2018年12月27日 09時53分

モンスター客ブチ切れ「ソニーのiPhoneください!」、どう対応すればいいのか?

モンスター客ブチ切れ「ソニーのiPhoneください!」、どう対応すればいいのか?
iPhone(左)とXperia(右)。たしかにスマートフォンのかたちは似ているが・・・

「ソニーのiPhoneください!」。家電量販店のスマホコーナーの販売員が、客からこう言われて困惑したという記事が「はてな匿名ダイアリー」で話題となっている。12月上旬の公開で、2000以上のブックマークがついた。いわゆる「モンスター客」が社会問題化する中で、ネットユーザーたちの同情・共感をあつめている。

●客「私のはソニーなの!」

投稿者は、家電量販店のスマホ販売員を名乗っている。「世間の人があまりにもWi-Fiやスマホについての理解・リテラシーが無くて唖然としている」として、客からの無茶振りされたエピソードをいくつか取り上げる。

その中で、注目すべき1つが、冒頭の「ソニーのiPhoneください」というエピソードだ。客からそう言われた投稿者は、ソニーのスマホ「Xperia」のことを言っていると推察して、案内したところ、「だから、ソニーのiPhoneですよ!」とiPhone売り場に連れて行かれたという。

さらに、「この中でソニーのiPhoneはどれですか?私はソニーのしか使ったことがないから、東芝とかパナソニックとかのiPhone渡されても操作できないんですよ」とまくしたてられた。iPhoneはアップルの製品だと伝えても「私のはソニーなの!アップルなんて聞いたことがない!」とブチ切れされたというのだ。

●モンスター客の問題が深刻化している

もはや理不尽としか言いようがない話だが、近年、こうした「モンスター客」の問題が深刻化している。外食や流通などの労働組合でつくる産別労組「UAゼンセン」が2017年、スーパーや百貨店などで働く人にアンケートしたところ、約7割が業務中に悪質クレームを受けたことがあると回答している。

今回の記事についての真偽を問う声もあるが、インターネット上では、「実際AndroidとiPhoneの違いだとかキャリアの違いだとか分かってない奴めっちゃいるんだよなぁ」と言った反応も少なくない。

それにしても、販売員の説明も聞こうとせずに、怒ったり、わめいたりする態度をとる客は、現場の人からすればたまったものではないだろう。こうした態度をとるような客はどのように扱えばいいのだろうか。業務妨害といえないのだろうか。大橋賢也弁護士に聞いた。

●威力業務妨害などが成立する可能性も

「単なる勘違いや知識不足が原因で、客観的に見れば理解しがたい要求をする客も、中にはいるかもしれません。しかし、店員が説明を尽くしても、理解しようとせず、自分の主張を押し通すような客には注意が必要になります。

今回のケースのように、通常では理解に苦しむような内容の苦情だけでなく、一見正論であったとしても、大声で何度も同じ要求を繰り返して、店員をその場から離れさせない客は、『客と店員』という立場を利用し、店員の意思を制圧するに足りる勢力(『威力』)を用いていると評価することが可能な場合もあるといえます。このような行為には、威力業務妨害罪が成立する場合もあるでしょう(刑法234条)。

また、店員に対し、生命、身体等に害を加える内容を告知して脅迫し、むりやり土下座を強要するような行為には、強要罪(刑法223条1項)が成立する可能性があります。お引き取り願っても帰らない顧客の行為には不退去罪(刑法130条後段)が成立する可能性もあります」

●店員1人で対応するのは危険だ

こうした客には、どう対応すればいいのだろうか。

「威力業務妨害など、犯罪が成立するか否かにかかわらず、度を超した要求をつづけるモンスター客に対しては、店員1人で対応するのは危険です。客側も、店員が反論してこなかったり、毅然とした対応を取らなかったりすると、自分の要求をつづけても問題ないと思って、いつまでも店員を拘束しつづける可能性があります。

店員をこのような状態にさらしつづけると、その人の健康が害される危険性もありますから、店(会社)としては、店員(社員)をモンスター客から解放する必要が出てきます。そこで、店長や上司などが、複数人でモンスター客に対応すべきと考えます。

このように複数人で対応しても、モンスター客が退店しないような場合は、警察に連絡して、応援や救助を依頼する必要が出てくると思います。

『客に対して、丁寧に接しなければならないということ』と『不合理な要求をつづけるモンスター客に対して毅然とした態度を取る必要があるということ』は、決して二律背反の関係にあるものではなく、両立するものです。

従業員の健康や会社の利益を守るためにも、モンスター客に対しては、複数人もしくは組織として、毅然とした対応を取ることが、極めて重要であると考えます」

(弁護士ドットコムニュース)

大橋 賢也弁護士
神奈川県立湘南高等学校、中央大学法学部法律学科卒業。平成18年弁護士登録。神奈川県
弁護士会所属。離婚、相続、成年後見、債務整理、交通事故等、幅広い案件を扱う。一人一
人の心に寄り添う頼れるパートナーを目指して、川崎エスト法律事務所を開設。趣味はマラ
ソン。

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