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「アラートループ」で書類送検の男性2人、不起訴処分 弁護人「検察はお茶を濁した」
問題とされた無限アラートと同じとみられるもの(2019年3月、編集部撮影)

「アラートループ」で書類送検の男性2人、不起訴処分 弁護人「検察はお茶を濁した」

神戸地検は5月22日、インターネット掲示板に無限にアラートが出るページへのURLを書き込んだとして、不正指令電磁的記録供用未遂の疑いで書類送検された男性2人を不起訴処分(起訴猶予)とした。男性の弁護人が5月29日、事務所のHPで明らかにした。

弁護人の南竹要弁護士と室之園大介弁護士は「今後裁判にかけられ、無罪立証の負担を強いられる煩を事実上避けることができたことは一安心」としながら、起訴猶予処分について「個別の事情で起訴しないこととした、というものに過ぎず、今後も捜査機関が法的素養を欠いた濫用的摘発に走りかねない状況に対する抑止効果としては不十分」と懸念している。

●起訴猶予処分「心をさらに抉る」

弁護人は今回の検挙について、「現実空間における冗談行為と同等な行為をネット空間において行っただけで、刑罰に処せられるという懸念を生じさせ、プログラマーや開発者が、利用者に意外性をもたらすようなプログラムを創作する意欲を萎縮させることに繋がるもの」と指摘。

不正指令電磁的記録供用罪があいまいな基準しか規定していないことから、「曖昧な文言が放置されている結果、今般、その立法趣旨や立法時の懸念事項を無視して兵庫県警が暴走して、本来犯罪に該当しない行為をも処罰する動きをした」と捜査機関の技術に対する無理解と権力行使を批判する。

今回、不起訴処分となった理由について、コインハイブ事件で1審無罪判決(検察側が控訴)が出たことを引き合いに、「検察官は、公判維持は困難と判断した」と推測。

「『犯罪にあたると考えるが今回だけは起訴しないでおいた』という姿勢でお茶を濁して終局的に終わらせる検察官の態度は、2名の方の心をさらに抉ることになることに思いを致すべき」とコメントしている。

今後については、「捜査機関側の不当な捜査及びこれによって被疑者らの生活に生じた支障の責任を問うべく、法的手段を講じることも視野(に入れている)」としている。

●全文は以下のURL

アラートループ事件の被疑者2名に対する起訴猶予処分を受けて
http://www.yokohama-park-law.com/news/20190529.html

(弁護士ドットコムニュース)

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