2014年10月17日 10時28分

元恋人への嫌がらせ「リベンジポルノ」 自民党「被害防止法案」で何が変わるの?

元恋人への嫌がらせ「リベンジポルノ」 自民党「被害防止法案」で何が変わるの?
性的な画像を拡散された人の苦しみははかり知れない
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別れた恋人への嫌がらせのために、性的な画像をインターネットに公開する「リベンジポルノ」。法規制に取り組む自民党は10月上旬、「リベンジポルノ被害防止法案」の骨子をまとめた。

報道によると、法案のポイントは次のようなものだ。

(1)写った人が特定できる性的な写真・動画などの画像を、写った本人の同意なしに、不特定多数の人に公開することを「公表罪」として処罰する。違反した人には3年以下の懲役または50万円以下の罰金を科す。

(2)そうした映像の拡散を狙って、特定の第三者に提供することを「公表目的提供罪」として処罰し、1年以下の懲役または30万円以下の罰金を科す。

(3)被害者が、ネット業者(プロバイダ)に連絡して、こうした画像を削除してもらう際のルールを変えて、より早く画像が削除できるようにする。また、被害者が亡くなった場合、遺族の連絡でも削除ができるようにする。

インターネット上の誹謗中傷問題にくわしい弁護士は、今回の法案をどう見るだろうか。清水陽平弁護士に聞いた。

●「リベンジポルノ」には現行法でも対応できる!?

そもそも、なぜ新しいルールが検討されているのだろうか。リベンジポルノは、現在の法律で処罰できないのだろうか?

「現行法で対応できないケースは、基本的にはありません。

リベンジポルノに対応する法律は、わいせつ物頒布等の罪や名誉毀損罪、ストーカー規制法違反のほか、未成年者であれば児童ポルノ禁止法があります。

画像が『わいせつ』と見なされないようなケースでも、名誉毀損罪でカバーできる余地があります。元交際相手がおこなった場合には、ストーカー規制法による処罰も可能でしょう。

また、リベンジポルノ画像をばらまいてくれと、他人に依頼することを規制する『公表目的提供罪』については、今でも『間接正犯』として処罰可能です」

それなら、なぜ新しい法律をつくるのだろうか。

「従来からある法律でも対処可能ではありますが、新しい法律ができることで、『リベンジポルノ行為を処罰しやすくなる』という側面はあると思います

また、わいせつとまでは言えない画像がメールやLINEで拡散された場合には、現行法にある犯罪が適用しにくい場面があり得ます。新法ができれば、そうした類型について、規制をしやすくなる可能性があります。

また、先ほど間接正犯として処罰可能としましたが、立証のことを考えると、実務の運用しだいですが、『公表目的提供罪』のほうが使い勝手がよい可能性もあると思います」

新法に意義はあるのだろうか?

「被害者から請求を受けたプロバイダが、画像を早く削除できるようにする点は評価できると思います。

プロバイダ責任制限法では、プロバイダが情報を削除する際、情報を発信した人に問い合わせて、7日の間に反論がなければ削除していいというルールになっています。それを2日間に短縮するということですから、画像の拡散を防ぐことができる余地が拡大すると思います。

もっとも、リベンジポルノについては、早急な対応をしてくれるプロバイダがそれなりにあるのが現状です。実務上の変化としては、プロバイダの対処に法律の裏付けができる、というぐらいだと思います」

●「遺族の申し出」が可能になった点に注目

「個人的に注目しているのは、『被害者が死亡している場合、遺族が申し出をすることが可能』としている点です。

いまのところ、削除を依頼するためには、『自分の権利』が侵害されていることが必要なのが原則なので、被害者が死亡している場合には、遺族といえども削除を依頼することができないことになります。

今回、遺族からの依頼も可能とされたことで、死者ないし遺族の名誉回復を図る余地が生まれた点が大きいのではないかと思います」

清水弁護士はこのように指摘していた。

(弁護士ドットコムニュース)

取材協力弁護士

清水 陽平弁護士
インターネット上で行われる誹謗中傷の削除、投稿者の特定について注力しており、Twitter、Facebookに対する開示請求でともに日本第1号事案を担当し、2018年3月、Instagramに対する開示請求の日本第1号事案も担当。2016年12月12日「サイト別ネット中傷・炎上対応マニュアル第2版(弘文堂)」、2017年1月18日「企業を守る ネット炎上対応の実務(学陽書房)」を出版。
事務所URL:http://www.alcien.jp

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