講義中の教授の顔をパシャリ。スマホアプリで猫耳や鼻がついた画像に加工して、SNSでみんなに共有して笑いのネタにーー。東京都内の私立大学に通うショウタさんは、最近、SNSにアップロードされた画像をみて、「こんなことして大丈夫なの」と思ったそうです。
最近は誰でも気軽に写真加工ができるようになり、猫や犬などの動物に加工するものや、被写体とは異性の顔つきに加工するもの(例えば、おじさんの顔を女性っぽく変える)、幼児化するものなど、様々なものがあります。
ただ、今回のショウタさんが見たケースのように、無許可で加工してSNSに投稿しているものもありますが、法的に問題ないのでしょうか。佐藤孝丞弁護士に聞いた。
●肖像権やプライバシー侵害
「フォトハラとも呼ばれるソーシャルハラスメントのことですね。
法的には、自分の容ぼうをみだりに撮影され、公表されない人格的利益(いわゆる肖像権)の侵害の有無が問題になります。
今回のケースでは、誰かから撮影されることが予定されていない講義中の教授を無断で撮影し、拡散性の高いSNSに公開していることに加え、笑いのネタになるような加工まで施していますから、特別な事情がない限り、受忍限度を超えた違法行為といえ、肖像権侵害になると考えます。
また、講義中の教授の容ぼうもプライバシー情報であるという前提に立てば、プライバシー 侵害にもなりうる行為と考えます。
これらの行為に対して、教授としては、投稿者への損害賠償や投稿の削除等を請求することが可能です。投稿者を特定することについても、状況証拠がそろっている場合や、裁判所への仮処分等の手続がうまくいけば可能です」
投稿された写真が、その被写体だとわからないくらい加工された場合であっても、問題があるのでしょうか。
「加工してもそれが被写体が誰なのか認識可能な場合は、肖像権等の侵害には変わりがあり ませんが、被写体を判別できない程度の加工(モザイク等が典型例ですが)をした場合は、肖像権侵害を否定する方向の事情として考慮されます」
※佐藤弁護士の見解は、所属する組織の見解を示すものではありません。