2019年03月02日 10時41分

出会い系で「2000万円」だまし取られた高齢者も…運営からの返金には高いハードル

出会い系で「2000万円」だまし取られた高齢者も…運営からの返金には高いハードル
画像はイメージです(Graphs/PIXTA)

出会い系サイトで、約2000万円もだまし取られたとして、60代男性が振込口座の名義会社を相手取って損害賠償をもとめた裁判で、福岡地裁は2月22日、口座の名義会社などに2162万円の支払いを命じる判決を言い渡した。国民生活センターによると、出会い系サイトをめぐって、高額の利用料を振り込まされるケースがあいつでいる。

●振込口座の名義会社に「共同不法行為」の成立をみとめた

この男性は2015年7月から9月にかけて、出会い系サイトで、女性会員と連絡先を交換するために、1966万円を振り込んだ。ところが、振り込んだにもかかわらず、連絡先を交換できず、そのサイトは閉鎖されたというのだ。

朝日新聞によると、福岡地裁は「サイト運営者は、連絡先を交換させるつもりはないのに、できるかのように装い、現金を詐取した」「不法行為には振込先口座が不可欠だった」として、共同不法行為が成立すると判断し、口座の名義会社に賠償責任があるとした。

●サイト運営者から取り戻すことは困難なことが多い

これまでも、出会い系サイトをめぐるトラブルが発生している。80代男性が振込先口座を管理していた決済業者(収納代行業者)2社などに損害賠償をもとめた訴訟では、東京地裁が2017年5月、決済業者の共同不法行為をみとめて、1950万円の賠償を命じている。

国民生活センターは2019年2月、こちらの判決についての解説をホームページ上に掲載した(http://www.kokusen.go.jp/hanrei/data/201902_1.html)

この男性は2015年4月ごろから、連日のようにメールが届き、出会い系サイトを利用するようになった。ある会員から「メッセージの文字化けを解除するためにはポイント購入が必要」という連絡があり、言われるがままに、2社が名義人となっている口座に約1780万円を入金していた。

国民生活センターは、こちらのケースを「サクラサイト商法による被害」としたうえで、「サイト運営者を特定することが困難なことが多く、被害者である消費者が支払ってしまった金銭をサイト運営者から取り戻すことは困難なことが多い」と指摘している。

国民生活センターによると、事例のような高額の支払いケースは少なくない。その背景について、国民生活センターの担当者は弁護士ドットコムニュースの取材に、次のように話した。

「異性・有名人など、相手側がいろいろなパターンがあるが、『相手側と距離を縮めたい』『もっと親密になりたい』『やりとりをこのままずっと続けたい』など、消費者側の心理をうまくついている。やりとりするたびにポイント(料金)がかさんでいくので、気がついたころには、高額の費用がかかっている」(国民生活センター担当者)

●振り込んだお金の取り戻し方

出会い系サイトに振り込んだお金はどう取り戻せばいいのか。呉裕麻弁護士が解説する。

「出会い系サイトの中には、『報酬を払うので悩みを聞いてほしい』『連絡先を交換するためにはポイント購入が必要』といった謳い文句で利用者をだまして、実際にはいくらやりとりをしても報酬の支払いを受け取れなかったり、連絡先の交換が実現しなかったりする悪質なサイトがあります。

このようなサイトは、いわば詐欺を働いていることから、それまで支払ったサイト利用のためのポイント料は、損害賠償としてサイト運営会社などに請求できます」(呉弁護士)

呉弁護士によると、具体的な方法として、次のようなものがある。いずれもその手続きをとるためには、専門的知識や経験が必要になることから、消費生活センターや弁護士に相談・依頼したほうが適切だということだ。

(1)運営会社を相手取り、損害賠償を請求する示談交渉や訴訟を提起する

(2)ポイント購入の際に利用したクレジットカードのカード会社や決済代行会社にポイント購入代金のキャンセル処理を依頼する

(3)ポイント購入代金を送金した先の銀行口座を凍結する

●手口が時代とともに変化している

国民生活センターによると、全国の消費者センターに寄せられた出会い系サイトに関する相談件数は、2014年度が1万2744件、2015年度が1万1204件、2016年度が9603件、2017年度が8712件、2018年度が7193件(2月25日現在)という。トラブルは未然に防ぎたいところだ。

「携帯電話やインターネットの普及にともなって、出会い系サイトによる詐欺被害は急増し、今なお根絶に至っていません。その理由にはいくつかあると思いますが、悪質なサイトの運営会社の手口が時代と共に変化してきていることも一つです。

ただし、これらの詐欺の手口は、お金や異性との出会いという、およそ人が持つであろう基本的欲求につけ込むという点では同じです。このような被害に遭わないようにするためには、昔から言われているように『うまい話には裏がある』ということをいつも念頭に置くほかないと思います」(呉弁護士)

(弁護士ドットコムニュース)

取材協力弁護士

呉 裕麻弁護士
1979年東京生まれ。韓国籍。2006年に司法試験合格。岡山合同法律事務所に所属後、2013年に現事務所開設。人権問題、交通事故、男女トラブル、インターネット問題、企業法務等、幅広く活動中。

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