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白血病で労災認定の福島原発元作業員が提訴「東電は何ひとつ謝ってくれていない」
東京地裁に提訴した元作業員の男性(右)

白血病で労災認定の福島原発元作業員が提訴「東電は何ひとつ謝ってくれていない」

東京電力福島第1原発の作業などで被ばくして白血病になったと労災認定された北九州市在住の元作業員の男性(42)が11月22日、十分な被ばく対策を怠ったとして、東京電力と九州電力に対し、原子力損害賠償法にもとづき約5900万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。男性の代理人によると、福島原発事故の収束作業で労災認定された労働者が起こした初めての訴訟だという。

訴状などによると、男性は2011年10月から12年1月にかけて、福島第2原発の建屋耐震工事に従事。12年1月から3月にかけては、九州電力玄海原発で定期点検工事にたずさわった。さらに12年10月から13年12月までは、福島第1原発でカバーリング工事などに関わった。その間の被ばく量は計約20ミリシーベルトだった。

男性は2014年1月、急性骨髄性白血病と診断された。その後、死の恐怖にさいなまれて、ふさぎ込むようになり、同年5月にはうつ病と診断された。2015年10月、白血病は原発労働が原因だったとして労災認定された。さらに今年5月、うつ病についても労災認定を受けた。

原告の男性はこの日の提訴後、東京・霞が関の司法記者クラブで記者会見を開いた。男性は「東京電力は何ひとつ謝ってくれていない」「自分たちは捨て駒じゃない」と怒りを口にした。「今後、多くの労働者の労災認定が増えていくと思う。私が前例となって、みなさんの励みになれば」と述べた。

男性の代理人をつとめる海渡雄一弁護士は、訴訟の意義について(1)収束労働による比較的高い線量の被ばくが健康被害をもたらしうることを社会的に明らかにする、(2)類似の事例の発掘のきっかけとなりうる、(3)東電の責任を明らかにすることで、制度の改革・改善につなげたいと説明した。

東京電力ホールディングス広報室は、弁護士ドットコムニュースの取材に対して「当社に訴状が送達されていないため、詳細は承知しておりませんが、訴訟が提起されるということであれば、訴状が送達され次第、適宜、適切に対応してまいります」と回答した。

九州電力報道グループは「当社は訴状を受け取っておらず、詳細を確認しておりません。今後、訴状が送達されれば、内容を検討の上、適切に対応していきます」とコメントした。

(弁護士ドットコムニュース)

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