われないよう、内容に注意し、記録に残すようにしましょう」