いじめ問題が起きたら、まずは弁護士に相談する。そんな流れになっていくのだろうか。文部科学省が来年度、全国10カ所で学校に弁護士を派遣する取り組みを始める方針だと8月24日、NHKで報じられた。
報道によれば、いじめ調査を行う際に、学校の求めに応じて弁護士が派遣されることになる。「スクールロイヤー」という制度だ。
学校問題に詳しい弁護士は、文部科学省の方針をどう評価するだろうか。いじめ調査に弁護士はどのようにかかわり、どのような効果があると考えられるだろうか。舟橋和宏弁護士に話を聞いた。
●スクールロイヤーの意義とは?
「『スクールロイヤー』制度とは、大阪府でも実施されていますが、学校内で問題が起きた際に、弁護士会と教育委員会の連携のもと、学校に弁護士が派遣されるというものです。
たとえば、いじめ問題では、どのような取り組みになるのか。おそらく、いじめ被害者側の代理人として派遣するのではなく、教育委員会・学校側の代理人として、事実関係の調査や法的責任の検討などを行うことになると思われます」
被害者側ではなく、教育委員会・学校側の代理人としてでも意味はあるのだろうか。
「取手市でのいじめ自死などのように、学校側が理由なく不合理な回答を行っている場合には、学校側に法的な専門家の視点が加わることは全く意味がないとは言えないと思われます。しかしながら、スクールロイヤーといっても、前述したように学校に常駐する校内医のような制度ではありません」
今後、どのような取り組みが望まれるのだろうか。
「大阪府の取り組みは、問題が発生してからの派遣となるため、学校側に十分な意見を言える第三者となるかどうか疑問が残ります。学校と生徒との間で法的な問題に発展するケースとは、重すぎる懲戒処分(退学や停学)、いじめ問題への対応放置、学校内での不適切な対応などが問題となるように見受けられます。
現状のスクールロイヤー制度から一歩踏み込み、そもそも訴訟まで発展しないよう、日常的に学校とかかわり、学校と生徒を仲介できる専門家の増加を期待したいところです」
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